第四十三章 アクセサリー騒動 ~第二幕~ 2.エルフとの協力
エルフたちとの間に協力体制を築く事に成功します。
あれから二日後、大慌てで様々な種類の石からなる丸玉を大小七十個ほど作り上げた俺は、そのうち五十個ほどを持ってホルンと待ち合わせた場所に出向いた。
「ホルン……久しぶりだが……何か疲れているようだな?」
「……お蔭様で……村の女たちに言い寄られて大変ですよ……」
いや、俺のせいじゃないからな?
「……とりあえず五十個を何とか用意した。大きさや種類の違うものを取り揃えてみたが、値は全て同じで構わん」
「ありがとうございます。では……銀貨五十枚をお渡しします。お手数をおかけして申し訳ありません」
「なに、火を着けた責任もあるし、気にするな。原石の入手の目処も立ったからな。安定して供給できるぞ」
「……重ね重ね申し訳ありません……女どもが余計な欲をかいたばかりに……精霊使い様にご迷惑をおかけして……」
「いや、こっちにも都合がよかったからな」
「は?」
不思議そうな様子のホルンに、こちらの事情を簡単に説明しておく。
「……なるほど。エッジ村でもそのような事が……」
「あぁ、世話になっている礼にと思って渡しただけなんだが、行商人に目を付けられたらしくてな。義理堅い人たちで、俺の事は口を噤んでいてくれたらしいが」
「まぁ、こんな田舎にあれほどの丸玉が出てくれば、目を付けられますか」
「ところが先日エルギンに出向いたところ……」
俺はエルギンで目にした一幕をホルンに語った。
「……行商人がウチの村のエルフに接触を?」
「と、思ったんだが、先日のお前の話を聞くに、別の村のエルフだった可能性もあるな。丸玉を持っていたからてっきりシルヴァの森のエルフだと思ったんだが」
「いずれにせよ、商人たちの追求の鉾先をエッジ村から逸らす上で、我々の村を使いたいと……」
「あぁ、虫のいい話だが、頼めないか?」
「精霊使い様から譲って戴いた丸玉を加工して、適当に交易するだけでお役に立てるのでしたら、村の皆も喜ぶでしょう。特に女たちは、丸玉を入手する大義名分を手に入れたようなものですからね……安定した供給が望めるなら、自分への圧力も、少しは下がるかも……」
「ま、まぁ、とにかく考えてみてくれ」
「では、取り急ぎ村に戻ります」
「あぁ、色よい返事を期待している」
・・・・・・・・
二日後、ホルンから連絡があり、エルフたちの同意を得られたと言ってきた。予想通り、女性陣の鼻息が凄かったらしい。
ともあれ、これで商人の追及をかわす手だては整ったわけだ。俺たちの平穏な生活は守られた。
……そう、思っていた。
明日は本章を終えて新章に入ります。




