表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
113/1814

第三十章 亜人たちの村 2.シルヴァの森のエルフ村

シルヴァの森のエルフたちにクロウがどう思われているのか。今回はその話です。

 何だかんだでそれなりにクロウとの付き合いに馴染んできた、シルヴァの森のエルフたち。彼らのもとにもヴァザーリでの騒ぎは伝えられていたが、エルフたちの反応は――無論驚いてはいるのだが――獣人たちとはいささか(おもむき)が異なっていた。



「聖気を(まと)って光り輝くスケルトンねぇ……」

「まぁ、あの精霊術師殿にしては穏便(おんびん)なのではないか?」

「そうだな。今回は死傷者もほとんど出なかったようだし」



 エルフたちの間でのクロウの評価が察せられるようなコメントである。



「俺はむしろアンデッドの勇者の方が気になるんだが」

「あぁ、先代勇者はダンジョン内で死んだということだが、してみると精霊術師殿はダンジョンに何らかの手蔓(てづる)をお持ちらしいな」

「案外、ダンジョンマスターに頼まれて、ダンジョンを造ってたりしてな」



 エルフたちはどっと笑う。「んなわけ無ぇだろ~」という声も聞こえるが、実は半分ほど当たっている。ダンジョンを設計したのはクロウである。


 皆が談笑している中、一人の男が何か考え込んだようにしていた。バンザというその男――クロウからの買い取り品を巡って、先日幼馴染みのエルナという女性とあわや掴み合いをしそうになった男――は、妙な顔をしつつ爆弾を投げ込んだ。



「なぁ、その勇者のアンデッドだが、ダンジョンからしか得られんのか?」

「勇者をドロップ品扱いかよ……。ダンジョン内で死んだって事だから、他の場所にゃ屍体が無ぇだろ?」

「いやな、禁忌の死霊術って言うくらいだから、呼び出した勇者の霊魂か何かを別の屍体に乗り移らせて……なんてのは無理か?」



 あまりと言えばあまりな発想に、ホルンも含めた面々が凍り付く。



「そんな事……いや、あり得るのか? あの精霊術師殿なら……」

「霊魂を呼ぶ事――降霊って言ったか?――はできた筈だよな。なら……」

「どうなんだ? ホルン」

「俺は死霊術には詳しくないが……どうだろうな? 何しろあの(・・)精霊使い様のことだからな……」

「わざわざ『禁忌の』と強調なさったんだろ? なら、バンザの言うとおりの事ぐらいなさっていても不思議じゃないよな……」



 クロウが色々とやらかしているのを知っているため、真っ当な方法でアンデッドを得たとは思えなくなってくるエルフたち。



 クロウに対する信頼と評価は、妙な方向で固定しつつあった。



・・・・・・・・



 後日、この時の会話を精霊経由で爺さまから聞き込んだクロウが、(呼び出した霊を取り憑かせる事ができるか)試してみたらできたというのはここだけの話。



 エルフたちが示した斜め上の信頼が、クロウの更なる成長を促し、そして、自重(じちょう)を更に捨て去る結果をもたらした。

明日は冒険者への影響になります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
おもしろい
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ