表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1667/1815

第二百九十四章 「盗掘者のカタコンベ」~新作ダンジョン@マナステラ~ 1.墓場への招待状

ようやくのマナステラ新作ダンジョン篇です。本章もそこそこ長丁場になります。

『何だかんだでズルズルと遅れていたが……今度こそ新ダンジョンを公開する!』



 眷属たちの前で言葉も力強く宣言したのは、ラノベ作家にしてダンジョンロードという()()な肩書きを持つ男、(からす)丸良志(まるながゆき)ことクロウである。新規ダンジョンお披露目(ひろめ)の計画を立てるたびに、何だかんだと想定外の事態に巻き込まれて、ズルズルと公開が引き延ばされてきたのだ。モンスターたちも痺れを切らせているし、そろそろ表舞台に出すべきだろう。



『でもマスター、あの場所って、人が来ませんよね?』

『どうやって……(おび)()せる……おつもりですか……?』



 僻地過ぎて冒険者からも見捨てられたような場所に、如何(いか)にして冒険者(えもの)を誘致するのか? 当然の如く湧いた質問に、クロウは胸を張って――最近の実績に(かんが)みると、微妙に不安になる態度である――答える。



『そこはちゃんと考えてある。モルヴァニアに試した手を使うつもりだ』

『モルヴァニアに……?』

『あぁ。洞窟の手前の林までは、冒険者たちも時折やって来るみたいだしな』



・・・・・・・・



「ありゃ何だ? 洞窟か?」



 そろそろ夕闇が迫って来ようかという時刻、マナステラに新規開店したクロウ渾身(こんしん)の新ダンジョン、開発名称「盗掘者のカタコンベ」の前にやって来たのは、明らかに冒険者と判る男たちの一団であった。



「妙な(あか)りが(またた)いてたんで来てみりゃあ……」

「どうするよ? ビーツ」



 ビーツと呼ばれた男は(しばら)く考えていたが、やがて思案が(まと)まった様子で口を開く。



「少しだけ(へえ)ってみよう。どうせもう()ぐ日が暮れるんだ。夜営に恰好(かっこう)の場所が見つかったと思やぁ、見過ごす手は無ぇだろう。ま、それもちっとばかし様子を探って、安全かどうかを確かめてからだがな」



 内部の状況次第では、冒険者ギルドに報告する必要がある。――例えば出来たてのダンジョンであるとか。

 それを判断するためにも、どうせ内部の確認は必要なのだ。夜営の候補地に選んで何が悪い。それに……



「ひょっとして、俺たちが探してる金鉱の跡……って可能性だってあるんだしよ」



 どうやらこの連中は、例の「金鉱熱(ゴールドラッシュ)」に浮かされて、マナステラを訪れた口らしい。金鉱――の跡地――があるのなら山の方、そしてそれが未知というならあまり人がやって来ない場所にあるに違いないと踏んで、態々(わざわざ)こんな僻地まで、足を伸ばしたもののようだ。

 当然、そんな金鉱・廃坑の候補地とも見える「洞窟」を目にした、一同の判断など解りきっている訳で、



「……だな」

「あぁ、ここで引っ返す手は無ぇよな」



 ――と、他の面々にも異論は無いようだ。



「妙な(あか)りを見た時にゃ何かと思ったが……どうやら神様のお導きってやつみたいだったな」



 ……違う。


 彼らが〝導かれて〟この場所へやって来たのは事実だが、導いた相手は神などではない。或る意味でその対極に座すダンジョンマスターの上位職、「ダンジョンロード」のクロウであった。そして、彼らをこのような状況に導いたクロウの(から)()りとは……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ