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第百九十四章 王都イラストリア 3.王国軍第一大隊(その3)

 ふん――と(しばら)く表を眺めていた将軍、今度は()(ざと)くもニルの箇所に目を付けた。



「おぃウォーレン、ニルで何かあったってぇなぁ、(わし)は初耳なんだが? こりゃ、テオドラムのニルだよな?」

「はい。例の『エメン追跡隊』の報告を見直していて気付きました。ニルの南で雷鳴のようなものが聞こえたそうです。正確な位置が不明だったので、取り敢えずニルとしておきました」

「雷鳴……?」

「はい。モローの近くでやはり〝雷鳴のようなもの〟が聞かれた事と照らし合わせると、無視はできないと思いまして。ただ……ダンジョンについての噂は何も無かったとの事ですので、ダンジョンのグループには入れていません。モローの場合も同じで、雷鳴の発生現場と目された場所に、ダンジョンは確認されていません。ただ、どうもこの場所はドラゴンの通り道だったらしいとの報告がありました。Ⅹとドラゴンの関連が疑われていますが、これにしても確信の持てる段階ではないので」



 将軍は(しばら)く考え込んでいたが、結局はウォーレン卿の判断を妥当なものと認めたようだった。



「ふむ……モルヴァニアの件をダンジョン組に入れたなぁ、なぜだ?」

「冒険者ギルドに問い合わせたんですけどね。鬼火(ウィスプ)というものは()()べてダンジョンに出現するものだそうで」

「……ちょっと待てウォーレン……モルヴァニアにダンジョンが現れたってのか?」

「いえ。そういう訳じゃありませんが、鬼火(ウィスプ)が現れたのは事実のようですし、鬼火(ウィスプ)()()べてダンジョンに出現するというのも事実のようなので」



 納得できないような顔のローバー将軍であったが、取り敢えずは納得――或いはスルー――する事に決めたらしく、表の先に目を()った。現「災厄の岩窟」付近でスケルトンワイバーンが姿を消したという話は、既に耳にしていたらしくそのまま流したが……



「……グレゴーラムの騒ぎについちゃ、何か判ったのか?」

「マーカスからの情報です。何でもテオドラムの流民から聴き取ったところでは、グレゴーラムの駐屯部隊がモンスターと(いさか)いを起こしたとか」

「何だそりゃ?」



 不得要領な話に不機嫌そうなローバー将軍だったが、続くウォーレン卿の説明を聞いて、今度は頭を抱える事になる。



「どうも、元々のネタが曖昧(あいまい)なものらしく、その流民も詳しい事までは知らなかったようです。ただ、地元ではテオドラム軍がモンスターと()めた結果、腹を立てたモンスターがグレゴーラムを襲うというのは、大真面目に懸念されていたようで」

「……()に落ちん事は多々あるが、この件がモンスター絡みらしい事は解った」



 ウンザリした様子で表を眺めていたが、終わりの方になって再び眉根を寄せる。



「……ウォーレン……このアバンってなぁ、確か例の『(まよ)()』が出た場所じゃねぇのか? ……ダンジョンだってんならまだしも、何でノンヒュームが関わってくる?」



 期待どおりの箇所に気付いてもらえたせいなのか、やや満足げな(こわ)()で説明するウォーレン卿。



「ヴォルダバンの商業ギルドに、『(まよ)()』のドロップ品について問い合わせてみました。向こうは散々渋っていましたが、ドロップ品の中に年代物の食器や宝飾品が含まれている事までは口を割りました」

「……おぃ……ウォーレン……」

「えぇ。先だっての会議の際に、沈没船からのサルベージ品候補として挙げたものです。ダールとクルシャンクの報告によると、現在までそれらが市場に流れた形跡は確認されていないそうです」

「……こいつがサルベージ品だとして……古酒や古革はノンヒューム経由で表に出てきた訳で……てぇ事ぁ……」

「ノンヒュームがこの件に関わっている、もしくは、Ⅹとノンヒュームが繋がっている事を示しているかと」



 ちなみに――と前置きした後で、ウォーレン卿はヴォルダバンの冒険者ギルドが抱いている懸念についても報告した。……アバンの「(まよ)()」がダンジョンであるという可能性を。



「……よくもまぁ色々と嗅ぎ出してきたもんだ。……これだけか?」

「いえ、こちらをご覧下さい」


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― 新着の感想 ―
[一言] ウォーレン卿頭良すぎやない? そして、これを考え小説にする主さんも頭良すぎやない?
[一言]  どうにもここ暫く話がぶつ切り過ぎて読み返す時困るな。時系列が飛び飛びで入り乱れてるんじゃなく、同じ人たちが同じ場所で同じ話題について話してるんだけど、わざわざ切る必要があるのか疑問。
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