表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1659/1816

第二百九十三章 災厄ゴールドラッシュ 14.ホラを吹く者、踊る者~シャノアからの報告~(その1)

 ――ここからは少し先の話になる。



『金鉱の噂……? マーカスの国内でか?』



 戸惑ったようなクロウの問いに、問いかけられたシャノアはコクリと(うなず)いた。



『ほら、ちょっと前からマーカスの国内を探してたじゃない。その時に精霊(なかま)の一人が聞き込んだんだって』

『あー……そっちでか』



 これだけでは何の事やら解らないであろう読者のために、この場面に至るまでの筋道をサクッと説明しておこう。


 話の発端となったのは、〝金鉱〟とは全く無関係の事実――マーカス国内の状況を知る手立てが不足しているという事実であった。



・・・・・・・・



 既にお忘れの向きもおいでかも知れないが……近隣各国に多大な影響(めいわく)を及ぼすクロウの本拠はエッジ村。イラストリア王国辺境にある一寒村――の外れの洞窟――である。そこで慎ましやかにスローライフを送る予定であったのだが……何の因果か、その拠点を脅かさんと図る悪党――正確には拠点近くに住まうエルフを狙っていた領主――と事を構える羽目になり、ついでにその背後にいたヤルタ教にも、()(くず)しのままに大打撃を与えてしまう。

 手違いでダンジョンマスター(?)にジョブチェンジしていた事が切っ掛けとなって、そのまま流れるように複数のダンジョンを支配下に置く事になり、ついでにヤルタ教との因縁も、更には隣国テオドラムとの対立も深まる事になった。


 その辺りの運命については、当事者たるクロウがもはや諦めの境地に達しているので、これ以上ここで穿(ほじく)り返す事はしないが……要は「クロウ」としての個人的な活動域と、「クロウ陣営」の作戦域に、大きな齟齬(そご)が生じてきたのが問題なのである。


 何しろ現在のクロウたちの主敵はテオドラム。その国内には幾つかの拠点を設ける事に成功しているが……



〝問題……なのは……周辺の……諸国……でしょう〟

〝まさかテオドラムとその周辺国が、ここまで(こじ)れた関係になるとは思っておりませんでしたからな〟

(こじ)れたと言うか、こんがらがったと言うか……〟

〝関係各位が勝手に混乱してるよね〟



 公平に見てこの混乱と錯綜(さくそう)は、クロウたちが意図したものではない。ないのだが……しかしクロウたちが無関係かと言われると、素直には(うなず)けないものがある。そして何よりもかによりも、クロウたちがテオドラムとの(敵対)関係を断たない以上は、この〝ややこしい〟状況の中で動く事を避けられない。


 つまり、この〝ややこしい〟状況を迅速かつ正確に把握する必要があり、そのための情報を入手する必要がある。

 しかるに――である。



〝さすがにテオドラムの周辺国にまでは、諜報の手を伸ばしていませんでしたから〟

〝ねー。必要があるなんて、思わないよねー〟

(いず)れ必要が生じるとしても、それはまだ先の事だと思っておりましたな〟



 幸か不幸か、「ダンジョンマスター」改め「ダンジョンロード」に出世したクロウの傘下では、既に十指に余る公然・非公然ダンジョンが活動しており、これに加えて精霊たちの移動用に開設した精霊門が幾つかある。なので、拠点の数はそれなりに揃っているのであるが……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ