表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1006/1810

第二百九章 災厄の岩窟 3.金鉱石調査隊第三班の災難(その1)

・本作のコミックスが6月7日、スクウェア・エニックスの「ガンガンコミックスUP!」レーベルから発売となります。是非、お手にとってご覧下さい。

・後書きに発売記念フェアのお報せを載せておきます。

「畜生……見失ったか……」

「とっ捕まえてりゃ金一封もんだったのによ」



 「岩窟」内を散々引き摺り廻された挙げ句、うまうまとゴーレムに逃げられた金鉱石調査隊第三班。その一人が残念そうに舌打ちをする。



「報告だけでも功績にはなるだろうが……」

「甘っちょろい事を言ってんじゃねぇよ。何で取り逃がしたんだ――って、お叱りを被るのがオチってもんよ」

「……知らんぷりを決め込むか? いっその事」

「……それも悪くないかもしれんな」



 この一件が闇に葬られようとしたところで、遅れていた兵士の一人が姿を現す。



「まぁまぁ諸君、そう悲観したもうな」

「何だ()(めえ)、今頃になって追い着いてきやがって……何を抱えてやがる?」

「ふっふっふ……ただ芸も無く遅れていたと思ってもらっちゃ困る。――見な」

「何だ……?」

「おぃそれっ!?」

「そうよ。ゴーレムどもが逃げる時に落としてった鉱石よ!」



 どうやらこの男、逃走の際に荷車から(こぼ)れ落ちた鉱石を、抜け目無く拾い集めていたらしい。

 成る程。ゴーレムを逃がしたのは一大痛恨事かもしれぬが、ゴーレムたちが運んでいた鉱石を回収できたというのなら、これは得点が失点を上回るだろう。



「でかした!」

「いやぁ~……お(めえ)ならやってくれると思ってたぜ」



 失意から一転して沸き上がる一行。



「そうなると……後は無事帰り着くだけだな」

「大丈夫か? マッピングも無しで、随分と闇雲に走って来たが?」

「心配すんな。こういう時のために、行程記録用の魔道具があるんだ」

「おぉっ! そう言やあったな、そんなもん」

「んじゃ、何の心配も無ぇ訳だ」



 安堵したような笑い声が、「災厄の岩窟」内に響いていた。



・・・・・・・・



『ふむ……「還らずの迷宮」に侵入した、テオドラムの密偵が持っていたやつだな。どういう仕組みなのかは判らんが……』



 コアルームでモニターを観ていたクロウが、興味深げに(つぶや)いた。



確保(・・)しますか? ご主人様』



 「災厄の岩窟」のダンジョンコア・ケルが訊ねているのは、金鉱石調査隊第三班の連中を始末して、装備している魔道具を奪うかという事である。しかしクロウの判断は、



『……いや、()めておこう。今回は最低でも一人、メッセンジャーとして戻ってもらう必要があるからな。やつらの話を聞いた限り、他の班も同じものを持っているようだし、この先にも機会はあるだろう。魔道具に関心を持っているなどと知られたくない』

(かしこ)まりました』

『それより、そろそろスパイダーゴーレムの出番じゃないのか?』

『はい、あの先の通路に待機させてあります』



・・・・・・・・



「……おぃ……何か聞こえなかったか……?」

「あ? 何がだ?」

「い、いや……気のせいか……」

「いや……俺にも聞こえた……小さな音だったが」

「おぃ! 何だってんだ!?」



 その問いに答えるかのように、支洞からそれ(・・)が姿を見せた。



「な! 何だありゃ!?」

「こ、こっちに向かってくるぞ!?」

「逃げろっ!」



 すっかり恐慌に陥った第三班の面々は、クルリと向きを変えると一目散に駈け出したのであったが……

コミックス①巻発売記念フェアのお報せです。

挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ウワァァァァッ 好きな小説がコミックスで発売だとっ!? これは買うしかねぇ
[気になる点] ×うまうまと ○おめおめと
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ