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第五章 ダンジョン 1.討伐ダンジョン

少し短めですが新章に入ります。本話からようやくダンジョンコアが登場します。

 クレヴァスにいたスキンクたちが、少し先に大きな洞窟があると言う。見物がてら出向いてみるとするか……。


 うん、解ってたとも……。スキンクたちの言葉で「少し」というのは、日本語では「三日」と訳すんだよ……。百キロ以上は歩いたよな……。


 辿(たど)り着いたのはモローという町の郊外。このモロー、昔は金鉱で(にぎ)わっていたらしいが、金を掘り尽くした今では住民もいなくなり、半ばゴーストタウンと化しているという。そんな寂れた町の郊外を、足を棒にして無感動に機械的に歩いて行くと、かなり高い山が見えてきた。エッジ村のような山脈ではなく一つの山があるだけだが、これまで荒れ地を歩いてきた目には、深い緑は頼もしく映る。そんな山の麓に、その洞窟はあった。


『大きな動物はいないようだが……それよりも、この壁の感じ。これってやっぱり……』

『ますたぁ、ここってぇ、討伐ダンジョンじゃぁ?』

 討伐ダンジョン?


『えっとぉ、ダンジョンが大っきくなるとぉ、モンスターも強くなってぇ、危険だからぁ、人間たちがぁ、ダンジョンコアを殺しちゃぅんですぅ』

『ダンジョンコアはダンジョンの本体ですからな。ダンジョンコアを破壊されたダンジョンはこのように死んでしまって、モンスターたちにも棲み心地が悪いのか、あらかたいなくなってしまうのですよ』

 そう言えば、うちの洞窟ほど滑らかじゃないな。あちこち小さなヒビもできているし、全体に(ほこり)っぽい。なんだかんだで最下層まで下りてきたが、どうも崩落した痕跡がある。ダンジョンコアが破壊された結果の崩落か?


『精霊樹様が……憶えておいででした……数年前に……隣の……男爵領の……勇者が……討伐したようです』

 念話で俺たちの会話を聞いていたハイファが説明してくれる。勇者が討伐したせいでこのダンジョン崩落したのか。しかし念話って便利だな。三百キロ近く離れていても会話ができるんだから。


 つまりここってダンジョンの成れの果てなのか。それはともかく……。


『なぁ、ダンジョンコアってどういうものだ? 俺、見た事ないんだが』

『ますたぁはぁ、ダンジョンコアとぉ、一つになったみたぃですからねぇ』

『半透明の、水晶玉みたいな球体ですよ。あぁ、あそこに見えるのがその破片のようですな』


 これか? ほとんど真っ二つに割れてるんだが。ん? これって……。


『おい、このダンジョンコア、完全に死んではいないみたいだぞ。魔力を通すと、僅かながら反応がある』


『あれ? だったら(ぬし)様が魔力を注いであげたら、ひょっとして生き返ったりしませんか?』

『えっ、このダンジョンって、生き返るんですか? マスター』


 いや、知らんよ。でもまぁ……

『試してみようか。こうか?』


 魔力を通すとどちらの破片も、弱いながらも反応を返してくる。ハイファの菌糸を通じて精霊樹の爺さまに尋ねてもらったが、ダンジョンコアを復活させた例なぞ聞いた事がないそうだ。でもまぁ、駄目元で試してみたって悪くはないだろう。ここじゃゆっくりできんし、破片を拾い集めて俺たちの洞窟に戻る事にする。さて、実験だ。


ようやく「コアのためのダンジョン」の話に入りました。この章は少し長くなる予定です。

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