幕間 5.彼女の許し
今回はユーライカ視点です。幕間にすべきか迷いましたが結果幕間です。
私が努めて、酷く丁寧に話す様にしているのは、幼い頃から憧れだった族長の娘、ユーディットの影響だ。
彼女の家はいわゆる本家で、私の家はその分家にあたる。だからという訳じゃないけれど、比較的歳の近かった私を、ユーディットは実の妹のように世話をしてくれた。私も彼女を姉と慕い、幼少の頃などはいつも彼女の後ろをついて回ったものだ。
彼女は凛々しく聡明で、勇敢で強かった。よく親族で狩りに出ていたりもしたし、私がする質問に答えられない事も無かった。私は小さいながらこの人のように成りたいと夢見たものだ。
始めの数年は彼女を必死で追いかけていたけれど、剣も槍も弓も彼女のようには上手く扱えず、知識も彼女に遠く及ばない。得る場所が殆ど無い村の中に居ては当然の結果だけれど、姉さんはどこでその知識を蓄えたのだろう。結局彼女に何一つ追いつけないまま十歳を迎えた頃にはほとんど諦めていて、母や周囲の薦めもあって、花嫁修業に精を出し始めたのだった。
それでもユーディットへの憧れは止む事はなく、せめて少しでも彼女に近づきたいと話し方や所作を真似る事にした。始めは周囲にからかわれたりもしたけれど、今ではすっかり定着していると思う。気を抜くと素の自分が漏れてしまうのが少し癪だけど。
あの日、人間たちが村を襲った日も、村の戦士たちに加わってユーディットは勇ましく槍を奮っていた。
私も一緒に戦いたかったけれど、父さんから避難誘導を任されて、私は大人しく従った。恐怖と焦燥感に駆られながらも、母さんと一緒に村の子供達や戦えない者を逃がそうと声を張り上げ、少し離れたところにある森へ皆を誘導している時に、私は捕まった。
一緒に居た何人かも一緒に捕まったけれど、母さんは小さい子を連れて先にやったのでこの場には居ない。きっと、捕まらずに逃げてくれただろう。きっと、きっと……。
その後、粗松な檻馬車に放り込まれて、何日も、幾つかの大きな街を経由して、最終的にダードルフ子爵という貴族の屋敷に売られる事になった。
……父さんや母さんは無事だろうか。
……村の皆は、子供達はどうなっただろう。
……ユーディット姉さんは、生きているのだろうか。
今でも時々思う事が有る。もし、もしもあの時、私が諦めずに姉さんを追いかけ続けていたら、少しは皆の役に立てたのだろうか。
私が強ければ、私に、力があれば――。
目を開くと、今となっては見慣れた荷馬車の帆の天井が見えた。
「――わたし……。」
口から溢れて気付いた、目の端が濡れている、涙だろう。訳も分からず、身体を起こして俯き加減に涙を拭った。寝起きのせいだろうか、まだ少し頭がぼうっとしている。
――わたし、なに、どうしたんだっけ……。
(――大丈夫や――。)
聞き慣れた奇妙な訛りの言葉が頭に響く。その途端、思い出した。
――そうだ、私、あの時……。
自分が引き起こしたであろうあの現象、風が周囲に吹き荒れて、そして、あのヒトに助けられた。あの時のあれが何だったのか自分にはわからないけれど、きっと私は危険な状態で、それを救ってくれたのがシロ様だという事は理解できた。
そう言えば、皆は無事なのだろうか。ルーデリアはどうしただろう。周囲を鈍く見回すとそこはいつもの我が家であると確かめられたが、他の子は居ない。いつもこの荷台で肩を寄せ合って眠っているのだけれど、今は居ないようだ。そこで思い至って帆の外をに視線を向けると、日差しが入って来ている事がわかった。今は朝か、昼のようだ。まずい、いつまでも寝所に居ては怠け者だとあの方に落胆されるかも知れない。さあっと血の気が引いて、身体を起こそうと力を込めた時、帆幕がすっと開いた。
「あっ!目が覚めたのですね。」
単眼族のアリーが、私と目が合った途端大げさに声を上げた。いや、あんな事が有ったのだから、不思議な反応ではないのかも知れない。
彼女の声に他の子が同様に顔を覗かせたけれど、皆同じ様な反応だ。
「おはよう。」
「ユーライカさんっ、良かったです……。」
「おっ、おはようございます!」
いつもは表情の乏しいクロも少しばかり喜んでいる感じだ。ルーデリアなんでうっすら涙をにじませている。エトはいつも元気だ。……こんなに喜ばれるなんて、もしかすると私の状態は余程よくなかったのだろうか。
「ああ、安心しました……ずっと眠ったままでしたから……。」
「……ずっと?と、言うのは、どういう?」
嫌な予感がしつつも聞き返すと、呆れたように顔を歪ませたアリーが言った。
「ユーライカ、貴女はまる三日眠っていたんですよ?今日は四日目のお昼前です。」
「みっ――!?」
「そうです。身体はいかがですか?どこか痛い所はありますか?」
心配そうにアリーが聞いてくるけれど、正直まだ私は、自分が三日も寝込んでいた事の衝撃から戻ってこれて居ない。私に一体何が……?あの時のあれが原因だろうけれど、あれは一体――。
「起きたか?」
「シロさまー。」
「はいシロ様、今しがた目が覚めたようです。」
混乱した私の思考は、あの方の声と姿を見て全て吹き飛んだ。
子供達の後ろからその長い首を覗かせて私を見つめているのはシロ様。その肌は白く輝き、その大きく凛々しい眼は吸い込まれそうなほど澄んでいる。同時にあの時の掠れた記憶が繰り返し頭を流れる。いつまでも見ていたくなるその――。
「かお、まっか。」
「まあ!大変です、ユーライカ!?具合がわるいのですか?」
「へ?」
クロとアリーの言葉が一瞬理解できなくて、でも次の瞬間には自分の顔が熱を帯びている事がわかって、咄嗟に俯いて両手で頬を抑える。ま、まずい。
アリーが荷台に上がって私の頬や首の辺りを触っているが、次第に困惑していくのがわかる。
「……あれ?それ程熱が上がったわけじゃ無いようですね。」
「アリー、大丈夫です。大丈夫ですから。」
シロ様に見とれて顔を赤くしていた、なんて悟られるわけには行かない。年長として。
横目でちらりとシロ様の方を見てみると、私の少しした辺りを見て少し困惑されたような表情をされていた。悟られたわけでは無さそうだけど、何か心配事でも有るのかしら。
尚も心配そうな他の子を諌めて身体を起こそうと力を込める。膝を立てて身体を持ち上げようとすると、ぐらりと傾いて尻餅をついてしまった。上手く力が入らない自分の体に驚いていると、白く大きな手がすっと伸びてきた。言うまでもなく、シロ様の物だが、意図がわからない。
顔が赤くなるのを必死で堪え小首をかしげる。
「ほれ。三日も寝てたんやし上手い事立てんやろ。つかまり。」
一息で顔が赤くなる。眼の前の大きな手は、その靭やかな指から生える鋭利な鉤爪をこちらに向けないように内側に折り畳まれ、優しさと力強さを感じさせた。あわあわと言葉が出ず、尻餅をついたまま固まっていると、困ったようにシロ様が声を上げた。
「いや、要らんかったらええねんけど。」
「い、いえ!」
すっと引かれそうになったその手を、慌てて掴む。過去に何度か触れた事はあるが、改めて手を握る、というのは、なんというか、感慨深いものを感じる。竜と言うには、その肢体には鱗らしい鱗もなく、一定のアニメのように走る凹凸は芸術作品のようにも見えた。
ずっとそのままで居る訳にも行かず、僅かに力を込めた。それを機敏に感じ取ったのか、シロ様は私を補助する形で腕を動かし、荷台の外へ誘導してくれる。
「立てるか?」
「は、はい。問題ないです。」
「そうか。……んじゃあエト後頼むわ。支えたって。」
「は、はい!」
そう言って、シロ様はエトと交代して焚き火の方へと戻っていく。……少し、残念。……あれ?
シロ様を追っていた視線の先、焚き火の三方にシロ様が設置してくださった座席代わりの倒木の内一本に、あの時シロ様の背後から現れた女冒険者らしい二人組が座っていて、こちらを見ている。一人はシロ様に対し無礼な物言いをしていたちっちゃな女だ。何故この二人がここに?
あの時の怒りが再燃しかけたが、シロ様がこの状態を不快に思っていないなら、私が口を出すのも違うだろう。あくまでここは、シロ様の住処で、私達五人はお邪魔している立場なのだから。それに、あれからもう三日、いや四日だっけ?が経っているのだ、私が知らない事情があるのかも知れない。そもそもこの人達は誰なのかなどの不快の念を胸の奥に押し込めて平静を装おう。
エトの先導で彼女らの向かいの倒木に腰掛けた。どうやら今は昼食の準備中らしく私も、と手を伸ばした所をアニーに「病み上がりは大人しくしていてください。」と窘められた。考えれば当然の事だけれど、それでも何もせず大人しく座っているだけというのは憚られる。
そもそもこの昼食はシロ様の勅命で行っている。これまでの暮らしから、食事とは日に二度、朝夕に質素なスープと固いパン、ごく偶に何かの干し肉というのが定番のメニューだった私達は、ここへ来てからもそのようにするつもりだった。それに異を唱えたのがシロ様で、曰く「日に三度の食事は義務やと思え。」との事で、森で生活する以上体力作りの一環として三度の食事が義務付けられたのだった。
それでも、シロ様自身食事を必要とされないらしく、始めの頃は庇護者様を差し置いての食事はある種の苦痛を伴っていた。けれど、シロ様の”一口だけ食べる”というご提案に拠って今では美味しい食事をお腹いっぱいに食べる事が出来る。それもこれもシロ様が庇護下に置いて下さったからこその物で、あの頃とは比べ物にならない程、自身のレベルも向上したのだ。シロ様への感謝の念が絶える事はないだろう。
「よかった、目が覚めたんだな。」
話しかけてきたのは背の高い、赤い髪を後ろ手に一つ結びにした女性だ。如何にも冒険者風な格好をしている。
「ありがとうございます。……えっと。」
「ああ、改めて自己紹介をしよう。私は冒険者のリリアナと言う。よろしく頼む。」
「リリアナさん、ですね。よろしくおねがいします。」
「何事も無さそうで安心したよ……。すまなかったな、連れが――おい、お前も言う事があるだろう?」
リリアナさん、優しそうなヒト、と言うか常識を持っていそうなヒトだ。それに比べて、彼女の隣にぶすっとした顔で座っている少女はどうだ。僅かな侮蔑の色を乗せて視線を向けると、彼女は仏頂面のまますっくと立ち上がった。
そのまま焚き火を迂回して私の手前で膝を折った。何事?と警戒していると彼女が手を伸ばしてくる。
「何を――。」
「ユーライカ、ええから。そのままじっとしてて。」
「え?は、はい。」
彼女の手を払い除けようとした時、シロ様に止められる。シロ様から言われれば、受け入れざるを得ない。
そうしている間にも仏頂面の彼女は私の上瞼を持ち上げて瞳を覗き込んだり、首にや額に手を当てたり手足を見たりと私を弄んだ。私は困惑したままだったが、一先ず終わったのか、その場でまたすっくと立ち上がる。
「どうや?」
「……問題無さそうです。もう一日くらいは安静にしたほうがいいですが。」
「そうか。ありがとさん。」
二人の会話から、もしかしてこの娘は医学知識でもあるのだろうか?と考えた所で、そう言えばルーデリア達の魔力過多状態を収めたのはこの娘だったと思い出した。ぞくりと背筋が寒くなった気がして、堪らず問いかける。
「あ、あの……私、どこか悪いのでしょうか?」
「ん?ああそうか、分かってへんかったんやな。」
「……あなたの魔力が暴走したんです。」
「魔力の、暴走……ですか?」
魔力が枯渇した際の症状については以前聞き及んだ事はあったのだけれど、魔力が暴走するという事は聞いた事がない。思わず聞き返したけれど、どうやら冗談の類では無さそうだった。
眼の前の少女は言葉を続ける。
「そうです。こういった魔力暴走は感情の起伏がトリガーになって起こる事がほとんどです。魔力枯渇と同様に、一定水準以上の魔力量を持っていないと起こりえないのですが、こい――シ、シっ、シロ、さん、から、聞いた事が正しいなら、あなた達は皆その危険性の中にいると判断出来るです。」
聞いた内容にも驚いたけれど、シロ様の名前を呼ぶのに酷く躊躇っている様子を見せたのが気になる。それ程まで魔獣であるシロ様を軽視しているのか、と怒りが再燃して来るのを感じたが、彼女の言葉は続いている。
「あの状態が続けば他の子や、あなたの命も危なかったのです。そ、その……今回あなたの感情に火を付けて、暴走の引き金を引いてしまったのは私、ですから……なので、その……ごめんなさい、です。」
酷く言いずらそうにしていた彼女が、俯き加減で最後に絞り出した謝罪に、思わず息が詰まった。先程の怒りもどこ吹く風で、ぽかんと唖然としていた私に続けて声をかけたのは、いつの間にか少女の傍らまでやってきていたリリアナさんだった。
「ユーライカさん、こいつも反省しているんだ。それを示す為にシロ殿の事を敬称付で呼ぶ様になっているだろう?まだまだ慣れないようだけど、今はこれが、こいつの精一杯の謝罪だと理解してくれると嬉しい。」
「わ、私は、その。」
突然の事で混乱して、どうして良いか分からずシロ様に視線を向けると「ユーライカの好きにし。」と仰った。確かにあの時、シロ様に不遜な態度を続ける彼女に腹が立った。その結果魔力の暴走が起こったのなら、それは由々しき事だろう。でも、結局は私の至らなさが招いた結果とも言える。だから、私はこの事に関しては素直に彼女に悪意を向ける事が出来ない。彼女が謝罪したのなら、もうそれでいいだろう。……あ、でも一つだけ――。
「……わかりました、私は貴女を、えっと……。」
「あ、私、ルーリエです。ルーリエと言うです。」
「ルーリエ……はい。では、私はルーリエを許します。」
「……ありがとう、です。」
沈み加減だった少女、ルーリエがほっと頬を緩ませて、緊張を解いた様だった。その喜び様に水を差すようだけれど、私は言葉を続ける。
「でも一つ、条件があります。」
「え!?じょ、条件ですか……?」
「シロ様に無礼を謝罪し、今後シロ様に敬意を示すと誓ってください。」
「……えぇ……。」
「なんですかその嫌そうな顔は!不敬ですよ!」
「いや、だって……魔獣に、敬意とか……。」
「ルーリエ!お前また――。」
「何を……っ!本来貴女が真っ先に謝罪すべきはシロ様に対してでしょう!」
「あー!落ち着けユーライカ!また暴走したらどうすんねん!」
この期に及んで不敬を続けるルーリエに怒り心頭、謝罪を受け入れる心持ちが一気に吹き飛んでしまった。大体、三日もシロ様とご一緒だったならばその御力を目の当たりにしたはずで、ならば自ずと神戸が垂れようものではないか。いと尊き御方であるシロ様を敬えないならば、この地に居られるのも不快だ。けれど、リリアナさんとシロ様の仲裁も有って、その場は何とか収まりを見せた。私もいつまでもシロ様の前で醜態を晒したくはない。
その後、私の目の前でシロ様に謝罪し、敬うと誓ったルーリエを改めて許したけれど、その顔にはまだ不本意が張り付いていたので、私も完全には許せて居なかった。
◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇
「……剣術の訓練ですか?」
私とルーリエ以外を対岸へ運び、焚き火前に戻ったシロ様からその話を聞いたのは、ルーリエの謝罪も済んで皆で昼食取った後の事だ。
「ああ。お前が眠ってる間に、皆を危険に晒した罪滅ぼしとしてルーリエに頼んでな。そしたらリリアナも手伝いたいって言ってきたから、剣の稽古をして貰ってる。あれな。」
そう言ってシロ様が対岸を指差し、その先では各々短剣を構えた子供達が、細剣を構えるリリアナさんに稽古を付けて貰っている所だった。正しい剣の持ち方を教えて貰っている様だ。
「子供達の武器が変わっていますね。」
「始めの頃はナイフを持つので精一杯やったけど、今は短剣くらい楽に振り回せるからな。つっても、慣れるまで森ではナイフのままのつもりやけどな。」
「確かにその通りですね。……それで、ルーリエには何をさせるのです?」
「ああ、それは――。」
言いかけたシロ様を遮って、ルーリエが話す。
「私は魔術を教えるです。」
「……魔術、ですか。」
シロ様のお言葉を遮るなど、と私が内心むすっとしたのも構わず彼女はつらつらと続けた。
「ユーライカ含め、皆の魔力量は同年代では異常な程あるようですし、このままではまた魔力過多や暴走を起こしてしまうかも知れないですから、予防措置として魔術を修めると言うのは正しい判断です。まったく、感謝して欲しいものです!本当なら魔術と言うのは王立か公立の魔術学院に通い、厳しい鍛錬の末身につける高度な技術なのです。それをこんな所で、それも私のような超優秀で高位の魔術師から教われるなんて――。」
「ルーリエ。」
調子よく舌が動くらしいルーリエを呼び止める。彼女はぴたりとしゃべるのを止め、何やら恐ろしげに私を見る目ている。
「な、なんです……?」
「まず、シロ様のお言葉を遮るのを止めなさい。」
「ぴっ!?」
「不敬です。貴女は先程誓った事も忘れてしまったのですか?」
「は、はいっ、ごめんなさい、です。」
「それは覚えていないという意味ですか?ならば貴女と私では超優秀と言う言葉の意味が違うようですね。」
「や、ちがっ。」
「違う?何が違うのでしょう。」
「ユーライカ、もうええって。」
「しかし――。」
「止めろ。」
「――はい。」
危ない危ない、怒りに任せてまたシロ様の前で醜態を晒してしまった。
しかしこのルーリエという少女のこの物の言い様はなんだろう。これがわざとでないとすれば、それはそれで問題だと思う。無意識に作った敵が沢山居るに違いない。高位の魔術師だと彼女は言うが、高位魔術師ともなればその程度恐るるに足りないのだろうか。少し彼女が心配になってきた。ちらりと彼女を見やると、俯いてその三白眼の端に涙を貯めているのが大きな帽子のつばの下に見える。そんな仕草をしていると、見るからに私より年下だろう彼女がより幼く見える。
暫し沈黙が流れたが、見かねたシロ様が話を続けた。
「……ま、まあ、そういう訳で最低限の技術が身につくまで、ルーリエとリリアナにはここで指導員になって貰うから。ユーライカは今日は様子見て、大丈夫そうなら明日から訓練に参加な。」
「かしこまりました。……そういう事ならルーリエ、これからご指導よろしくおねがいします。」
「えっ?……あっ、は、はい!私にお任せです!」
私の言葉にばっと顔を上げ、落ち込んでいたルーリエはぱあっと笑顔を咲かせた。
この話は私達には願ってもない提案だろう。普通に暮らしていては到底手に出来ない技術を教えてもらえれば、今後いっそうシロ様のお役に立てるかも知れない。自分たちの身の安全の為、そしてシロ様の為に頑張ろうと決意を新たにする。
――……待って。と言う事はもしかして、それまでルーリエとリリアナさんはここに住むという事に……?
一見、シロ様に敬意を払って見えるリリアナさんはまだしも、自然と不敬を働くルーリエとの共同生活を思うと、新たにした決意に泥水を浴びせられた様な気分になった。
読んで頂きありがとうございますm(_ _)m
作品作りのために感想など残してくれると嬉しいです。




