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第二百六十四章 噂の真相? 2.マナステラ~悩める国務卿たち~(その2)

「そうであれば――だ、最初に派遣する者は、必ずしもノンヒューム古美術品の目利きができる必要は無い。単にノンヒューム物件であるか否か……いや、その可能性が有るか無いかが判るだけでも充分ではないか?」

「うぅむ……」



 これは……この男の言い分に理があるのか?

 もしもそうだとすると、ただでさえ不足気味のデータベース作業要員を廻す必要は無い。それのみか、派遣する人員の候補もずっと増やせる。

 ……悪い話ではないのではないか?


 とりあえず、この日はこの案件を持ち帰り、各自で候補者を物色しておこうという話に落ち着いた。



・・・・・・・・



 五日後、めぼしい候補者として国務卿の一人から挙げられたのは――



「レンドルク?」

「あぁ、ロイル家の先代に口を利いてもらった。元は商家の三男坊で、実家はパートリッジ卿とも付き合いがあるらしい」

「それは……また……」



 有為の人脈というのは広いようで狭いものだと、複雑な表情を浮かべる一同。

 だがまぁ縁故関係がどうであろうと、役に立つ人材というのであれば、活用するに()くは無い……と、ここは割り切る事にしたようだ。



「それなりに美術品の目利きもできるそうだ。商売よりも学究の道に進みたいとかで、パートリッジ卿にロイル卿を紹介してもらったようだな」

「ふむ……で、ノンヒュームの古美術品か否かの鑑定はできるのか?」

「専門ではないそうだが、簡単な判別程度ならできると言っていた。当面はそれで充分だろう」

「成る程」

「一人だけでサガンへ()るのか?」



 或る意味で、事はマナステラの将来に関わってくる。諜報活動に(うと)い学者を、唯一人で派遣するのは不用心ではないか?



「いや。そう考えたので、冒険者を一人、護衛に雇う事にした。偶々(たまたま)マナダミアを訪れていた中に、使えそうな者がいたのでね」

「その冒険者の()(もと)は?」

「さて……過去の事は問わぬのが冒険者の仁義らしいからな。ただ、テオドラムに(くみ)する者でない事はほぼ確実だ」



 何しろマナステラは、イラストリアとは何かと張り合う立場にありながら、ノンヒューム連絡協議会との伝手(つて)を得るというただそのためだけに、イラストリアと対テオドラムのために協力するという密約まで結んでいる。

 それが如何(いか)なる情報であれ、テオドラムに知られたくないというのは、国務卿たちの切実な懸念であった。



「ほぉ……?」

「どういう事だ?」

「諸君らもテオドラムの悪評……具体的には、シュレクとかいう村での兵士の蛮行は耳にした事があるだろう。あれを広めたのがこの冒険者らしい」

「ほぉ……それは、また……」

「見どころのありそうな者ではないか」

「あぁ。本人(いわ)く、駆け出しの死霊術師(ネクロマンサー)らしいが……死霊術(ネクロマンシー)よりも、単身での偵察や護衛で高い評価を得ている男だ。……スキットルというらしい」



 クロウの……と言うか、正確にはネスの(もと)で修行を積んだ駆け出し死霊術師(ネクロマンサー)のスキットル、久々の登場であった。



「ふむ……街道はまだ雪が深いだろう。馬車では(いささ)か難儀するのではないか?」

「うむ。事態は或る意味で一刻を争う。少しばかり目立ちはするが、飛竜(ワイバーン)を使う方が良いだろう」

マナダミア(こ こ)からだと、マーカスからモルヴァニアを経てアバンに向かう事になる。……その二国には話を通しておいた方が良いだろうな」

「うむ、それは外務の方で上手くやっておく。……目録の件は内密にしてな」

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― 新着の感想 ―
[良い点] スキットル、各方面で有名人になったね。 [気になる点] クロウの〜裏と〜表の〜知り合いが~出会った〜。 どんな化学反応が起きるやら。 って思ってたらスキットルはクロウと、 直接には会っ…
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