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第七十八章 砂糖 4.シュガートレントの誕生

 デパートや園芸店、東○ハ○ズまでも探し回って入手したサトウキビをオドラントの試験場に持ち込んで、早速栽培実験に取りかかる。サトウキビ自体は地球でも挿し木で殖やしているから、木魔法を使えば容易に根付くだろう。魔法を使えば多少は成長を促進させる事もできると期待しよう。甘茶もついでに買っておいたが、これは後回しにする事にして、マンションの自室に置いてある。


 さて、今回はもう一つ、サトウキビの品種改良――というか魔改造――を試してみなくちゃいけない。魔法のあるこの世界でもいろいろと品種改良の技術だか魔術だかが確立されているんだろうが、それを学んでいる暇なんか無い。なので、ここはいつものとおり()(ちょう)を捨てて――捨てるほどの量が残ってないんじゃないかという気がしているが――「壊れたダンジョン」のスキルに頼るとしよう。


 なに、当てはある。以前にここで掘り出したトレントの残骸だ。あれなら確実にこの辺りの環境で生育できる筈だからな。モンスター化したところで、俺のダンジョン内なら問題ない。外に出す分は改めて魔改造すればいいだけの話だ。


 トレントの残骸とサトウキビを用意して……ん? この場合はクリエイト・モンスターになるのか? ……まぁ、やってみれば判る事だ。



・・・・・・・・



【種族】シュガートレント

【地位】新種の植物

【特徴】糖度の高い樹液を分泌する。魔力の多い環境ではモンスター化する可能性がある。



 ……よし、ダンジョンモンスターにはならなかったな。


 とりあえず目標は達成したという事で、試験場の畑で栽培するとしよう。木魔法と土魔法を持つウィンに畑の土管理と生育促進を頼んで……ついでに同じ能力を持つハイファの分体を管理人代わりに置いておくか。



・・・・・・・・



 翌日試験場を訪問した俺は、現場の状況に目を疑った。


『ハイファ……これは一体どういう事だ?』


 トレントがおかしくなるのは覚悟していたが……このサトウキビは一体どうしたわけだ? 成長が早いくらいは想定していたんだが……。


『ご覧の……とおりです……上に伸びる……だけではなく……あっという間に……根を……張って……根元から……新しい……茎が伸びて……このように……』


 挿し木したのは一本ずつ。なのに、その周囲から多数の茎が伸びて、解りやすく言えばススキの株のようになっていた。それも飛び切り大きな株だ。


『これって……異世界から持ち込んだサトウキビだからか? それとも、ここがダンジョンだからか?』

『断定は……できませんが……後者の……影響が……大きい……ように……思えます』

『まぁ……当面は他所(よそ)に持ち出すつもりはないからいいか……』


 力無く(つぶや)きながら、俺は隣の畑に目を向けた。昨日シュガートレントを植えた区画だ。そこに生えているのは……



【種族】シュガートレント

【地位】新種の植物モンスター(・・・・・)

【特徴】魔力の多い環境におかれたためモンスター化した。糖度の高い樹液を分泌する。



 ……モンスター化したか。何かわさわさ動いてるし。しかも、昨日は膝の下くらいの草丈だったのが、今では見上げるような大木に育っている。形態はほぼトレントみたいだな。サトウキビの面影は何処(どこ)へ行ったやら。



『とりあえず搾汁してみるか……』

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