第百六十一章 精霊からの依頼 5.オドラント~お披露目~
少し短いです。
新たに仲間に加わったシャノアのお披露目も兼ねて、俺たちはオドラントを訪れた。爺さまからの依頼に関して、俺の腹案が実行可能かどうかを検討しなくちゃならんからな。
『……しかし……闇精霊ですか……』
『精霊の事は知っていましたけど……』
『実物を見るのは初めてっすね』
ペーターやヴィンシュタット組は呆れているようだが、ダバルは生前魔族、ネスは魔術師だったんだから、それほど珍しくはないんじゃないか?
『いえ……魔族だからといって、精霊と近所付き合いをしていた訳ではありませんし……』
『生前の事はまだ能く思い出せませんが……精霊をまじまじと見る機会は無かったように思いますな』
そんなものか。……って、シャノア、お前が何で驚いてるんだよ?
『驚きたくもなるわよ! なによこの連中!? 規格外にも程があるでしょ!』
……いや……どこが規格外なんだよ? 普通のエルダーアンデッドに、普通の魔族に、普通のリッチに、普通のダンジョンコアだろ?
(『……ラインナップ自体が普通じゃないという事は……』)
(『きれぃにスルーですねぇ』)
『だから……何でそんな面子がここに揃ってるのよ!?』
『そりゃ、俺がダンジョンマスターだからだが?』
『ダンジョンマスター!? ……って、ダンジョンマスターが何でほいほい外を歩いてるのよ!?』
何だ? こいつ、俺が何者かも知らずに契約したのか?
『あ~……すまんの、聞いておらなんだか』
『精霊樹さま!?』
『こやつは異界からの渡り人にして、複数のダンジョンを指揮下に置くダンジョンマスターじゃ』
『……はい……?』
何かが抜けたような顔をしているが……大丈夫か? こいつ。……まぁ、魂を抜かれた精霊の顔なんてレアなんだろうし、この際だからしっかり見ておくか。あ、再起動した。眷属たちが事情を説明しているな。……その説明を聞いて一気に老け込んだみたいだが……
『……ダンジョンコアと一体化……日帰り……ドラゴンスレイヤー……』
『あ~……ドラゴンはそんなに気にしなくていいよ?』
『確かに。昔はともかく、今となってはそれほど気になりませんな』
『おぃしかったですぅ』
『食べた後の骨で、スケルトンドラゴンとか、創ったよね、マスター』
『……聖魔法を纏っておったがな』
『聖魔法を帯びたスケルトンドラゴンって……噂になってたけど……まさか……』
『ワイバーンの群れを一掃できる戦艦とかもあるよね』
『あれも……一応は……ダンジョンでしょう……』
『他にも幽霊船とか』
『…………』
……何だか段々顔色が悪くなってきたな。大丈夫か? シャノアのやつ。
『おいシャノア、何なら契約を解除するか? 無理をする必要は無いんだぞ?』
一応大人の気配りってやつを見せたんだが……
『……何よそれ。あたしじゃ力不足だろうって言いたい訳?』
『いや、そういうんではなくてな……』
『馬鹿にしないで! こうなったらどこまでも、えぇ、仮令異世界へだって地獄の果てまでだって、付き合ってあげるわよ!』
いや……俺のマンションを地獄扱いするなよ。




