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第九十八章 南街道 2.テオドラムの襲撃(その2)

序盤に少し殺戮のシーンがあります。

「リーダーッ!?」

「糞っ! 散開っ!」



 散らばろうとした六騎の足下の地面が突然脈動し、足を取られた馬が騎手もろとも転倒する。逃げ足を奪われた六人の運命はここに決まった。突然現れた火球に焼き尽くされる者、突如として地面から生えてきた石の杭に貫かれて絶命する者、八方からの飛礫(ロックバレット)を浴びて蜂の巣になる者、水球に頭部を覆われて窒息する者……。束の間の惨劇が終わるまでに五分と要さなかった。



『大した手並みだな……』



 万一に備えて後方に網を張っていたアンデッドたちのリーダーであるニールが、そう念話で語りかけてきた。元・冒険者のアンデッドとフェイカーモンスター。種族は違うが同じクロウの配下である彼らは、念話で意思を疎通する事ができた。



『ウィンとスレイが足止めしてくれたからね。もう少し数が多かったら、ニールさんたちにも回ってたと思う』

『七人程度じゃ物足りねぇか……』

『マスターなんか五十人だよ? それに較べれば……』

『ご苦労。そっちも無事終わったみたいだな』



 声をかけるのと同時に、クロウが姿を現す。



『あ、マスター』

『ご主人様、そっちもお済みですかぃ?』

『あぁ、無事片づいた。こっちの屍体も片付けようか。携帯ゲートを出すから、そこに屍体を放り込んでくれるか?』

『解りやした。おい』



 ニールの合図でパーティメンバーの三人――剣士のゲイル、壁役のブロッド、魔術師のメズ――が手分けして屍体をゲートに放り込む。血痕を始末して惨劇の跡を消すのに十分もかからなかった。そこへブロッドが馬を引いてやって来る。



「ご主人様、奴らの馬はどうします? 放っておいても不審に思われますが」

「馬か……確かに残しておくのも(まず)いな」

「足を痛めているのもいますが……」

「あぁ、足止めを食らった時か。まぁ、そっちは当てがある」



 クロウは何やら念話で連絡していたようだが、やがて目の前に一体の怨霊(ゴースト)が転移してきた。



「この怨霊(ゴースト)は聖魔法持ちだからな。馬の治療くらいできるだろう」



 言われた怨霊(ゴースト)は自信ありげに(うなず)いて、馬の足首に手をかざす。馬は少し(おび)えていたが、クロウが(なだ)めると温和(おとな)しくなった。



「聖魔法持ちの怨霊(ゴースト)が馬の治療か……」

「人生、死んだ後も毎日が勉強だな……」



 感に堪えない様子のアンデッドたちに、クロウが指示を下す。



「ニール。お前は亜人(ノンヒューム)たちと顔を繋いであるな? 馬たちを彼らに引き渡してくれ。それくらいの後始末はしてもらおう。その後も、済まんが一応警戒を続けてくれ。何かあったら連絡しろ」

「解りやした」


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