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第五十一章 クレヴァス 1.新しい仲間

内容としては前章の続きになります。

 で、今度やって来たネズミだが、体型的には日本産のトゲネズミの仲間に少し似ているかな。身体がもう少しほっそりしていて尻尾が長い事と……あと、眼が三つある(・・・・・・)のを除けば……。


『おや、ミラージュマウスですか。久々に見ましたな』

 ミラージュマウス?


『はい。植物食の温和(おとな)しいモンスターで、通常は地表の色に似た体色で天敵の目を誤魔化しますが、見つけられると自分の幻影を放って相手の目を(あざむ)き、その隙に逃げるのですよ』

『……これでモンスターなのか?』


 そう言えばゲートフラッグも植物モンスターだったっけか……。しかし、この愛くるしいネズミがモンスターって……。


『ご主人様、モンスターかそうでないかは、魔力を持つか持たないかの違いです。なので、このように小さなモンスターの場合、普通のイヌやネコに襲われる事も多いのですよ』


 ……うん……モンスターに対するイメージが少し(こわ)れたかもな……。


 小さなネズミ――モンスターだったか――は少しおどおどとした様子でこちらを(うかが)っている。一応鑑定してみたところ……


 

【個体名】なし

【種族】ミラージュマウス

【地位】ダンジョンモンスター見習い クロウの従魔候補(仮)

【レベル】1

【スキル】幻影



 ……見習いに候補(仮)かぁ。


『この子もここに住みたいようですけど、いいですよね? マスター』


 まあ、俺に拒否する理由はない。(うなず)いて承知の意を示しておく。


『新しい従魔候補がまた増えたわけですね♪』

  ……うん? ……また増えた(・・・・・)


『ウーノ、また増えた(・・・・・)って……増えてるのか?』

『あ、はい』

 ウーノ――クレヴァス組のスレイターの一応トップ――は、少し困ったようにアインの方を見た。


ご主人様(マスター)、ここに逃げ込んできた者たちは、いずれもご主人様(マスター)の従魔となる事を希望しております。ただしまだ力も弱く、従魔としてお仕えできるレベルには達しておりませんので、お目見えを果たしておりません』


 あぁ、そりゃそうか……。か弱い者を助けてやれって言ったのは俺だもんな。住人が増えていてもおかしくないか……。しかし、俺がその事を知らないってのは問題だ。もちろん俺の方が、だが。


 結局、アインに言って新参組の紹介だけをしてもらった。新たに加わっていたのはスキンクが二匹、スレイターが一匹、スライムが二匹。その他に、初めて見る生き物が二匹いた。



【個体名】なし

【種族】フェイカーリザード

 異世界の食物を食べたために変異したソーニィリザード。元になった種族が大形になるものでないため身体は小さいままだが、異世界の食物から吸収した大量の魔素によって強い魔力を持つようになった。

【地位】ダンジョンモンスター クロウの従魔候補

【レベル】1

【スキル】隠蔽 土魔法



 これは……地球世界のモロクトカゲとかツノトカゲみたいな感じか? ずんぐりした身体の表面を、トゲトゲ……というか、尖った突起が覆っている。スキルに隠蔽があるのは、体表が地面に紛れるような保護色になっているからだろう。


 

【個体名】なし

【種族】フェイカーディプノ

 異世界の食物を食べたために変異した肺魚。元になった種族が大形になるものでないため身体は小さいままだが、異世界の食物から吸収した大量の魔素によって強い魔力を持つようになった。

【地位】ダンジョンモンスター クロウの従魔候補

【レベル】1

【スキル】肺呼吸 乾燥耐性 水魔法 媒水転移



『……ちょっと待て、何でこんな荒れ地の真ん中に魚がいるんだ? それに、何で水から出て平気でいられる?』

『彼の種族は水が涸れると地中に潜って休眠し、再び水が来るまで耐えるそうです。ずっと昔に大雨が降った時、氾濫(はんらん)した川に流されてここまでやって来たそうです』

 

 ……あぁ、Dipnoiって肺魚の事だったな……。解ったから、干涸(ひか)らびる前に早く水の中に戻れ。ハラハラして心臓に悪いんだよ……。


 あと、媒水転移というスキルは初めて知ったが、五メートル程度の距離なら、近くの水場に転移できるそうだ。フェイカーディプノになってから得たスキルだという。これ、鍛えれば結構便利なんじゃ? ……リクルートして増やせないかな?


『あとは……今はダンジョン内の哨戒に出ているのでここにはいませんが、ケイブバットですね』

 ……何?


『レブ、ケイブバットって、ここのダンジョンモンスターとして召喚したやつの事だろ? お前の直轄じゃなかったのか?』

『クロウ様、ダンジョンに召喚されたモンスターは、ダンジョンの魔力を(かて)として生きるようになります。ただ、全てのダンジョンモンスターが魔力だけで生きるという事ではありませんで、中にはそれ以外の食物に興味を示す者もいます』

『……つまり、召喚したケイブバットの一部が、俺が持ってきた食い物に引かれたと……』

『はい。ちなみに、以前クロウ様が花火見物にモローへお連れ下さった一匹です。クロウ様がお持ちになった食物に心惹かれたようで、クロウ様の従魔候補になったようですが、別にいいかな、と』


 ……あいつか。キーン(くいしんぼ)の哺乳類版なのか? ちなみに、聞いたところでは聴覚が以前に増して鋭敏になり、探知能力が増したらしい。音魔法にも目覚めたとか言っていたが、実際に見るまで判断は保留だな。



 まあ、賑やかになるのはいい事だよな。

もう一話投稿します。

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