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第五十四章 新たなダンジョン 5.ピット~改造~

ダバルとフェルにとっての試練です。

 廃鉱の更に地下深くに、未知の大鉱床が存在する。錬金術の素材探査を実施した結果、俺はその事に気づいた。この鉱山が廃鉱になったのはその鉱床の存在に気づかなかったか、あるいは当時の採鉱技術では深すぎてコスト割れすると思われたか、そんなところだろう。ともあれ、これを餌にする事はできるんだが……。


『マスター、このダンジョン、奴隷狩りの一味を始末するのに使うんですよね? 金塊目当てにやって来る連中って、奴隷狩りとは毛色が違いません?』

 ぬぅ……その可能性は小さくないか。


『罪のないドワーフやノームがやって来たら面倒でございますな』

『金や銀の……鉱床の事は……隠しておいた方が……いいかも……しれません』

『クロウ様、ここ(ピット)では内部の強化は省きますか?』

 最後の質問はロムルスか。


『いや……討って出る方向にシフトはするが、クズどもを坑道に引き入れて闘う戦術も併用する。なので、坑道内の罠は予定どおり仕掛ける』


 そうだな……転移トラップを地表に設置して、坑道内に引っ張り込むか。



・・・・・・・・



 ピットの強化改造は、坑外兵力と坑内兵力の双方を拡充する方向で(まと)まった。


 まず坑外兵力だが、以前から狩りに従事していたオルトロスとキマイラの二頭を更に強化した上で、新たに地上戦向けのダンジョンモンスターを召喚するように指示した。そのために必要なら惜しまず使えと言って魔石を一袋渡したんだが、ダバルは魂が抜けたような――アンデッドに魂があるのかどうか知らんが――顔付きをしていた。あの顔には見覚えがある――ホルンも時々ああいう顔をしていたな。 

 その他に、警戒および偵察戦力が不足していたため、ケイブバットやケイブラットを召喚して、坑外の哨戒に従事させるよう指示した。こちらも、他に有用なモンスターがいれば躊躇(ちゅうちょ)せず召喚するように言ってある。

 また、モンスター以外にも、モローの迷宮で始末した勇者と冒険者のアンデッドをダバルに――同じアンデッドだし――預けた。一見しただけでは人間にしか見えないから、使い方によっては面白い闘いができるだろう。


『マスター、僕たちが手助けする必要は無いんですか~』

『あぁ、このダンジョンの任務は、クズどもがこの山に手出しをしないよう威嚇する事だ。従って、明確な危険が存在する事を知らしめてやった方が都合がいい。ただし、与える情報はそこまでだ。坑外をダンジョン化した事や偵察部隊の事は、決して気取られないようにしろ。無論、転移トラップの存在もだ』


 坑外の森林部には、随所に転移トラップを設置してある。一応、安全装置のコントロールはフェルに渡してあるから、誰彼構わず坑内に転送するような事にはならない筈だ。


 その坑内の兵力だが、既に召喚してあったモンスターは坑内での闘いに慣れているという事でそのまま――勿論強化はしたが――運用、必要なら追加で召喚するように指示した。その他に何種類かのトラップ――先進技術を使うものは当面は除外した――について、ロムルスやレムス、レブたちからのレクチャーを受けるように言ったんだが……何か、レクチャーが進むにつれて、フェルのコアから色が抜けて白っぽくなっていったのはなぜだろう。翌日には元に戻っていたし、気にする必要はないか。


 管轄する領域が急に広がった事でもあるし、何もかも一気に更新しようとするとフェルもダバルも大変だろうから、最低限度のアップグレードを終えた後は少しずつ強化を進める事にする。数回の演習や訓練を経て、何とか動けるようになった事を確認したところで、俺たちは一旦撤収する事にした。


「ダバル、フェル、解っているな? テオドラムのクズどもがやって来たら、一人残らず始末しろ。この山の生き物たちをやつらに渡すな。ただし、クズ以外の人間についてはお前たちで判断しろ。当面の需要を(まかな)える程度の魔石は渡した筈だ。無理をする必要はないからな」

『『承知いたしました、閣下(マイ・ロード)』』



 再び二人の声――今度はどちらも念話――が重なった。

良い(?)意味で常識の枠を壊された二人は、今後クロウの優秀な部下として活躍するようになります。


本作の宣伝を兼ねて新作を投下してみました。週一回程度の更新予定なので、本作のスケジュールには影響しないと思っています。「スキルリッチ・ワールド・オンライン~レアというよりマイナーなスキルに振り回される僕~」という作品ですので、よろしければ併せてご一読下さい。

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