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翌日、俺らの住む町から街に行く電車の中、俺と宮部さんは二人座って話をしていた。
「見てください」
宮部さんは罫線入りのポピュラーなノートを広げて俺に見せた。
「なにこれ?」
「見ての通り、リストです」
一番上に主題。「青春を取り戻せ!死んでからしたい五つのこと」。よく見ると五つの下に二重線を掛けられた十の文字が。きっと映画とかの影響で死んでからしたい十のことと銘打ったはいいが十個も思いつかなかったのだろう。
その下に五個の項目。内容はこんな感じだ。
● 部活する
● 誰かと夏祭りに行く
● デートする
● 友達んちに行って遊ぶ
● 遊園地に行く
「これを全部やれば君は消えるの?」
「ええ、おそらく」
彼女の望みが叶うのだから達成されたそのとき俺は彼女に祝福を送らなきゃいけない。でも、それがなぜかささくれみたいにチクリと痛んだ。
「早速ですが、これしたいです」
彼女は五個ある項目から一つを選んで指差した。
「部活?」
「はい。部活です」
いきなりの難題。幽霊部員なんて言葉はあっても、幽霊はどの部の部員にもなれないのだ。しかしながら頭ごなしに無理と言っては彼女を成仏させることはできない。ので、とりあえず俺は宮部さんの望みを聞くことにした。
「とりあえずどんなことしたい?」
彼女はうーん、としばらく唸ってから「野球ですかね」と答えた。
「無理」
即答だった。
「そうですか……」
宮部さんは俯き、床を見ながら言う。
「てか、どうするの?誰も宮部さんのこと見えてないんでしょ」
「ええ。そこが問題なんですよね……」
二人で下を向いて考え込む。
部活。誰かと関わることは絶対なのだ。いや、関わらない部も……
「文芸部は?」
「嫌です。だって地味じゃないですか」
「わがままだな……」
「せめて霊感の強い人でもいればいいんですけどねー」
と彼女の一言に瞬間頭に違和感が引っ掛かる。
……霊感の強い人?
そうだ!
俺は膝を打って立ち上がる。
「部活見学に行こう」
宮部さんの頓狂な顔を見つめ、俺は小さく笑った。
この作品にもポイントが!やった!
中の人の都合上ちょっと更新が遅れたりすると思いますがよろしくです。
まぁ、更新日なんて決めてないんで遅れるも何もないんですよねw