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遭遇

この学校、アルシミー学院は、錬金術の研究者及び世界各地で旅をして新たな錬金術を見つけるといった人材を排出する学校である。

前者に関してはさておき、後者の人材を育てる上でチームとしてのコミュニケーション、助け合いの精神を育むため、及び云々と将来的にグループ活動でも活躍出来るように授業が組まれている。かく言う私フィリアも後者の例外ではなく、将来は旅に出ようと決めていた。


そんな生徒を成長させるためにつくられた仕組みの大黒柱とも言えるシステムが、これから行う"チーム決め"だ。

ルールは簡単。新入生は1つの島に一斉に放り込まれ、散り散りになる。そして自分のチームの色のついたゼッケンを渡される。そして島中を巡って同じ色のゼッケン、すなわち同じチームの人を見つけ出すのだ。また同時に、島中に隠されたクリスタルを発見しなければならない。チームが三人揃い、なおかつクリスタルを持った状態でゴールにたどり着けばチーム決めは終了。その時のチームメンバーと一緒に苦楽を共に過ごすのだ。ちなみにメンバー探しとクリスタル探しはどちらから行ってもいいようになっている。また、島中には色々な道具の他に魔物も若干数だが存在する。道具を上手く使ったりして効率的に仲間を発見、及び魔物の退治も必要とされ、意外と本格的なのである。


"パァン!"

スタートを知らせるピストルが鳴った。その直後に地震のように大地は響き、島中のあちこちから「ウォラアアアアア」とかなんとかよく聞き取れない叫び声が上がった。きっと威勢のいい男子たちだろう。元気だな~と心の中で思いつつ、そんなことしても余計に疲れるだけなのに、と感じていた。

「まずは薬草でもとろうかな」と私は思い地面をよく観察しながら歩きだした。最初に生徒に渡されるのはパンとお水、そして非常時のための伝煙弾のみである。その為何もトラブルなく過ごすには十分なのだが、何かトラブルがあったとには物足りない装備なのだ。心配性な私は、万が一一人で魔物に襲われたときに対処できるようにアイテム探しから始めた。幸い私は薬草の扱いには慣れていたし、どういうところに生えているのかもなんとなく分かったからそうした場所に移動して採取を始めた。やはりと言えばやはりなのだが、採取地に行ってみると私と同じ考えの人は少なからずいたようで地面とにらめっこしている人がそこそこいた。私もその中の紛れて黙々と採取を行っていたその時だった。

「あ!一人目見つけたー!」

それはどのかで聞いたことのある声でパッと私は顔をあげた。が、他の人にとっても聞き覚えのある声らしくその場にいた人のかなりの人が声の主の方向に顔を向けていた。入学式直後で知り合いもいないはずなのにどうして皆聞き覚えあるのだろう?と私は不思議に思った。しかしその謎は声の主を見たらあっさりと解けてしまった。入学式で新入生代表を勤めていたあの彼女だったのだ。入学式で真面目そうな雰囲気を醸し出していた彼女が子どもっぽい大きな声を人前で発することにも驚いたが、彼女のゼッケンを見てさらに驚いた。なんと同じ色だったのだ!

「もしかして同じチームですか?」

人見知りな私は恐る恐る彼女に尋ねてみた。すると

「ぎゅーーっっっっ!」

「え、え、ええええっ!?」

私の手には摘みかけの薬草が握られたまま、多くの人の前でなんら躊躇うことなく、彼女はいきなり私に抱きついてきたのだ。私はどうしていいかわからず、また驚きに体の神経が支配されてしまったため何も出来なかった。暫く時間が経った後そっと彼女は私を放してこう言った。

「一緒のチームだね!これからよろしくね‼」

抱きつく前に最初っからそれ言ってよ!と私は心の中でツッコミ

「よろしくね」

と返事をしたと思ったら、

「よっろしくー!」

とハイテンションで言いながらまた抱きついてきた。

この人抱きつき魔なのかっ!?と心の中で思ったが、流石に次は口に出した。

「恥ずかしいから人前で抱きつかないで」

すると彼女は私の耳元に唇を近づけこう言った。

「じゃあ二人きりになったらその分たくさん抱きつくね」


そんなやり取りを後三周くらいやった後、私は恥ずかしさから少し別の所に彼女と移動した。


「私の名前はレナよ。あなたは何て言うの?」

「私はフィリアよ。」

「フィリア…素敵な名前ね‼あなたにスゴく合ってるわ。よろしくねフィリア!」

「よろしくレナ」

落ち着いた彼女はいたって自然でさっきまではしゃいでいた人とは別人のようだった。

「ところでなんだけど、、、」

レナは何か言いたげで、でも言いづらそうな顔をしていた。

「何でも言っていいわよ。同じチームじゃない」

そんな迂闊なことをポロっと口に出した少し前の自分に出会えるなら出会って殴りたい。そう思った。

「フィリアってちっちゃくて可愛いわね‼ぎゅーーっっっっ!」

また抱きついてきたのだ。

「ちょっと!人がいないからって抱きついて言い訳じゃないからね‼ていうか抱きつく必要ないじゃない‼」

「いいえ、あるわ!私は可愛いものが好き。目の前に可愛いものがあるのに抱きつかない訳にはいかないのよ!」

「そんなの理由になってなーーい!」

私は離れようと試みたがレナは想像していたより力がずっと強く私の力ではどうにも出来なかった。

「あぁ~私もフィリアみたいに小柄に産まれたかったな~」

「何よそれ‼小さい私に対しての嫌みなの?」

ちょっとキレ気味に返してみた。キレてないですが。

「え~絶対に小さい方がいいじゃん。可愛いお洋服とかたくさん着れるし~」

「小さい人にはそれなりの苦労とかあるの!」

「ハーイ」

採取の為に山に登って、高さ的に採れなくて困ったことが何度あっただろうか。家族は比較的身長が高いのに私だけずば抜けて低いのでいつも悔しかったのに……


その時、私がレナに低身長がいかに困るかを熱弁していた時のことだった。


私達は魔物に遭遇してしまったのだ。

書くのが遅くなって申し訳ありませんでした。

今後は最低でも週に一、二回の頻度で更新出来るように頑張ります。

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