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第二百三十九章 オドラント 4.「間の幻郷」ドロップ品案件(その4)

流行(はや)りの宝飾品って言うと……エッジ村製のやつでしょうか?」

「エッジ村のか?」



 思わず問い返したエメンであったが、確かに現在流行の最先端を突っ走っているのはエッジ村のデザインであり、その影の仕掛け人はクロウである。クロウの配下たる二人も何度か目にした事はあるから、そこはかとなく同じようなデザインを真似する事ぐらいはできるかもしれないが……



「……絶対、面倒な事になりますよね?」

「なるな……間違い無く」



 エッジ村と似たデザインの宝飾品(アクセサリー)が、所もあろうにアバンの「(まよ)()」からドロップするなんて事になったら、デザインの出所が世間の興味を引くのは間違い無い。エッジ村にとっても「(あわい)の幻郷」にとっても、それは色々と好ましくない。

 そして、その問題を抜きにしても――



「アバンが第二のエッジ村になっちまうんじゃねぇか?」

「商人たちが行列を作る光景が幻視できそうですね……」

「ついでに、ご主人様が(かん)(しゃく)を回す光景も――な」



 ――と、ここまで話が進んだところで、



「……そう言やぁ『(あわい)の幻郷』ってなぁ、(そもそも)は不要品の処分のためにでっち上げなすったんじゃなかったか?」

「あ……そう言えば、そんな話を聞いたような気も……」



 アバンの「(あわい)の幻郷」は、本来は溜まりに溜まったサルベージ品の処分場としての機能を期待されていた場所である。妙な巡り合わせから陶磁器類のドロップが難しくなってきたため、代わりとなるドロップ品の調達をハンスが任された訳なのだが……



「だとすると……サルベージした宝飾品(アクセサリー)の処分が本筋な訳ですから……それを(かく)(らん)するような真似はできませんか……」

「サルベージ品と違い過ぎるデザインはできねぇって事だよな?」



 二人は改めて記憶を辿(たど)る。サルベージ品のデザインはどんなだっただろうか。



「……確か……()(もん)としては多くなかったんじゃねぇか?」

「船客の持ち物っぽいのがほとんどでしたよね?」



 種類がまちまちで、しかも数もそれほど無かったために、あまり印象に残ってはいないのだが……



「……何つーか……当たり障りの無ぇってぇか……」

「面白味の無いデザインでしたよね?」



 それなら真似るのも難しくはないか?



「いや……今思い出したが……宝石をあしらったのが結構あったぜ?」

「あ……宝石、ですか……」



 クロウはダンジョンの領域内に豊かな金鉱を持っているが、さすがに宝石の鉱脈までは保有していない。エッジ村の上流で水晶などの原石は確保できるが、下手にそれらをアクセサリーに用いれば、エッジ村の丸玉との類似点が(あら)わになる。



「つまり……どっかから宝石を調達してこなきゃなんねぇ――って訳だ」

「地味に面倒な結論になりましたね……」

「ま、当面は宝石を使わねぇデザインのやつを、幾つか用意するしかねぇな」


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