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第四十五章 シャルド 4.王都イラストリア 国王執務室

王都編です。

 新たに発見されたものも含めて合計三つもの「封印された扉(・・・・・・)」が発見されたという知らせは、国王以下四名の男たちに激震をもたらした。



封印(・・)された扉とはな……Ⅹが欲しておったのはこれか?」

「可能性は高いかと」

「しかし、何でまた三つもあるんだ? それもご丁寧に並んでよ?」

「恐らくですが……二つはダミーではないでしょうか」

「罠……って事か?」

「あくまでも想像に過ぎませんが」

「ま、どっちにしても放っておくってぇ選択肢は()ぇんだ。注意して調べさせるしかあんめぇ」

「増援を出すしかありませんね」

「もはや内密に、という段階ではないという事か」

「はい。事この段階に至っては、目立つ事を避けるために少人数で、などとはもう言えません。ハーコート卿の言われるとおり、公表する内容をコントロールする方が現実的かと」

「急がねぇと、Ⅹのやつがまたぞろ何をしでかすか判んねぇしな」

「Ⅹが動くと?」

「封印された遺跡から目を()らせるためだけに魔人を派遣したくらいですからね。発掘を邪魔するためには何をやってくるやら」

「ならば急ぎ兵を送れ、ローバー。どうせ準備は出来ておるのじゃろう?」

「ウチから第五中隊を送ります。うち、先遣の一個小隊は飛竜(ワイバーン)で送りますから、先に送った分と合わせれば三個小隊、何とかなるでしょう」



 イラストリア王国の大隊は、通常六個中隊を基幹として編成される。しかし、イラストリア王国第一大隊だけは、王都直衛の任に当たるため八個中隊編成となっていた。



「兵だけでは人手が足りません。発掘作業に従事する人員が必要です。素人ではなく、発掘の経験者が望ましいですが、人選には目を配る必要があるでしょう」

「ん? 間者でも紛れ込むってぇのか?」

「何もない荒れ地に急に中隊規模の兵が集結すれば、人目を引かないわけがありません。遺跡発掘とは言っても、兵が先行するのはおかしいでしょう」

「いや、ウォーレン卿、パトリックのやつが言うておったがな、予備調査の段階で兵士を使う事は、人件費節約の意味では理に(かな)っておるそうな」

「ハーコート卿がそのような事を? ……なるほど、それならば言い訳は立つでしょうが、どちらにしても人目を引くのは確実でしょう。間者の警戒はした方がよいかと。……他国だけでなく、あの御仁(・・・・)もおられますからな」

「あ~」

「……クソ坊主どもか」

「……陛下、お言葉にはご注意を。確かにあの()(じん)ならやりそうですな」

「ま、別に悪い事してんじゃねぇし、ある程度は大っぴらにやっていいんじゃねぇですか? 出るもんが出た時ゃ、防犯のためとか何とか言って、ガチで固めりゃいいこってす」

「……兵士が現場を警戒しておる理由については何と説明する?」

「無骨な兵士だから他にとるべき行動を知らない、とかでは?」

「見も蓋もないが……逆に説得力はあるか?」

「あと、増援に魔術師を数名加える必要があります。魔法陣による封印とやらがどういうものかも調べる必要がありましょう」

「ウチの魔術兵じゃ手に余りそうですからな」

「……宰相殿にはお心当たりは?」

「人選は一応済ませてある。急ぎ学院の方に話を通すか……。陛下?」

「それでよい。Ⅹ云々(うんぬん)さえ黙っておれば、魔術で封印を施された遺跡の調査としておかしくはあるまい」

続きは明日。

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