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第八十一章 テオドラム 2.ヴィンシュタット

 最初にその報せをもたらしたのはハクだった。



「町に見慣れない冒険者が増えてる?」

「はい。肉屋のマッジさんのところでお客さんが話してました。冒険者っぽい人たちが増えたけど、余所(よそ)(もの)なんじゃないかって」

「ふむ……。何が起きてるのか判らんが……とりあえず注意だけはしておいてくれ」



 二件目となる情報は五日後、バートによってもたらされた。



「イラストリアの冒険者だと?」

「へぇ。向こうはこっちに気付かなかったようですが、ありゃ、リーロットにいた父っつぁんです。それに他にも、どっかで見たようなやつらがちらほらと……」

「しかし……何でイラストリアの冒険者がテオドラムの首都にやって来るんだ?」

「……護衛依頼が集中したとか?」



 自信無げなフレイの見解をクロウはしばらく検討していたが、すぐに首を振った。



「いくら何でも不自然だろう。ハクが最初に報せを持ってきてから五日は経つんだ。目立ったイベントも無いのに、そんなに長い期間イラストリアからの護衛依頼が集中するものか? 護衛を終えた冒険者が、ずっとここに留まっているというのもおかしな話だろう」



 それもそうかとフレイも納得したが、だとすると猶更(なおさら)理由が判らない。首を(ひね)っているところに、ハイファからの念話が届く。



『ご主人様……冒険者の……事なら……ギルドが……知って……いるのでは……』

 なるほど。


「冒険者ギルドを探ってはどうか、そうハイファが言うんだが」

「名案かもしんねぇです。俺が探ってきましょうか」

「いや。イラストリアの冒険者がいるかもしれん。夜になってから、ケイブバットとシルエットピクシーを飛ばした方がいいだろう」



・・・・・・・・



「対魔獣戦の講師ねぇ……」



 夜になってから飛ばしたケイブバットとシルエットピクシーは、首尾よくギルド内の会話を探ってきた。



「テオドラムの冒険者ギルドからイラストリアの冒険者ギルドへの依頼、そういう事になってますが……」

「その実態はテオドラム軍の依頼だろうな。シュレクのダンジョン討伐というのも口実だろう。いや……半分くらいは本気かも知れんが」

「やはり二個大隊を失ったのが直接の動機でしょうか?」

「多分な。自国の領土内で跡形もなく軍勢が消え失せたんだ。モンスターでもないと説明がつかんと考えたんだろう。しかもその原因となったモンスターは、まだテオドラム領内にいる可能性が無視できんのだからな」

「うわぁ……」

「そりゃ慌てるわけだ……」



 原因は判ったものの、当分は――俺も含めて――イラストリア出身組は動きにくくなったのも事実である。



「何か対策を考えるか……」


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