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第二百六十四章 噂の真相? 4.サガン商業ギルド(その1)

「ノンヒュームの古美術品か……」



 レンドとスキットルが現れ、そして立ち去った後のサガンの商業ギルドでは、ギルドの重鎮たちが今しがたの面談内容を()(しゃく)していた。



「珍しくはあるまい? マナステラ(あのくに)がノンヒュームに固執しているのは昔からだ」

「だが、遠路遙々(はるばる)ここまでやって来た事があったか?」

「それは……確かに……」



 スキットルに言ったしたとおり、レンドは割と明け透けに自分たちがやって来た理由を説明していた。――(いわ)く、ノンヒュームの古美術品を探しているのだが、サガンの商業ギルドが集めているというアバンのドロップアクセサリーは、それに該当しているのか確かめに来た、と。

 データベースの件を抜きにすれば、ほぼ事実と言っていい内容であり、ゆえにレンドの説明にも矛盾が無かった。



「確かにサガン(ここ)まで足を伸ばした事は(かつ)て無かったが、それは単に手近な場所の探索を終えたという事ではないのか?」

「うむ。ノンヒューム重視は()の国の従来からの方針だ。今回の訪問も、それを延長しただけだろう」



 確かにそう考えても矛盾は無い。

 しかし、それで全てを説明できるのか――と、懸念を抱く者もいた。



「方針が変わっていないのは解る。解らないのは、態々(わざわざ)この時期にその方針を強調するような真似をした事だ」



 そう指摘されて、居並ぶ一同も改めてその点を考え直す。

 今この時期の事情と言うと……



「……テオドラムが北街道の整備計画を公表するという噂だが……」



 テオドラムが実際に計画を公表するのは翌日の事になるが、その噂については少し前から――耳敏(みみざと)い者なら――察知していた。

 さっきの二人組の背後にいるのがマナステラの有力貴族――もしくは王家――なら、その情報を入手していてもおかしくはないか?



「いや、仮令(たとえ)飛竜を使ったとしても、マナダミアからサガンまで優に十日以上はかかる。(くだん)の噂をそれ以前に察知していたとは考えにくい」

「うむ。それに――だ、テオドラムの北街道整備とノンヒュームの古美術品が、どこでどう関わってくるのだ?」

「確かに……」



 ――そうすると、これはもう一つの案件絡みだろうか。



「他にこの時期と言うと……モルファンか?」

「うむ……」



 モルファンの王女がイラストリアに留学するという話は、既にサガンにも届いている。尤も、あちらとこちらでは距離が遠過ぎるため、サガンの商業ギルドも積極的に動こうという気は無かったのだが。



「確かに、時期的な(ひょう)(そく)は合っているが……」



 (ひょう)(そく)が合っているのは確かだが、しかしモルファンとノンヒュームの古美術品がどう関わるのか?

 確かモルファンにはノンヒュームは少ないと聞いているが?



「いや、(むし)ろ逆なのかもしれん。(そもそも)モルファンの動き自体、イラストリアのノンヒュームを目当てとしたものだろう」

「ノンヒュームの人口ならマナステラも人後には落ちんからな。国の(メン)()というものがある訳か?」

「マナステラはイラストリアと張り合おうというのか?」

「張り合うとまではいかんにしても、モルファンに秋波を送っている――とか?」

「或いは……モルファンではなく、ノンヒュームを引き付けようとしているのかもしれん」

「ふむ……マナステラの国策を考えるに、そっちの方があり得るかもな」

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