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プリンセス オブ エニグマ  作者: 和一幸大
第1章『ニューリッヒ盗賊団編』
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FILE-8『戦慄の咆哮(前編)』

「……あれ?アルカディア周辺なんだよな?ここは……」


「はい、アルカディア周辺の『迷いの洞窟』ですね」


迷いの洞窟ってかなり前に依頼で来たことがあるけど、こんなに入口狭かったっけ?中は確かかなり複雑だったからその時の目標が出てくるまで待ってたっけ?今回は待つ気力は無いから入るけど。


「とりあえず、依頼内容の整理いこうか」


まず、依頼内容は『星狼の子供』と呼ばれる賞金首の捕獲or殺害をすればいい。

ターゲットは現在この洞窟の中にいる事がわかった。

ここにいるのを特定したのは、情報屋のレヌに電話してたらすぐに教えてくれた。

なんでも金にならない情報だったらしいから、俺に無料で教えてくれた。

後日あった時に、今回の報酬金の1割でも渡しておくか。


「でも、金にならない情報ってなんだろうな?」


「知りませんが、星狼の情報は聞いたことがありますよ」


ターゲットの二つ名にも星狼ってキーワードが出てたな。


「星狼って何だ?」


「はい、星狼とは現在絶滅している魔物の名前です」


「ん?絶滅いつぐらいに?」


「千年以上も前にですね」


千年前ってかなり古い魔物だな、初耳だよ。


「つまりあれか?今回の目的は星狼の子供の体全体or1部を手に入れたいって事か?」


「多分ですが、星狼を復活させるために使うのに今回のターゲットの体を使うのでは?」


テリアスト国もアルカディアと同じように魔法を扱える者は少なくて、化学に頼りきっている生活をしている。

テリアストではかなり前に絶滅した魔物などの復活を成功させてるようだ。

今回は絶滅した危惧種の為に半分ぐらい星狼の細胞の入っている目標から絶滅危惧種の星狼の細胞を取りだしてから、星狼を復元させるのだろうな。


「そうか、とりあえず殺害して帰るか」


「そうですね、生かして帰ったらその目標の為になりませんからね」


今回の目的を捕獲して帰った場合の後を冒険者は考えなくてもいいが、俺達の推測が正しければ復元出来るまでずっと細胞をとられるだけの実験体(モルモット)になるのだろう。

それならば殺害の方を選んでおくか。


「というか、捕獲なんてする気はない」


かなり前に賞金首討伐の依頼が来たことがあるけど、捕獲が面倒だったから殺害しておいたかな。


「間違えても細胞ごと焼き尽くさないでくださいよ?」


「う〜ん、手加減が出来ないとなると……」


カードはまず使えるけど強すぎるカードは使えないな。

威力を落とすことが出来ないからな。


「とりあえず、青のカードケースを取ってくれば良かった」


「水魔法で溺死体の出来上がりですね」


「……その手があったか」


相手が魔法を使えない賞金首ならその方法は友好的だろうな。

カードを持っていても対処が出来ないストラックは持っているからな。


「よし、そうと決まれば……」


「分かりました、テレポート」


ルナがアジトにテレポートで帰っている間に賞金首の情報でも見ておこう。


〜〜〜〜〜


賞金首の特徴はコルダに貰った資料に書いてたはずだな。

年齢は12歳、性別は男、種族は星狼の獣人、得意な武器は短剣。

犯罪歴はスリ、窃盗など。


「とりあえず、犯罪歴はしょぼいとしといて、子供相手にカードか……、性別が女だったら捕獲しやすかったのに……」


カード使わなくても力で押さえつければ楽勝だったのに。


「ただいま、戻りました」


ルナがアジトから帰って来て、青色のカードケースをしっかりと持ってきてくれてる。


「さて、洞窟の奥に行くか」


「はい、分かりました」


〜〜〜〜〜


洞窟の中は少し冷たくて、土が濡れた匂いが漂っている。

現在は入ってからかなり歩いていて、目の前に三つの道が見える。

そして、奥につれて暗くなっているので、白色のカードの『ライト』を発動させている。

このカードの効果は前方を光で照らしてくれる。


「道が三つに分かれてるな」


「どの道を歩いて行きます?」


俺は三つの道を見て、真ん中を行くことに決めた。


「真ん中を行こうか」


「どうしてです?」


「真ん中の道の奥をよく見な」


真ん中の道の奥の床に細い糸の(トラップ)が仕掛けてある。


「子供の頭脳じゃわからんだろうがこの行為は、自分がここにいますよって言ってるもんだ……」


「それに、子供の出来る罠は弱いって思ってますよね?」


「そりゃあ、当たり前だろ」


俺はわざと罠と思われる細い糸に引っかかる。


「でも、星狼って罠を使うのは達人級って聞きましたよ?」


所詮、子供の浅知恵程度だ。

竹槍でも出てくるのかな。


「……何も来ないな」


「いえ、奥から音がします」


確かに奥からドドドドって音が……。


「あれ?これってまさか……」


「多分ですが大岩がこっちに転がって来てますよ?」


「ちくしょう、大岩が見えたら破壊してくれ!」


「分かりました」


ルナは腰に付けてた片手銃を前に向けて構え、ショットをセットする。


「そろそろ、来ますから破片だけは自分で対処してください」


「それぐらい分かってる」


俺はリフルに白色のカード『ホーリーシールド』をセットして発動する。

俺の前方に光の盾が形成される。


「きました!」


ルナは道を埋め尽くす程でかい大岩に標準を合わせて撃つ。

片手銃から出た弾は拡散して大岩に命中すると、大岩が粉々に砕ける。


「ふぅ、それでは行きましょうか」


「……すまん、とりあえず罠は避けて通るか」


〜〜〜〜〜


「む、罠の数が多くなったな」


奥に行くに連れて罠が多くなっている。


「この奥にいるようですね」


「奥に小さいくてわかりにくいが、火が見えるな」


罠が交差している道の奥には淡い赤色の火が見える。


「ロウソクの火でも使っているのか?」


「ロウソクは現在では希少な物ですよ?」


「そうだよな、まさかとは思うが目標は魔法を使える可能性があるな」


「気をつけてください、マスターが最初に引っかかった罠の音で侵入はバレてると思いますし、奥にはまだ大量の罠がありますのでお気をつけて進んでください」


「大丈夫だ、問題な(カチッ)……-」


「「……あ」」


奥から岩石が転がってくる。

こっちに転がって来る時に手前の罠を発動して、手前の罠の全てが発動して、混沌と化した罠の数々が押し寄せてくる。


「……しょうがない」


カバンから白色のカード『ホーリーシールド』をリフルにセットして発動させて、すぐに黒色のカード『ダークスピア』に変えて発動させる。

前方に光の盾が形成され、手に黒色の槍が形成される。

光の盾にどんどん罠が当たっていく。


「あれ、中々壊れないな、ホーリーシールドは……」


「ダークスピアまで出す必要無かったですね」


「あぁ、まさかここまでホーリーシールドが硬かったとはな」


全ての罠が当たっても壊れないどころか無傷のホーリーシールド。

俺はすぐにホーリーシールドを消す。


「中級魔法で事が済むとは今回はclass5レベルの依頼だな……」


「そうですね、とりあえず目の前の罠を処理してください」


「あぁ、そうだな」


俺はダークスピアを1振りすると、目の前の罠が消え去る。


「危なくなったら使おうかと思ったけど罠の処理に使う為に発動してしまうとは……」


「これで、今日は青のカードしかありませんね」


「とりあえず、奥に行くか」


俺とルナは奥に行くと小さい人影が二つ見える。


「……二つ?」


「えぇ、見えますね二つも……」


『来るな!これ以上近づいたら切るぞ!』


目の前に、短剣を向けた狼の獣人の少年と、後ろで震えている獣人の少女がいた。

少年の見た目は、黒髪で長さはショートぐらいで、目の色は黄色で、自分より40cmくらい小さいだろう。

少女は、綺麗な白髪で長さはロングぐらいで、目の色は黄色で、少年より一頭分小さい。


「……ルナ」


「はい?どうしました?」


「どうしようか……」


俺は、1人しか発見してないと聞いたのにな。


「知りません、ただの情報ミスと思えば良いです」


「そうだな、作戦はそのままでいいか」


俺が1歩前に進んだ瞬間に、男の子の目の色が変わる。


「こっちに来るなって言ってるだろうが!『星狼の咆哮』」


男の子の前に魔法陣が浮き出る。


「む?星狼の咆哮?」


「マスター!気を緩めないでくださ……-」


俺とルナは魔法陣から出てきた豪風に吹き飛ばされた。

次回は『戦慄の咆哮』の後編となっております。

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