表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私による近代日本改革記  作者: スカーレッドG
(旧)第一次世界大戦勃発
117/125

第一次世界大戦勃発:対馬防衛戦7

前線での化学兵器の使用によって日本、南中華帝国軍の指揮は多大な影響を受けた。

対馬の防衛ラインは北部まで後退し、対馬の部隊にはガスマスクは殆ど配備されていなかった。

されていたとしても要塞内部のガスパイプラインに使用するだけの分しか用意されていなかったので、急遽、防毒マスクを九州各地からかき集めて対馬に送られた。

大韓帝国軍は日本軍との戦闘で120名の戦死傷者を出したが、サリンを使った戦術によって対馬の中心部を占拠することに成功し、日本軍の司令部に陣を構えて、占領下に置かれた南部地域に小分けにしたサリンを入れた容器を対馬中心部の各所に埋め立て始める。



これは、日本軍の本格的な反攻作戦が開始された時に時間稼ぎとして、ワイヤートラップで作動するように設定されており、民家の淡水容器や便所のドア付近、果ては食糧庫にまで仕掛けられており、日本軍がこれらのトラップを解除するまでに相当の時間がかかるだろう。

また、サリンを使用した地域は土壌汚染を引き起こすので、南部の集落の幾つかは土を変えないといけないだろう。

これらの作戦指揮を執ったのは大韓帝国陸軍猛虎大隊のイ・ソンモン少佐であった。



イ・ソンモン少佐は1902年に大韓帝国がドイツ帝国に留学させた高級軍人の一人であり、元々科学知識が豊富な人物でもあった。

留学した際にドイツ帝国が発見したサリンという有毒ガスに対して強い興味を示し、本国に対してこの兵器を実戦で運用できるように購入を打診していたのだ。

当初は毒ガス兵器に関して否定的であった大韓帝国軍上層部であったが、イギリス軍が植民地で起こった反乱で使用した際に、毒ガス攻撃がマスクを持たない反乱兵士に対して有効であったと記された資料を見て協議した結果、大韓帝国軍はこの兵器を数と質で圧倒的に勝る大日本帝国へ反撃できる唯一の攻撃戦法であると確信し、ドイツ帝国から技術者を呼んで大邱テグに建造した製造施設で多くのサリンを製造した。

また、ドイツ帝国との密接な関係を築いていた上清帝国でも青島近郊に毒ガス製造施設を建造し、大韓帝国同様に製造を開始したのだ。



このうち、今回の対馬侵攻とスパイを使った南中華帝国首都で使用したものは製造初期のものであったが、効果は絶大であった。

日本軍はサリンの攻撃で多くの重軽傷者を出して対馬中心部から撤退をしなければならなくなった。

これは陸軍本部からの後退命令でもあったが、なにより前線でサリンが撒かれた際に殆どの兵士は防毒マスクなど持っていなかったのだ。

多くの兵士が呼吸系の症状を訴え、毒ガス攻撃だと悟った時には既に前線で戦っていた兵士の三割強が被害に遭っていたのだ。

これにより、突然の奇襲攻撃から反撃に転じようとしていた日本陸軍第六師団歩兵第45連隊は大打撃を受ける。



同時に南中華帝国の首都上海と第二首都南京で発生した上清帝国による毒ガス兵器を使用した一般市民への無差別攻撃によって市街地は大惨事と化していた。

得体の知れない無色無臭のサリンは上海で6箇所、南京で4箇所も攻撃を仕掛けられ、突然具合が悪くなり呼吸不全や意識混濁などの症状が市街地のあちこちで発生し、これに群衆が大混乱を起こして事態の収拾に1週間を要した。

南中華帝国の首都周辺は混乱で生じた犠牲者の数は毒ガスによる直接的なものや、混乱によって間接的に死亡した者を含めると7千人を超える。

そして負傷者の数は数万人を突破しようとしていたのであった………。

同時連載している『エクス・イン・ザ・アポカリプス』がなろうのパニック小説部門ランキング上位にランクインしました!よろしければこちらもご覧になってください。


挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


小説家になろう 勝手にランキング
▽こちらでも連載中です。良かったら見てください。▽


私による明治食事物語
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ