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第三章 エッジ村 2.山小屋

短いです。

 村の男が案内してくれた山小屋からは、精霊樹の爺さまが遠くに見えた。爺さまはこの村で何か祭祀の対象になっているのだろうか。



「あそこに妙に大きな木がありますが、ご神木か何かで?」

「いやぁ、別にそったらこたぁねぇけんど、ただのぅ、あの木を傷つけっと祟りがあるっちゅうで。お前様も気ぃつけなんせ」

「へぇ……祟りですか。何かが棲みついてるんですかね」

「どうかのぅ。ボンゾんとこのガキが、夜中に火の玉が飛び回っちゅうのを見たぁ言って震えとったが……寝小便垂れの戯言(たわごと)じゃぁろ」

 ほほう、そういう事になってるのか。火の玉って精霊の事じゃないのか?



 案内してくれた男に礼を言うと、何かあったら言えと言葉をかけてくれて帰って行った。小屋は崩れそうなほどではない、いやむしろしっかりしていると言えそうだが、雨漏りしない程度のもので、隙間風を防ぐのは厳しいだろう。どうにか目立たない程度に補修する必要がある。それとも、寝袋で寝ているという事にするか? だとしても、どっちみち補修は必要だろう。どうせ村長もそれを期待してるんだろうからな。


 さて、これから表向きはこの山小屋を使って暮らすわけだ。実際には地球のマンションで暮らすので留守がちになるが、そこはしょっちゅう出歩いているという事で言い抜けよう。で、ここから地球に帰る時の事だが……。


『この山小屋をダンジョン化しようと思う』

『そぉんな事、できるんですかぁ? ますたぁ』

『試してみないと判らんが、多分な』

『えーっ、でも、山小屋が急に洞窟に変わったりしたら、不審がられませんか?』

『いや、洞窟に化けたりはしないと思うぞ、多分……』


 結論。洞窟にはならなかった。見かけ上は今まで通りで、ただ屋根や壁が強化されたようだ。あまりダンジョン化を進めると違和感を生じるかもしれないので、安全確保程度にとどめる。最低、ダンジョンゲートで洞窟との往き来さえできれば問題ないからな。予想外の効果として、ダンジョン化したせいで雨漏りや隙間風に悩まされる心配が無くなった。これだけでも充分な成果だろう。とは言え、見かけだけでも修理しておかないと……あれ、ダンジョン壁って破壊不能?


 失敗した。ダンジョン化の前に修理をしておくべきだった。ダンジョンと化した板壁は、補修のためでも鋸や釘を受け付けず、その都度部分的にダンジョン化を解除しては加工補修しなければならないようだ。全部一斉に解除すればいいじゃないかって? そんな事したら、いつまでたってもダンジョンゲートを開けないだろうが。ちまちまやるしかないんだよ。

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