民主主義を守る戦い:開戦前夜3
同時連載はきついけど楽しいので初投稿です
………同日:某所………
時刻は昼食を挟んで午後2時ぐらいだろうか。
この場所には明治天皇がご臨席し、対独露戦争の御前会議が行われている。
外務省を通じての交渉などは継続して行われているが、ロシア帝国とドイツ帝国の態度はレトヴィザンを奪還しようとした際に生じたドイツ帝国海軍艦艇への賠償金と亡命を希望しているアルチョム大尉などの尉官クラスの軍人の身柄引き渡しを求めていた。
当然、これらの要求は却下しているが、向こうはこれを承認しなければ戦争も辞さないという態度を取っている。
御前会議ではこれらのことも踏まえて、現在の日本の戦力で何処まで戦えるかについて議論がなされていた。
日本の10倍の国力を誇る大国ロシアの首都モスクワまで攻め込むのはゲーム以外では理論上不可能である。
仮に攻め込めたとしても日本の人口を根こそぎ動員したうえで一人3人以上のロシア人を倒さないと勝てないだろう。
それにロシア帝国の背後にはドイツ帝国がべったりと癒着しているので勝つのは容易ではない。
ロシア帝国は独露同盟締結によって史実よりも強化されている。
旅順要塞だけでなくロシア帝国の事実上の傀儡国である大韓帝国や上清帝国ではドイツ帝国製の武器がライセンス生産されているので武器の質や量も格段に上がっていると認識しなければいけない。
強大化したロシア帝国とその傀儡国からの脅威………。
軍事的侵攻は外務省の交渉次第だが、長くても7月いっぱいが限度のようだ。
交渉が決裂した場合、日本は列島の防衛と南中華帝国や極東地域のイギリス・フランス軍との連携をしなければ、この戦争はまず勝てない。
我が社で試作と量産化が進められている武器・兵器も生産配備できるのが5月末からなので、開戦までに一万人の兵士に行き渡る程度だ。
これらの兵士は日本軍の切り札とされる敵地強襲連隊に最優先で配備することが決定された。
敵地強襲連隊は史実における陸戦隊の役割を担う部隊であるが、陸戦隊と違う所は敵地強襲連隊は陸海軍の中でも戦闘力に優れた者が選ばれ、敵地に上陸したのちにその攻撃力と速力を持って敵を撃破し橋頭堡を築き上げて友軍の上陸を手助けする役割を担う。
アメリカの海兵隊に近い軍組織である。
この敵地強襲連隊の指揮官は日本軍でも騎兵戦術に長けた秋山好古の部下である大友多津彦陸軍少佐が指揮を執ることが決定され、日本がロシア帝国の猛攻を防いだ後、朝鮮半島への反撃の一撃を加えるために上陸ポイントなども三ヶ所に絞り込まれている。
ロシア帝国・上清帝国・大韓帝国………この三国が有する領土はまさに日本に突き出してくる槍兵のように見れる。
上清帝国が胴体、ロシア帝国は顔、そして大韓帝国が槍だ。
地理的条件に分類しても朝鮮半島は防波堤の役割を担っていた。
それは史実の冷戦でも、そのあとの北朝鮮と韓国でも二か国の対立は続いていた。
北朝鮮はロシアと中国が、韓国はアメリカの保護に置かれていたが、韓国の新大統領が反日反米路線を貫いて在韓米軍を追い出した結果、あの国は北朝鮮主導で統一されてしまったのだ。
そして今、大韓帝国はロシア帝国の一番手となってこちらを攻撃しようと睨んでいる状況でもある。
油断のできない事態は、今この瞬間でも刻一刻と進みだしている。
エクス・イン・ザ・アポカリプス~目覚める者~も見てね!(ステマ)




