第三十四章 新年祭 1.テレヴィジョンの開発
新章です。章のタイトルと話のサブタイトルが乖離しているようですが……詳しくは本編をご覧下さい。
「兄さん、新年祭には出るんだろう? 準備はこっちでやっとくよ」
その朝、階段を下りて一階に行くと、宿の主人から声をかけられた。新年祭?
「済みません、この国に来てから日が浅いもんで……新年祭っていうのは?」
「あぁ、そうか。いや、この国じゃな、一年間無事に過ごせた事を感謝するとともに新たな一年の無事を祈って、それぞれが信じる神様にお供えをするんだよ。何をお供えするかは決まっていてな、自分で作るか出来合いを買って来るかなんだが、そいつはウチの方でやっとくって事だ」
お祭りか……目立つ場所は好きじゃないんだが……。
「この町で冬を過ごそうってのに新年祭を見ねぇなんて、よっぽどの馬鹿か変わり者じゃなきゃいやしねぇよ」
何、出なきゃ出ないで目立つのか。仕方がない……。
「あ、じゃあ、済みませんがお願いします」
目立たないためには、周囲と同じ事をそつなくやっておかんとな。
「広場ででっかい篝火を焚いて、その周りを踊ったり、色々な余興もあるからな。きっと楽しいぜ」
俺は引き籠もりだからなぁ……。騒ぎの中で楽しめるかどうかはともかく、遠目に見る分には面白いかな?
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洞窟へ戻ってこの話をすると、留守番組が残念がった。あ、バンクスへの移動が済んだので、スレイにも留守居に廻ってもらっている。
『テレビがあればみんなも楽しめるんだろうがな』
『マスター、テレビって、マスターのお部屋にあったやつですよね?』
『あれは……興味深かった……です……色々な……光景が……映っていて』
ふむ。作れないかね、テレビ。
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そう考えた俺は、ダンジョンコアたちと相談すべく、レムスのダンジョン「流砂の迷宮」にやって来た。いや、最近気づいたんだが、ここの砂漠の奥に埋もれたピラミッド、内部は結構快適なんだよ。で、テーブルなんかを持ち込んで、時々打ち合わせの場所に使っている。紅茶なんか飲んだりしてな。
『テレビ――テレヴィジョンですか』
『あぁ。お前たち、ダンジョンモンスターの眼を借りて外の光景を見れるんだろ? 勇者と冒険者を片づけた時には映像を魔石に記録もしてたし。そいつを応用すればできるんじゃないかと思ってな』
『モンスターの眼の代わりに魔石か何かを用いるわけですね?』
『あぁ、そう考えてる。で、それを通して見た映像を水晶玉か何かに映し出し、ついでに記録もしておくと。できないか?』
『工夫すれば何とかできそうですが、問題は距離ですね』
『あぁ……中継無しではきついか……』
結局、撮影用の魔石に写った映像を、一旦シャルドのダンジョンに送り、そこからダンジョンゲートを利用して洞窟に送る事で何とかなった。造ってよかったシャルドのダンジョン♪ クレヴァスやモローには洞窟経由で送られる事になった。
こうして準備も整った俺たち――と言うかうちの子たち――は、わくわくしながら新年祭を待つ事になった。
新年祭の内容は次話で。




