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こんばんは。バーサーカーです  作者: インティ
4/9

そして物語は動き出す(予定)

 夜が明ける

 光が射し込み、霞がかった世界が幕を開ける。

 眠い。瞼を閉じ再び闇夜の世界へ戻らんとするが、


 キャァァァァ


 そうもいかないらしい。誰かの悲鳴のようだ。

 雄鶏の朝鳴きの変わりにしては趣味の悪い。目覚めの悪い朝だ。

 というか近所迷惑だ。家なんて無いけど。とにかく俺の二度寝を邪魔した事に文句を言ってやらんと気がすまない。

 今後の方向性も決まるかもしれないしな。

 起き上がると傍らにある真っ黒い長剣を取り、悲鳴のあった方向に走り出した。



\(^o^)/\(^o^)/\(^o^)/



 うわっ…こういうのってテンプレパターンじゃないのか?

 悲鳴の元がどっかのお姫様とかで危機一髪ピンチから救いだして、お姫様が惚れて、仲間を集めて悪の組織とか国の陰謀とかに立ち向かってぎりぎり勝ってハッピーエンド!とかじゃないのか?

 まずいな、状況の整理だ。

 まず目の前にお姫様らしき服装の獣人がいる。これはテンプレ通りだ。だが胴と頭がちょっと離れた距離にある。ええ切られておりますよ。

 しかも目の前で切られましたよ。草木をかき分け、切り払いやっとの思いでたどり着いた時にちょうど切られましたよ。ちょっとトラウマになりそうだ。

 どうしてくれんだよ。なんか騎士っぽい人達よ。

 獣人のお姫様らしき人の首をはねた騎士らしき奴等は狼狽えている。

 当たり前か、どんな背景であれ殺害現場を目撃されれば動揺するだろう。


 「全裸だ」「なぜ全裸なんだ」


 違った。全裸のせいだった。誰だって茂みから全裸が出てくれば驚く。

 というか小声で話し合い始めたよ。当たり前だけどなんとなく傷つくな。

 さてどうすべきか、獣人の女がお姫様だなんて俺の予想だ。実際はお姫様ような変装をした罪人かもしれないし、彼らもやらざる負えない状況にあるのかもしれない。

 とりあえず彼らと話せば良いか。


 「えーと、こんにちはー。どういう状況かいまいち把握できないのですが、盗賊に身ぐるみを剥がされてしまいまして、洋服か何か恵んでいただけないでしょうか?」

 

 そう言いながら前に出る。

 二年ぶりにまともに喋ったが、けっこう喋れてよかった。

 だけどこのセリフは完全に変な奴だと思う。

 騎士達は話し合いを止め、一人背の高い男が俺と同様に歩み寄ってくる。


 次の瞬間、響く金属音。

 いきなり背の高い男がサイドステップを踏んだかと思うと、背の高い男の後ろに隠れていた少し小柄な男が上段から切りつけて来た。

 完全なる不意打ち。俺は呆気にとられ、反応しきれなかった。そう思ったが、体が勝手に動いた。二年の戦闘の記憶を体は覚えていた。

 片手にある長剣で弾く。片手で扱うには少し重い。

 小柄な男は不意打ちを止められた事に警戒したのか、バックステップで距離をとる。その隙に剣を抜いた横の背の高い男が刺突を繰り出す。 

 俺はすぐさま両手持ちに切り替え、1歩踏み込み横に凪ぐ。バックステップの最中で空中にいる小柄な男の体を腰から二つに、背の高い男の刺突は届く前に腕ごと脇腹から両断する。

 二人の体が四つの肉塊になった。

 

 体が動く。明確な殺意が無くても、深く考えなくてもどう動けば相手が死ぬかがわかる。騎士達の残りは三人。尤も待機しているであろう奴等の仲間もいるだろうが。

 三人が構える。


 「待った!」


 女の声だ。

 声の持ち主は三人の後ろの茂みから出てきた。兜は被っておらず、目だけ空いている仮面をつけていた。

 仮面の女が口を開く


 「お前らには荷が重い。下がっていろ」


 どうやら騎士どもの上司なのだろう。そしてその言葉はフラグな気がする。

 

 「あの、隊長」


 「なんだ?今話さなければならない事なのか?」


 煩わしそうに答える


 「仮面…」


 「あ!」


 「…」


 「大丈夫だ。心配ない。あいつを仕留めれば何の問題も無いんだ。そうしたら私がここにいた証拠は無くなる」


 仮面は身元がバレるのを防ぐ為の物なのだろうか。体格、髪色、性別、声色、口調、隊長格とかか、判断するには十分な材料になりうるか。

 そして俺を殺して証拠隠滅ということか?

 そもそもなぜ隠すんだ?身分か?仕事の為か?

 まぁいい。何にしても


 「お粗末な話だな」


 仮面の女にはこの言葉が癇に障ったのだろう。


 「いい度胸だな。今すぐに死ね」


 仮面の女が鞘から剣を抜く。長剣よりも少し短く、厚みのある刀身、ブロードソードだ。

 俺よりリーチは短いが、重さの分威力がある。


 相手が切りかかってくる。中々速い。

 だが対応できる範囲だ。相手に剣を合わせ、弾く。

 仮面の女が大きく仰け反る。

 小柄な男を殺した様に一歩踏み出し、また横凪ぎの一閃を放つ。

 仮面の女は小柄な男とは異なり、すぐさま剣を横で構えガードの体勢に入った

 隊長は名ばかりではないらしい。さっきの男どもよりは有能そうだ。

 だが吹き飛んだ。

 剣を力任せに叩きつけ吹き飛ばしたのだ。

 仮面の女のブロードソードは中々の業物らしく折れることは無く、剣の直撃は避けたが勢いは殺せずに木の幹に衝突した。

 それから動くかなくなった。気絶したのだろうか。それとも打ち所が悪く死んだのだろうか。


 薄々感じてはいたが腕力が異常に強い。

 この黒い長剣は馬鹿みたいになまくらだ。もはや薄い鈍器のような物だ。そんな物で固定もしていない人体を断ち切るなんて普通はできると思わない。俺もできないと思ってたからとても驚いている。

 ステータスの《豪腕》の影響なのだろう。記憶を探っても豪腕を得てから、敵を力で圧倒するとこが増えていた。


 「隊長」「隊長が」

 

 残りの騎士どもが動揺している間に3人を切りつけた。敵を目の前にしてそんなにそんなに注意が散漫になるとは。仮面の女はよほど信頼されているのだろうか。

 さらに仮面の女が来た方向に走る。待機しているであろう残りを殺すためだ。

 途中身なりの良い服装の獣人の女の死体が二人ほどいた。あの獣人の女の関係者なのだろうか。

 茂みを抜け、あまり綺麗に舗装されてるとは言えない山道に出た。騎士風の男が二人、馬車の周りにいる。

 全裸の登場に呆然としている間に仕留める。

 思ったよりも素早く終わった良かった。

 見つかっては困るので死体を引きずって茂みの奥入って行くき、元の場所へ戻った。


 二年も経っているのだから当たり前だが、自分の体が自分の物とは思えない。

 そのうち慣れて、自分の力だと自覚するのだろうが、その時俺は今の、二年前のままの俺と同じなのだろうか。

 いや、きっと変わってしまう気がする。

 変わるとこは悪い事じゃない。むしろ変わって行くべきなのだと思う。だがこの方向は良い方向だと思えないのだ。力に溺れ身を滅ぼす気がしてならない。


 とりあえず今は目の前の事を処理しよう。

 そして女は気絶しているだけだった。どうしてくれようか。グヘヘヘヘ

 冗談は置いといて死体を処理しなければ。



\(^o^)/\(^o^)/\(^o^)/


 

 この時アマトは気がついていない。

 全員殺していたと思っていた騎士を一人だけ取りこぼしていたことを。

 その取りこぼした一人がこれから起こる波乱の引き金となる事を

 


 

 

 

 


 

 








 


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