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プリンセス オブ エニグマ  作者: 和一幸大
第1章『ニューリッヒ盗賊団編』
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FILE-2『戦慄の始まり』

「……とりあえず、依頼は終わりました」


「えぇ、さすがはアルカディア女王がオススメするお方ですね」


「はいはい、とりあえず報酬を貰いますね」


現在は自分のアジトに着いて、依頼主のエンフィル騎士団の騎士長のミアラと、うちの財政管理のシズハと依頼終了後の話しになっている。

アジトはレンガ建てで、床は白と黒のタイルを張り巡らしていて、2階建ての家だ。

そして、話の内容はさっぱりと分からない内容だ。

ちなみに俺より頭の良いルナは睡眠中だ、カバンの中でな。

それと、ミアラの見た目は金髪で目の色は金色で髪の長さはミドルで身長は俺と同じかな。

そして、シズハは黒髪で目の色は黒色で髪の長さは、ロングの女性だ、うちの看板娘ってぐらい人気がある(冒険者のみ)。


「それと、今日じゃなくても良いのですが……」


「はぇ?まだ依頼があったのですか?」


「えぇ、もう一つ依頼が…」


このような仕事ではよくある事だ。

まず、一回目の仕事で信頼を得る為に最低限の内容の依頼を頼んで、無事完了したら二つ目の本命の依頼を頼むタイプだ。

別に俺はこういうのは嫌いじゃない。

だって、わざわざ報酬金をくれるようなものだから。

それはさておき、ミアラは懐から依頼票を取り出して机の上に置く。

俺はシズハの横に座って、依頼票を手に取り目視する。

隣でシズハはコーヒーを飲み始める。


「なるほど、却下したいほどめんどい内容ですな」


「へぇ、ケントがそこまで言う内容なんだ……、内容を聞かせてもらっても?」


「……アルカディア王国のクリプトン保管庫からクリプトンが盗まれたという内容だ」


「ブッーーーー!」


シズハは俺の方を向いてコーヒーを勢いよく吹きだして、俺の顔に熱いコーヒーがかかる。


「あっちーーーーーー!!」


「……ごめんケント、でもアルカディアの施設は何処もかしこも要塞レベルの警備力って聞いてたけど?」


とりあえず、シズハ以外がコーヒーを顔面に吹きけてきただけど俺は許そう。

でもこの依頼が終わったらお前の太ももを枕にしてやるからも覚悟しておけ?


「それが、内側からの警備力は物凄く弱くて……」


何で内側の警備力が弱いんだよ……。


「ということは、身内の人間が盗んだって事ですよね?」


まぁ、一般人から見た確率としてはそうとしか思えんだろうが、この世界は広いお前が知らないだけだ。


「だから、俺みたいな上との繋がりがあるやつにしか頼めないと?」


「はい……」


「犯人の特定は?」


「まだ出来ていません」


『まだ出来ていません』って、1から犯人を特定して探せってことか。

中々、厳しい状況でさせられるな…………。


「それはまずいな」


ESの核となるクリプトンはかなり稀少で、発掘先等は分からないが使用方法はかなりある。

一つは一体でも化け物レベルのESを生産できる。

それに、ESが化け物レベルに強い理由は魔法が使えるからだ。

アルカディア王国では魔法を使える者はいるがほんの1握りだ。

他国みたいに大量に魔法を使える人物は中々いなくて、化学に頼って大国となった国だ。

ESは他国と同レベルの魔法とアルカディアの化学が混合した物で、他国はこのESまでとはいかなくてもクリプトンを手に入れるという行為は喉から手が出るほど欲しいのだろう。

だが、アルカディア王国の人間が盗んだとなると、大罪だろうな。

良くて懲役何年だが、悪くて死刑といわれても仕方がないだろう。


「ふむ、盗んだ人物が特定出来たら捕獲を頼む」


「シズハ、今から施設に行ってくる」


「いえ、後日で大丈夫なので……」


1日2個も依頼をする奴は馬鹿だ、だが、俺は馬鹿といわれても良いからさっさと終わらせたい。

俺はミアラを無視してルナが入ってるカバンを開ける。


「ルナ起きろ、仕事行くぞ」


中で寝ていたルナが俺の方を見ると、目を擦りながらあくびをする。


「了解しました、でももう少し睡眠を……」


俺は机の上にある依頼票にサインをしてミアラに渡す。


「さて、ミアラさん依頼を始めよう、だから案内をお願い……」


「……分かりました」


ミアラはため息をついて外に出る。


「行ってらっしゃいケント」


「行ってくるよシズハ」


俺はルナが入ってるカバンを持って外に出る。


〜〜〜〜〜


「さて、ケントさん今から施設に向かいますけど用意は出来てますか?」


「あぁ、大丈夫だ……と言いたいけどリフルが使えなくなってて」


「……リフル?」


「ミアラさんみたいにカードを使わない人達にはさっぱりと分からないだろうから説明するか」


リフルは、主にクリプトンに近い鉱石ミリプトンが核のカードを使うのに必要な機械だ。

ミリプトンは、衝撃を与える事でクリプトンより少ないが魔素を分泌する。

ちなみにカードの能力を1度使ったらそれっきりのがカーストと言い、何度でも使えるのがストラックと言う。

カードの色によって中身に描かれている魔法陣や、詠唱の違いでそうなっている。


「ふむ、アルカディア王国はそんなものまで作ってたのですか」


「魔道具の次に厄介なアイテムと思ってくれれば良い」


魔道具は、召喚などにこの頃は使われだしているし、アルカディア王国はリフルが浸透し始めているぐらいだ。


「それで、リフルと言うのは何処で買うのですか?」


「いや……修理に出すだけだからな?」


リフルを買い替えることはしないよ?

1個買うのに簡単な依頼1個分もするから、修理にだせば修理10回しても依頼1個分で安く済む。


「修理に出してたら今回の依頼では使えないのでは?」


「修理に出してる時は店のリフルを借りれるから大丈夫だ……まぁ、ストラックは使えないけどね」


修理屋のリフルは、俺の持っているタイプよりかなり旧型で、カーストを使うことしか出来ない。

ストラックが使えないのは辛いけど、カードが使えないよりはマシかな。


「私も気が向いたら使って見ようかな」


俺とミアラは裏路地の方に向かう。


「む?こっちにリフルの修理店があるのですか?」


「一応、情報屋と修理店はこっちだしな」


「情報屋?何が知りたいのですか?」


「ん?依頼の犯人かな」


「ば、馬鹿なっ!私達騎士団でも犯人が未だに分かっていないのにどうやって見つけることが!」


「俺よりカードの使い方が上手いやつがいるだけって事かな」


一応、情報屋の人は、俺にカードの使い方を教えた人だからな。

俺は立ち止まるとミアラに古びた建物の中に入るように指示をする。


「どうしました?ここが情報屋なのですか?」


「すまんが、うちの情報屋はおたくみたいな騎士団がいると会話をまともにしてくれないのでこの店の人にこれを渡してくれれば良いから」


「はぁ、訳ありってことですね?と言うことはここの店の商品でも見て時間を潰せと?」


「いや、リフルの修理に出しといて欲しい」


俺はミアラにリフルと小袋を渡してその場を去る。

後ろからミアラの静止が聞こえるけど無視して情報屋の所に走って行く。


〜〜〜〜〜


「すまんな、わしでも分からんのじゃ」


「な、なんだと」


現在は情報屋のレヌの所に来ていて、いつものように情報が貰えると思っていたが『分からん』の答えでつき返された。

ちなみにレヌの見た目は銀髪で目の色は赤色で、神の長さはショートの可愛らしい顔した女の子だ。


「た、頼むよ!レヌの所でも調べてくれ!」


「むぅ、仕方ないのぅ、とりあえず出すものだけだせぃ」


「わかったよ」


俺は懐からピンク色の小袋をレヌに渡す。


「……おぬしの所の女の趣味はよう分からんのぅ」


「とりあえず、情報が掴めたら連絡を頼む」


「うむ、了承した」


俺は急いでミアラの所に戻る事にした、情報が来たらレヌに連絡をくれるように言ったからな。


〜〜〜〜〜


店に入るとぐったり疲れきったミアラが店の隅の長椅子に座ってた。

リフルの修理に出すのは、正直に言って疲れるから君に任せた悪く思うな。

店の人があれこれ、意味不明な言葉で会話してくるからな。


「よぅ、こっちは終わらせてきたよ」


「…………そうですか」


俺はミアラの横に座る。すぐにミアラは距離を取る。

俺は、嫌われてるのだろうか?


「ところで情報屋の所にいってきたのでしょう?どうでした?」


「あっちでも分からないほどの奴らしい」


「……それは困りましたね」


「あぁ、全くだとりあえず今日はリフルのかわりを借りて帰りますかね」


「む?施設に行かないのですか?」


「当初の目的とずれたからな」


最初の目的は情報屋から情報を貰えて、犯人の特定が出来たら施設に行き、施設の壊された所を見て相手の脱出方法に使った時の武器の確認をしてもう一度情報屋に行ってから、犯人の現在地を確認してルナの能力でテレポートして倒しに向かい、倒して終わりの予定だったが敵の特定さえ出来てなければ意味がない。

今頃は、アジトの中に逃げているのかな?


「なぁ、犯人の武器を特定してそこから何故犯人の居場所が分かるんです?」


「ん?知らねぇ」


「秘密事項ってことですか」


「多分な」


「……あの、1回施設に行きませんか?」


「何でだ?」


「もし使った武器の名称だけ分かれば情報屋は見つける事が出来るのでは?」


「…………とりあえず、試してみますか」


このまま家に帰ったら夕飯が気まずくなるだけだろうな。

とりあえず、施設に向かって武器の特定が出来たらレヌなら犯人特定なんて容易いのではないだろうか。


〜〜〜〜〜


俺とミアラは大きな正四角形で鋼鉄の建物に入る。


「着きました、ここがES管理施設のクリプトン保管庫です」


目の前には、クリプトンが入ってたであろう箱はぐちゃぐちゃに壊されている。

そして、脱出の為に開けた壁は人ひとりが頑張れば出れるぐらいの穴が空いてる。


「ほぅ、こりゃ武器じゃねぇな」


クリプトン保管庫の破壊された壁は内側から壊されているが剣や銃の後ではなく、破壊された壁の端は溶けたような後がある。


「これはあまり考えたくないが……」


俺は壁の端を触ると背筋が凍るように寒くなったと同時に犯人が特定出来た。

1番考えたくなかった答えだった。

俺はゆっくりとミアラの方を見る。


「この壁を壊した犯人がわかったぞ」


「なにっ、犯人がわかったのですか!?」


「この施設を壊したのとクリプトンを盗んだ犯人はESかも知れない」

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