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第二百章 ダンジョンマスター友の会 8.新ダンジョンの方針

『いや~……色々と参考になる事が多かった。ダバル、()く彼らとの間を取り持ってくれたな。礼を言うぞ』

『恐れ入ります』



 ダバルの「ピット」における先輩ダンジョンマスターたちとの懇親会を終えて、本拠としている「洞窟」に戻って来たクロウは上機嫌であった。

 自分がこれまでに整備してきたダンジョンが、世間一般の通念から少し(・・)外れるところがあったのは()(かん)だが、それとて与えられた状況の中で最適解を模索した結果だ。仮令(たとえ)ダンジョンとしては異質でも、問題解決の手段としては悪くない選択であった筈。

 しかし……



『今度マナステラに開く予定のダンジョンは、できるだけ一般的なものにする予定だからな』



 自信満々にそう宣言するクロウであったが、爺さまやシャノアは疑いの(てい)である。



『……造ると言うても、その場所はマナステラなんじゃろう? マナステラの国情を掻き乱すのは(まず)いとか言うておらなんだか?』

『そっちは後で考える。運用面は後からでも調整できるだろう。整備に時間のかかる箱物を先に造っておく。それに第一、現状で他に候補地は無い訳だからな』



 ――と、バブル期の誰かのような事を言う。



『何、いざとなったら転移トラップでテオドラムのやつらを誘致する手だってあるんだ』

『誘致ねぇ……誘拐の間違いじゃないの?』

()拐と拉()を短縮したのでは?』



 揶揄(やゆ)するような声も上がるが、明確に反対を表明する者はいない。と言うか、懸念があっても代替案を提出できない以上、反対だけしても説得力は無い。それに何より、クロウの意見そのものに、明瞭な()(びゅう)は認められないのだ。



『ダンジョンの構造については後で考えるとして……先に検討すべきはやはり、冒険者どもを(おび)()せる方策だろう』



 ダンジョンモンスターの素材を餌にするのか、それとも宝箱などから得られるドロップ品を餌にするのか。それによってはダンジョンの構成も変わってくる。

 ただし、クロウの中ではこの問題は既にけりが付いていた。



『どこの馬の骨か判らん冒険者どものために、うちのモンスターを危険に(さら)すような真似ができるか。素材にするなど(もっ)ての(ほか)だ』

『でもクロウ、それだとダンジョンモンスターたちを使わないって事になるんじゃないの? 当のモンスターたちから異論が出そうだけど?』



 (そもそも)新たなダンジョンを開く動機の一つが、出番の無いダンジョンモンスターたちに活躍の場を与えるというものである。ここで過保護な真似をすれば、不服の声が上がるのは間違い無い。



『そこも一応は考えてある。適当なタイミングを見計らって、爆煙に紛れて撤退させるつもりだ。転移を使えば見破られる(おそれ)は少ないだろうし、念のために「身代わりの指輪」みたいなのを与えておくつもりだ。現場に〝ドロップ品〟を残しておけば、勝手に誤解するだろう』

『あっ! マスター、火遁の術ってやつですね!?』



 クロウの素案を大興奮で支持した(キーン)がいた事で、この案は――苦笑いで――了承される事になった。手厚い安全策を講じると言うのに、反対する必要も無いではないか。



『そうなると……〝ドロップ品〟とやらが問題になるのぅ』

『あぁ。その点についても「友の会」の方針は参考になった。まさか初心者向けに、「呪いの装備作成キット」なんてものがあるとはな……』


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