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プリンセス オブ エニグマ  作者: 和一幸大
第1章『ニューリッヒ盗賊団編』
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FILE-4『戦慄の山』

「まじか……」


「私は分かりきってました」


予想通りにセルツピナ国が、ニューリッヒ盗賊団に喧嘩を売り負けたな。


「……そこまでは良かったんだけども」


「ニューリッヒ盗賊団の団員1人で片付けてしまったとレヌさんからきました」


セルツピナ国はけっして弱くはない国だ。

セルツピナ国の先代王はアルカディア王国と同盟を結んでた時にカルガディア大国(現在はアルカディア王国とセルツピナ国の領地となっている)を攻め込んで勝てたと言われている。

ちなみにこちらは援軍を1人とも呼んでないのにだ。



「……セルツピナ国とニューリッヒ盗賊団との戦争があって両者ともに多大な影響を与えて欲しかったのですが」


「まさか、ニューリッヒ盗賊団の幹部じゃなくて、団員で滅ぼせる力とはな」


「とりあえず、アルカディア女王の所に行きましょう」


「そうだな、シズハ出かけてくる」


「はいは〜い、夕飯時には帰ってきてね〜」


俺はカバンを持ってアルカディア城に向かう。


〜〜〜〜〜


俺はアルカディア城前に着くと、エンフィル騎士団の1人に止められる。

鎧で全身を包み込んでいる男性だ。


「ケント殿、騎士長より伝言を扱っております」


「はぁ?伝言?なんで?」


伝言ってことは今仕事中って事か、でもミアラに用はない、あるのはアルカディア女王1人のみ。


「それが、『セルツピナ国を滅ぼしたと思われるニューリッヒ盗賊団を1人見つけましたので、場所はコリスト山近くです。急いで来てください』との事です」


はぁ、犯人は見つけてくれたんだ、とりあえず、アルカディア女王の所に行かなくても良いんだ……、え、コリスト山?


「ちょっと待て、まさかと思うが1人で行ったのか?コリスト山に」


「え、えぇ、すれ違うように……―」


「……おいおい」


コリスト山とはセルツピナ国近くにある山で、別名『山賊の宿』とも呼ばれるほど魔物に出くわすより、山賊に出くわす確率の方が大きい。

そして、山賊には比較的強すぎる奴らがいると聞く。

もし、そんなのに合っていれば……―


「はっはっは、ミアラが危ねぇな」


エンフィル騎士団はアルカディア王国の騎士団の強さの中では上から3番目だが、一人ひとりが小国と渡り合える強さを持っていない。

それに、ミアラはリフルの存在すら知らなかったし、ESなんてつれてもいなかったと言うことは、魔法に頼って騎士長になったのだろう。

アルカディア王国では魔法を扱える者をぞんざいに扱う事はしない。

今回の件はアルカディア女王もミアラだけでも安全と思ってたのだろう。

だが、アルカディア女王もミアラもたぶん知らないのだろう、相手がセルツピナ国を滅ぼしたのは1人だけだということを。


「くそっ、急がないと……―」


〜〜〜〜〜


「……おいおい、何かの冗談だろ」


現在、ミアラと合流した俺とルナ。


「すみません、道に迷ってしまって……」


ここだけは予想できてなかった。

最低でも見つけてくれてるとは思っていた、だが、コリスト山の中間地点で迷ってた。

この隊長殿は、方向音痴なのかよ。

コリスト山には木々が生えておらず、岩がゴロゴロと転がっているくらい。


「……とりあえず、戦いに敗れて死んでましたって事が無くて良かった」


戦って死なれていたら報酬金が無くなってしまうから、本当に良かった。

依頼主の死亡=報酬金が無いからな。


「とりあえず、独断で行動をしないでくれ」


「は、はい、すみません」


ミアラと俺は情報交換を始めた。


俺達の情報はセルツピナ国を滅ぼす為に使用した人数はたったの一人だけということ。


ミアラの情報はコリスト山の頂上で、ニューリッヒ盗賊団の幹部の一人ブラックキャットがES数体と数千人の部下をつれて待機していたのを確認。


「……ブラックキャット?」


「えぇ、ニューリッヒ盗賊団の幹部の1度欲しいと思ったものは最低限の力で何でも盗みに入る者と聞いてます」


「ブラックキャットは魔法を使えるの?」


「えぇ、『フレアガン』を使うそうです」


「……フレアガンをか」


フレアガンは火炎魔法下級の魔法と聞いている、アルカディア王国周辺では上々と聞いているが、セルツピナ国を滅ぼすのには足りない火力だろう。

なら、考えられるのはESを使ったのだろう。


「フレアガンを使えるならクリプトン保管庫の壁の後も頷けるな」


「でも、女王様、曰くあの破壊の後はESの壊した後と聞きました」


と言うことは、もう使い慣れてる人物がニューリッヒ盗賊団にいてもおかしくないと言うことか。


「あの人、傷跡を見ただけで誰が壊したかを分かるのかよ、馬鹿なのに……」


間違って城の女湯の壁を破壊したら、女王様が特定しそうだな、恐ろしい。


「とりあえず、現在の武器だけでは勝てませんね」


「今から、援軍でも呼ぶか?そうしてたら、あいつら逃げるぜ?」


ここからアルカディア王国にルナの魔法の1つテレポートを使っても行って帰るのに10分もかかるし、援軍一人ひとりがテレポートを使える訳では無いし、報酬金が減らされるので却下。


「よし、俺とルナだけで行ってくる」


「な、危険です!」


「いや、雑魚の団員一人を捕まえて、アルカディア城で尋問をすればいい」


ちなみにこちらは、楽して金を稼ぎたいので、雑魚の団員一人を捕まえて来ても依頼票に書かれてた『クリプトン保管庫からクリプトンを盗んだ犯人を捕まえて欲しい』を達成出来るはず。


「そうですか、それでは私はアルカディア王国に行って援軍を……―」


「よし!ルナさっさと、片付けて帰るか!」


「ちょっと!待ってくださ……―」


俺はミアラの静止を無視して頂上に向かって走り出す。


〜〜〜〜〜


「ぜぇぜぇ……」


「マスター、頑張ってください」


「無理、疲れた」


「そこで立ち止まってると魔物に襲われますよ?」


「大丈夫、魔物なんてほぼでないからこの山は」


コリスト山で魔物がでない理由は、コリスト山に住んでいる山賊が魔物を狩って素材を剥ぎ取り、闇市場に素材売って金に変えたりしているからだ。

魔物の素材は山賊にとっては大事な財産となってるとか。

そのためコリスト山で魔物が滅多に現れないが、安全という訳では無い。


「マスター、お疲れの所悪いのですが」


「ん?どうした?」


「……敵です」


俺は上の方を見るとみすぼらしい格好をして錆びた斧や弓矢を持っている男が13人程いる。


「……山賊が現れたようだ」


『げへへへへ、獲物だぜぇ』


「どうします?マスター」


『とりあえず、殺すか』


「いや、決まってるだろ?先手必勝だ」


『あの小さいの高値で売れるかなぁ』


「了解しました」


『よし、とりあえず襲うぜぇ』


俺は山賊達が襲って来るのを見てたけどこの距離だ、ルナが撃つ弾が当たるのが早いからな。

ルナは赤色のコインを懐から2つ取り出すと、背中に腰に付けてた片手銃を男達に向け、コインをスロットにセットする。


「今回は『オート』と『ショット』を使います」


ルナは素早く片手銃の引き金1回だけ引く。

片手銃から飛びでた弾は何百発にも増えて前方の山賊を蜂の巣にする。

いつ見てもESだけは敵にしたくない。


「今回はオートとショットか」


ルナやES達の武器のEWにはコインをつけるスロットがある。

コインの色は全て赤色に染まっているが、ESにはどれがどれだか分かるらしい。

ちなみに今回使ったコインの説明をすると。オートは自動で先に標準を合わせていた生き物に弾が飛んでいくようになる。ショットは銃から出された弾が何発にも威力はそのままで分散する。

これが合わさってさっきの現象が起こる。


「とりあえず、頂上急ぐか」


「了解しました、マスター」


俺とルナは頂上の方に走り出す。


〜〜〜〜〜


「……お頭、見知らぬ奴が頂上に来ています」


黒いマントを被った男が猫の仮面を付け深くフードを被ったお頭よ呼ばれる者に知らせを報告。

少年は1人の猫の獣人の少女の方を見る。

猫の獣人の女の子の見た目は、髪の色は桜色で、髪の長さはショートぐらい、目の色は黒、身長はお頭より少し小さい。


「うん、そうだね、とりあえず、ピピ僕達は先に帰ってるからその玩具(ES)を使ってセルツピナを壊したように遊んで来ていいから」


「はいですにゃ」


「うん、それじゃあね『テレポート』」


少年は地面に手を触れると自分を中心に魔法陣を形成して、。


「それでは少々遊んで帰りますにゃ」


ピピは手を振ると同時に魔法陣と共に少年と黒のフードを深く被ったお頭と共に男達が消える。


「さて、久々の獲物(食べ物)はどんな味かにゃ?」

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