はじまり
2xxx年 世界人口は100億人を超え食糧不足などを防ぐため世界政府は密かに人類の選別を行い始めていた。
どこかの会議室で、数人の男達が話し合っている。
髭の生えた老人「The next target is Japan again. We will kill 20 million Japanese. We must avoid the failure like in Paris. Be careful with “cats”(次の舞台は再び日本だ。次は2000万人に消えてもらう。この前のパリのような失敗は許されない。「猫」に気をつけるのだ。)」
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数学の授業を受けている少年は、退屈そうにスマホをいじっている。ここは影山市立影山第2高校だ。
少年が見ているのは陰謀論などを記事にしているブログであった。「三年前の悲劇。都内の同時テロにより死傷者1万人。この7.22事件は、テロなどではなく、世界各国で発生している事件と同じ人類削減計画の1つである。・・・・・」
少年の名前は琴吹次郎。天才と言われていた時期もあったが、現在は普通の高校生である。
ジローは思った。「人類削減...?また、破茶滅茶な考えをw このブログは面白いけど真実味にはかけるんだよな〜」
キンコーンカーンコーン♪
授業終了の鐘がなった。
「さて、帰るか。」ジローは部活には属しておらずいつも一人で帰っている。
帰り道、ふと公園を見るとスマホを咥えた猫が走っているように見えた。
確かめる為に猫が走って行った方向へ向かった。すると、茂みの奥で猫達が集まっていた。
「よくある猫の集会か。俺の見間違えだったか...」
ジローが帰ろうとしたその瞬間どこかから声が聞こえてきた。
「いよいよ明日だ!!俺たちが防がなければ。」
次郎は辺りを見回したが人影はいない。猫達を見ていると口を動かしていた。
「パリ組は阻止に成功したようだにゃ。」
「あなた、その猫みたいな話し方やめなさいよ。」
なんと、猫達は話していたのだ。ジローは驚き体を動かしてしまい木が折れた。
ボキッ!!
「何だ物音か?」
猫達が動き始めた。ジローは何だか怖くなって走って家に帰った。
家に帰るやいなや自分の部屋に戻ったジロー。
「いったい何だったんだ。」
訝しげに思いながらも戻って確かめる勇気もなくいつも通りの日を送った。
翌日。
「やべっ、遅刻だ。」
昨日ベッドに入ってから猫達のことを考えていたら中々眠りにつけず寝坊してしまったのだ。ジローは走りながら学校に向かっていた。
「やけに猫が多くないか?いや、考えすぎか。」
学校にはギリギリ間に合った。
「あー、また退屈な1日が始まった。」
時を同じくして一匹の黒猫は影山町を走り回っていた。
「くそっ、一体どこに仕掛けてあるんだ。アメリカ組からの情報は正しいのかっ!?」
プルルルッ、プルルルッ♪
黒猫は立ち止まり、慣れたように腰に括り付けてあるスマホを口で取り操作した。
「ジョン!爆弾の場所がわかったわ。地下水路よ。アンナが見つけたの!そこら中に仕掛けてあるみたい。爆発までまであと5分、間に合わないわ。」
ジョンと呼ばれた黒猫は舌打ちをし電話に向かってこう叫んだ。
「作戦中止だ。」
電話を切った黒猫はスマホを操作し何かの連絡をした後走り去っていった。
午後0時、影山町にはいつものチャイムの代わりに爆発音が鳴り響いた。まるでミサイルを打たれかのように町は壊滅し、生存者はほとんどいなかった。
「ここは、どこだ。」
ジローは光の流れの中にいた。光がひしめき合い、まるで洗濯機の中かのようにグルグル回っていた。自分も光となりどこまでが自分なのかわからない不思議な感じだ。まるで満員電車に揺られているかのように人の気配を感じるが、光しか見えない。心地良かった。
グチャ!
何かがこの光の塊に差し込まれるのをジローは感じた。そして引っ張られていく。
「うわぁぁあああ、どこに連れて行かれるんだ。」
そこには猫がいた。そこと言う表現が正しいのかわからない。何しろ周り全て真っ白で地面も天井もないから距離感が掴めないのだ。その猫が口を開いた。
「おはこんにちばんは。転生の時間だよん。」
「ここはどこだ。」
ジローは尋ねた。
「ここ?どこと思うかは自由だよん。君は今から猫に転生するよん。」
「転生?猫?どういうことだ。そういえば、爆発音がしてから俺はどうなったんだ。」
「君は死んだんだよん。猫になって何するかは自由だけど、良いことを教えてあげるよん。君は人類削減計画に巻き込まれたんだよん。じゃあね〜」
ジローはどういう意味か聞こうとしたがもうその時猫は消えていた。そして突然、自分と思しき光がくるくる回り始めて意識を失った。
影山町の路地裏にてジローは目が覚めた。
「一体何があったんだ。爆発、光、人類削減計画...?」
全てを思い出し起きようとして、自分が人間でないことに気づくジロー。
「くそっ一体どうなってやがる。」
ジローは本当に猫になっていたのだ。
「よう、おめぇも転生組か」
背後から声をかけられジローが振り向くとそこには全身真っ黒の猫が佇んでいた。
「お前!公園で喋ってた猫!」
「お?俺を知ってんのか?え?w それは話がはえーな。」
それからジローはその黒猫に今までの話をした。スマホを持っている猫を見たこと。猫達が話していたこと。次の日その内容通り大爆発が起きたこと。謎の光となり再び目が覚めたら猫になっていたこと。
「そりゃ、おめぇ、俺ら猫はみな元人間さ。ご先祖さん達は猫として気ままに生きてきたみてぇだが俺たちはそういう訳にはいかねぇんだ。」
次郎は呟いた。
「人類削減計画...」
そのワードに黒猫は反応した。
「ああ、残念ながらおめぇも選ばれし猫だ。これから俺たちとその計画を防ぐために動いてもらう。」
「面白くなってきたじゃないか」
ジローは不謹慎ながらワクワクしていた。
ジローの今後の活躍にご期待ください!!