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幽霊少女と俺  作者: 準々
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 今日は国民的アニメを見て絶望する日。つまり日曜日だ。

 午前八時五十二分。ようやく目が覚めて欠伸を一つ。

 俺、安達良介とは日曜日の朝から早起きをして体操をするような活発かつ規則正しい人間ではないのだ。

 リビングに行くとそこにはただただ静寂が広がっているだけだった。どうやら母さんはもう仕事に出たらしい。

 日曜日なのに仕事?なんて思う人はよくいそうなものだが仕事である。その理由は彼女がシングルマザーであることと関係する。

 彼女は俺を育てるため、女で一つで生計を立てるため、ほぼ年中無休で働いてくれている。母子手当てなんていうのもあるらしいが本当に微々たる物で、必死に頑張っくれてる母さんに俺は頭が上がらない。

 テレビの電源を入れると静寂は一気に吹き飛ぶ。

 「――うわぁ、おいしそうですね。」

 若手のアナウンサーが大げさなリアクションで海鮮丼を褒め称える。

 マニュアルでもあるのかと疑うぐらい聞きなれた台詞。海鮮の魚の切り身がアップで映し出され、

 「このぷりぷりとした感じがたまりませんね」

 これまた定型文的台詞。

 「じゃあ、いただきます」

 彼女はおいしそうに咀嚼する。これも演技か?

 でも確かにこりゃあうまそうだ。

 と、腹の虫が鳴く。あぁ、飯を食おう。

 「うん、マグロの甘みが口いっぱいに広がって――」

 マグロに甘みなんてないだろ。

 そんなツッコミを入れつつ慣れた手つきでご飯の準備を始める。

 パンをトースターにかけ、水を入れた鍋を火に掛ける。棚から出したマグカップには茶渋のようなシミがついているが、気にせずインスタントコーヒーをスプーンで三杯掬い入れそこに沸騰したお湯を注いだ。いい香り。

 後はトーストされたパンにマーガリンとジャムを塗って俺の朝食の完成である。きっとこんなもんばっか食ってたら早死にするんだろうな。

 いただきます。

 気がつけばテレビの内容は食レポから天気予報になっていた。

 自分の住む地域の情報だけはしっかり入れておかねば。

 曇りのち雨。降水確率七十パーセント。傘は必須。

 そんなことを頭の中のメモ帳に走り書くと、さっさと食パンを頬張って、それらをコーヒーで流し込む。

 ごちそうさま。

 我ながら素っ気無すぎる食事を済ませて流し台へ。

 別にあせっているわけじゃないが機敏にせかせかと体は動く。

 なにせ今日は俺の大好きなライトノベルの新刊が出る日なのだ。

 『どうしても俺の青春は間違ってる』。この作品は捻くれ者の主人公がサディスティックな少女と陽気で活発的な少女と共にさまざまな人間の相談に乗り解決していくといった話だ。特に面白いのは主人公の独特な考え方。実にひん曲がっているがそれは間違いではなく、いつも作者の頭の良さに驚かされる。それからヒロインの……

 あ、たぶんこれ以上語ると平気で日が暮れるな。

 話を戻そう。

 とにかく今日はそれを買うのだ。

 さっさと着替えまで済ませて玄関前。傘も忘れず持っていこう。

 俺は鈍色の空のもと街へと繰り出していった。

完結目指してがんばります。

あ、あと、俺ガイル面白いですよね。

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