表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
356/1814

第八十六章 ホップ再び 2.オドラント

 さて、ホップをモンスター化する――もう自分を偽る事はしない。どうせ今回もモンスターになるに決まっているんだ――に当たって、地球からホップを持ち込むか、この世界にあるホップ――トゥバはハヴァと呼んでいたな――を使うかを決めなくてはならないが……既に手元にこちら産のホップ……ハヴァがあるしな。これをそのまま使ってみよう。地球のホームセンターなんかだと、雌花だけしか入手できない可能性が高いが、手元にある分は葉も茎もついてるしね。


 雄株をどうするか考えたんだが、ビールに使うのは未受精の雌花だけで、地球世界でも雄株は極力栽培しないようにしてるから、今回は見送る事にした。有性生殖による繁殖が必要となったら、その時点で新たに生み出せばいい事だ。


 オドラント試験場の新たな階層へ移動して、乾燥したホップ……ハヴァに死霊術を使用してみる。ちなみにこの階層は、こんな事もあろうかと(・・・・・・・・・・)考えて、予め農場用に準備しておいた一つだ。死霊術は問題なく発動し、枯れていたハヴァは青々とした苗木に生まれ変わった。



【種族】イモータルハヴァ

【地位】アンデッドに由来する新種の植物モンスター

【特徴】アンデッドとしての性質を保持しているため生物としての寿命が無く、無限に成長してゆく。その一方で有性生殖の能力は失われており、花は咲かせるが稔性(ねんせい)を持たない。従って繁殖は栄養生殖のみ。

 殺菌効果の高い芳香成分を産生する。葉を乾燥させたものは虫除けとしても利用できる。



 あぁ、予想していましたとも。ちゃんとモンスターになってくれました。ダンジョンの外には出せないのが決定したな。まぁ、ホップの生産性は高いようだから、俺としては文句はない。現在あるのは一株だけだが、地球世界でもホップは確か挿し木で殖やしていた筈だから、こいつが大きく育てば株を増やす事もできるだろう。鑑定結果にも栄養生殖って書いてあるしな。イノームケインのように挿し木で増やした株がモンスターとしての性質を失っても、それはそれで普通のハヴァが増えるだけなので問題は無い。さて……こいつをどこで栽培するかだな。


 新しい階層には何も植わっていないとはいえ、ど真ん中に植えるのも何だしな……四等分した区画の真ん中くらいでいいか。


『スレイ、ウィン、この辺りに植えようと思うから、土を馴染ませてくれ』

『はい』

『かしこまりました』


 発根したばかりの小さな根がきちんと土に馴染んだのを確認してから、ライに水を出してもらう。


『はぁい、ますたぁ』

『マスター、肥料はあげなくていいんですか?』

『あぁ、根が生えたばかりだからな。もう少し大きくなってからでいいだろう』



・・・・・・・・



 うん……次の日には差し渡し二メートル以上の株に育ってたよ。大きく育った株から枝を切り取って、挿し木で殖やした株もちゃんとモンスターだったよ。あぁ、判っていたともさ。


『……(ぬし)様、肥料、どうします?』

『……毒を食らわば皿までだ、やろう』


 挿し木株もちゃんと大きく育ちました。


『これでホップの供給は確保したってわけですね♪』

『……嬉しそうだな、カイト。しかし、ホップ供給の目処が立ったからといって、ビールが即座にできる(わけ)じゃないのは知ってるだろう? 仮に今すぐ仕込んだとしても、できあがるまでに一ヵ月はかかるんだぞ。間違えるなよ』

『解ってますって。んじゃ、俺たちは小麦の手配をしときますんで』


 ……酒絡みだと自発的に動くんだよなぁ……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ