入学式
かのアリストテレスは言った。この世の中の万物は火、風、水、土の四代元素で作られていると。その考えが広間って以来、人類は物質の分解、そして精製について多くの研究を行い、アリストテレスの死後およそ2300年という長い年月を得て、物質の分解と精製を可能としたのであった。
しかしそれは徐々に進んできたものではない。ちょうど10年前にカラレルという研究者が生み出した"銀玉"という物質の誕生を境に急速に進んだのだ。そしてカラレルは銀玉を生み出し世に広げると時を同じくして、突然姿をくらました。
それから100年後………
思わず上を見上げてしまうほどの門の前にたち、これから始まる学生生活に期待を膨らませ、ちょっとした不安も抱えつつ、私は校門をくぐり抜け純白の石のみで造られた校舎に入った。私の人生はここから始まるのだ。と、言い聞かせつつ
申し遅れた。私の名はフィリア。今日からこの第一アルシミー学院に入学するものだ。第一アルシミー学院は錬金術について学ぶ上で最高峰の学校である。また、フィールドワークを中心としたアグレッシブな授業も行っている一風変わった学校としても有名で私がここを選んだ理由の大きな要因の一つとなっている。私の父は若い頃に病に倒れ、母とも離れていたため祖父母の家で育ってきた。祖父母の家は今でこそカフェを営んでいるが、実は二人とも元錬金術師であり、そのため私の家には壁を埋め尽くす程の錬金術に関する書物が存在する。そんな環境で育ってきた私にとっては錬金術は馴染み深く、また興味が出るのも至って自然なことだった。また、特に祖父なのだが、私が幼い頃から錬金術についての話をたくさんしてくれたり実際の錬金術をしょっちゅう見せてくれたため幼い私はその魔法のような祖父の手つきに憧れてきたのだ。
そんな私にとって第一アルシミー学院に入学出来たことはこの上なく嬉しいことで、当然祖父母にとっても喜ばしい報告となった。
「ご入学おめでとうございます」
「こちらのサークルに入りませんかー」
「始業式の講堂はこちらでーす」
様々な声が聞こえ、好奇心旺盛な私はあっちにいったりこっちにいったりとうろうろしていたらあっという間に時間は過ぎ、気づくと入学式の10分前になっていた。
私は急いで講堂に向かい、なんとかこの広いキャンパスから講堂を見つけることができた。
ちょうど私が入室するときは、新入生代表の挨拶だった。代表の生徒は女子生徒で恐らく入試でトップだったのだろう。彼女の長い髪は艶のあるストレートで、後ろで一つに束ねてあった。背は平均よりも高めで、後ろ姿しか見なくても美人であることは間違いないと断言できるオーラを放っていた。小柄な私は「ああ、あれくらい身長が欲しかったなぁ」と思いつつ、彼女の流暢な挨拶を聞き流していた。この時の私は、今後彼女と関わることになるなんて思いもしなかった。
長い長い入学式を終えて、それでもなお話したりないご様子の先生がたから私達はたっぷりと説明を受け、恒例行事に望む準備を進めていった。そう。今後の学生生活でずっと行動を共にする仲間を決める、チーム決めだ。
はじめましての方ははじめまして。お久しぶりの方はお久しぶりです。天宮 結春と申します。
今度は異世界もの?の学園生活を中心とした作品を書かせていただきます。
何卒よろしくお願いいたしますm(__)m