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第二百七十八章 リーロット発諸方面行き迷走便 4.クロウ~モルヴァニア西街道緑化計画~(その2)

 (もっと)も、モルヴァニアの側でもそういう事態は想定していたようで、何なら書簡による指示だけでも送ってもらえないだろうかと言って寄越(よこ)したそうである。



『あー……確かにそれなら』

『修道会の主力は動かずに、アドバイスを送る事ができる訳かぁ』



 確かに、モルヴァニアと修道会にしてみれば、現実的な妥協案と言える。そして、



『そういう事を言ってくる辺り、罠という事は無さそうじゃないか?』



 ――と、クロウは今度はシャノアに対して回答する。



『う~ん』



 成る程。クロウ(みずか)ら〝()散臭(さんくさ)い〟と言っておきながら、そんな依頼を受けるのはどうかと思っていたが……(おび)き出してどうこうという話でもないようだし、書面での()()りに限るなら、(はか)られる心配も無さそうだ。



『それに――だ、余計な詮索は無論の事、変に気を回して時間を浪費するのは、「緑の(しるべ)」修道会らしくないだろう?』

『あぁ……確かに』

『言われてみればそうですね』



 魔力循環の不調という大問題に(しん)()に向き合おうとしている――というのが「緑の(しるべ)」修道会の建前(たてまえ)である。裏だの罠だのを心配する必然性がどこにある。自分たちは何ら後ろ暗いところの無い、清廉潔白にして公明正大な身の上なのだ(笑)。


 ただ問題は……



『だけど主様(ぬしさま)、その「アドバイス」って……』

『結局は俺が出す必要があるな……』



 (そもそも)の話、「緑の(しるべ)」修道会というのは、諜報活動のためにクロウたちがでっち上げた組織であり、その構成員は全員がアンデッド。更にその前身は、元・宗教家のノックスを除いて全員がテオドラムの兵士(故人)である。緑化のノウハウなど持っている訳が無い。

 では、持っている筈の無いノウハウをどこから都合して来たのかというと、要するにクロウの入れ知恵というところに落ち着く。


 しかも――そのクロウとて本業はラノベ作家。大学時代は歴史を専攻していた身であって、緑化の講義など受けた事は無い。

 受講した事の無い知識をどこから持って来たのかと言うと……大学時代の友人に少し変わり者の生物学科の者がいて、地理や歴史・民俗関係の講義にまで――単位にもならないのに――顔を出していた。その男から、雑談の合間に得た知識が元になっているのであった。



『そいつから参考になりそうな本は教えてもらったし、ネットで拾った情報もある。あとはこれに、ノックスたちが実地に得た経験を合わせれば、ものになりそうなアドバイスの一つ二つはでっち上げられそうだが……』

『でもマスター、それっていわゆる〝一般的な〟知識だけですよね?』

『あぁ。現場の状況が判らんのでは、具体的な指示など出せん。ま、そこは向こうも承知してるだろう』



 とりあえずは第一弾として簡単かつ基礎的な指示を〝ふわっと〟与え、現地の状況が判れば、もう少し具体的な指示を出せるかもしれない(むね)を書き送る――という事に話が(まと)まった。

 現時点で出せる指示としては、まぁこんなものであろう。

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