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第二百六十六章 アバン 13.宿主~ダンジョンマスター再び~(その1)

 さて――場面変わって舞台裏の宿主サイド、クロウたちの様子である。


 水場(おもて)の話題はアラドの事に移ったが、現状でアラドに伝手(つて)らしい伝手(つて)を持たないクロウたちにしてみれば、今アラドの事を考えても仕方がない。

 という訳で、モニターの様子に注意を向けつつも、話題は今後のドロップ品の在り方に移って行った。少し前までは、このままアクセサリーを出していくのが、パターンも乱れないし無難だろうと思われていたのだが、水場での会話からその方針に待ったが掛かったのである。

 まぁそれ以外にも、



『喜色を浮かべて待ち構えている者がいるところへ、素直にアクセを落としてやるというのも少し業腹(ごうはら)じゃないか?』



 ――という意見もあったのだが。


 まぁ、そういう意見は意見として、



『今後はアクセ以外も、少し充実させる必要があるか……』



 今のアバンが行商人を対象とした会話傍受の拠点として機能している以上、情報源たる商人たちの来訪を確保しておくのは必須である。今でこそ上手く回っているが、いつ何時(なんどき)打ち切られるかも知れない商業ギルドの買い上げに頼って、ドロップ品をアクセサリーに絞る事の危うさは、既に意見の一致を見ている。

 であれば、ここはクロウの言うように、適宜アクセサリー以外のドロップ品も落として、その流通ルートを確立させておくのが上策であろう。



『既にアクセ以外も流してるんなら、それが少し増えたところで、()して違和感を抱かれるような事も無いだろう』



 アクセサリーばかりを(つづ)(ざま)に流すのはどうかと、エメンとハンス(たんとうしゃ)の二人も危惧したらしく、サルベージ品を参考にした品々を幾つか流しているという。だったら――



『このまま、サルベージ品を真似たものを、流してやれば、いいんじゃないですかぁ? マスター』



 ――というキーンの意見が順当なものと思われたのだが、



『でもぉ、それだとぉ、品揃ぇから疑われなぃ? サルベージ品じゃなぃかってぇ』

『えーと……』



 ライの指摘を受けて、一同改めて考え込む事になった。



『考え過ぎだとは思うけど……』

『無用の危険を冒す必要はありませんな』



 沈没船からのサルベージなど、他にやっている者はいないと思うが、疑いを抱かれる可能性が皆無だとも言えない。不用意な真似は慎むべきだろう。



『だったら、他のものも混ぜる? 海賊のお宝とか』

『ハンスさんが凄く嘆きそうだよね……』

『なにも実物を……流す必要は……無いでしょう……参考にして……作れば……いいのでは……』

『レプリカ……と言うよりパスティーシュ?』

『パロディでもいいと思うけど』

『イミテーションとパロディの違いって何なのかな?』

『元ネタが判る事を前提にしているかどうか――らしいよ』

『ねぇちょっと、話がズレてきてない?』



 ズレそうになった会話――いつもの事である――をシャノアの諫言で元に戻すと、一同は改めてドロップ品の検討に入った。

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