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第十八章 金策 1.洞窟にて

覚悟を決めたクロウが、いよいよ町へ金策に出かけます。それも王都に。引き籠もりの彼にしては大決心なのです。

  一応売り物になりそうな天然石の原石を確保したので、試しに町で売ってみようという話になった。値がつくかどうかも判らん原石だけじゃ心許(こころもと)ないので、薬草も少し持って行こう。


 で、どこに行けばいいだろう?


『薬草はともかく、原石となると、大きな町でしか売れないんじゃないか?』

 購買力が心配なので、売りに行くなら都会の方がいいかもしれん。


『となると、王都かのぅ。どのみちバレンやエルギンは(まず)いじゃろう?』

『ないな。どこで姿を見られてるか判らん。そこいらは鬼門だ』

 ふむ、爺さまの言うとおり、いっそ王都にするか。王都ならアクセサリーの需要も大きいだろうしな。懸念といえば王都には魔力持ちが多いだろう事か。俺の正体がばれると面倒だ。


『王都に行って大丈夫ですか? (ぬし)様』

『ご主人様の正体がばれたら一大事でございますな』

『ああ、だからそれなりの用意をしていくさ』


 堂々と素顔を(さら)して行くつもりはない。認識阻害の魔法はあるみたいだが、そんな魔法を使っていると気づかれたら却って不審を買う。第一、そんな魔法は知っちゃぁいない。ここは一つ小説の定番、変装術の出番だろう。


『なるほど、肌の色と髪の色を変えるわけですか。ご主人様の世界には便利なものがありますな』

『国境の時はマスクで顔を隠したけど、王都でやったら目立つだろう?』

 カラーコンタクトやヘリウムガスなんていうものも準備できなくはないが、そこまでやるのも面倒だしな。


『この世界の変装ってどういう感じなんだ?』

『同じようなもんじゃのう。髪や肌の色を変えるくらいじゃが、お主が見せた品の方が質はいいようじゃな』

『ふん、そうか。あとは……綿でも含んでおくか』

『うん?』

『あぁ、綿をこういう具合に口に含むとな……』

『おぉ、顔つきがかなり変わって見えるのう』


『ご主人様……お一人で……行かれるおつもり……ですか?』

『いや、万一に備えてライとキーンを連れて行く。ライには内懐(うちぶところ)に張り付いて、プレートメイルの代わりになってもらう』


『スライムとスキンクを……連れた異邦人というのは……エッジ村で知られている姿と……重なりますが?』

『エッジ村に寄ってから飛行術で王都に向かう。変装の事を抜きにしても、時間の関係で同一人物とは思われまい』

 アリバイ工作くらいはしておかないとな。


『判り……ました』


 エッジ村に顔を出して幾つかの聞き取りを済ませた後、素知らぬ顔で山へ入る。薬草探しと称してしょっちゅう行方をくらませているから、今更不審がられる事もない。空を飛ぶのは暗くなってからだな。明朝に王都に辿(たど)り着けるように、深夜に出発すればいいか。それまでは適当に時間を潰しておくか。

もう一話投稿します。

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