表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
116/1807

挿  話 ヴァザーリの混乱

第二次ヴァザーリ戦の波紋を挿話の形で。

『クロウよ、お主のせいで外では大変な事になっておるようじゃぞ』

(やぶ)から(ぼう)に何の事だ?』

『精霊樹様、マスターがなさった事は、多々ありますから、それだけでは、何の事か判りませんけど?』

 うん、キーンよ、その言い草はどうかと思うんだけどな、俺は。


『一番最近やらかしたこと、すなわちヴァザーリの一件じゃ』

『うん? ヤルタ教への不信感が増したと言うのなら、想定内のことだぞ?』

『ところがそれだけでは()うてのう……』

 爺さまが話してくれた内容は、俺にとってもいささか意外な話だった。


『精霊たちの噂話によるとじゃな、ヴァザーリでは(くだん)のスケルトンドラゴンの使役主を(かた)る……というのか、聞いた事もない神の名を出して、その神こそがスケルトンドラゴンの主じゃと言い出す者が後を絶たんそうじゃ』

 インチキ宗教が乱立しているってことか?


『他にも、この世の終わりが来るがこのお札を買った者だけは救われる、とか言うてインチキ札を売りつけようとする者やら、どうせもうすぐ死ぬのなら今のうちに好きな事をやっておくと言い放って乱暴(らんぼう)狼藉(ろうぜき)を働く者やら、不安に乗じて信者を増やそうとする生臭(なまぐさ)坊主(ぼうず)やら、町を捨てて引っ越そうとする者やら、逆にこれ幸いとヴァザーリの土地などを買い漁る強突(ごうつく)()りやら、とにかく百鬼夜行の有様(ありさま)じゃそうな』

 うわぁ……。


『インチキ宗教などについては領主軍の他に王国軍まで出張(でば)って来て摘発しておるそうじゃがのう。面白い事に、ヤルタ教もこれらのインチキ宗教の摘発に乗り出しておる様子じゃ』

『ヤルタ教が?』

『うむ。何でもヤルタ教の坊主どもによると、この世界は主神ヤルタとそれに刃向かう悪神バトラの対立と抗争の場であって、いずれは主神ヤルタが勝利を得るのじゃそうな。面白い事に、悪神バトラも神は神であって、そこらの魔物とは格が違うので、あのような神々(こうごう)しいスケルトンドラゴンを生み出せたのじゃと言うておる』

 ほほう、ゾ○アスター教みたいな教義を考え出したか。やるもんだな。


『で、信者はその説明に納得しているのか?』

『精霊たちもそこまで知ってはおらんようじゃ。というか、ヴァザーリの町自体がさっき言うたような有様(ありさま)でな、ヤルタ教の坊主どもの説得も騒ぎの中に埋もれてしもうて、果たしてどれだけの民が聞いておるやら』

『町全体がそんな騒ぎなのか? だとしたら他所(よそ)との交易はどうなっている?』

『そういった騒ぎじゃから、まともな商人はヴァザーリへの立ち入りを控えておるようじゃ。領内の他の町ではヴァザーリほどの混乱はないようじゃが、一方で領主軍や王国軍の目が届かぬために、ぼとぼちイカサマ師どもが目を付け始めたようじゃな……』

もう一話投稿します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ