試練5 気分屋支店長
よろしければ評価をお願い致します。
以下3つはサービス業の人間が逆らえないベスト…いやワースト……いやいや最凶3である。
第3位お客様
まことにやっかいすぎる。たまに日本語通じてないかと心配になるお客様が若干。
(実はサービス業界に入るまではお客様が最強だと思っていた。)
第2位上司
上司に嫌われる位ならお客様なんて相手にしてられない的な強さを誇る。態度だけでは事足りないらしく腹まで出しすぎている。たまに妊娠説が流れるがただの脂の塊にしか見えない。
第1位奥さん
ちなみにただの奥さんではない。浮気がバレた後の般若顔
それはどんな核兵器より威力があり最強でいて最凶である。
あんなものを見せられた日には普段部下にガミガミ言って偉そうにふんぞり返っている上司もゴキブリホイホイにかかったただのフンコロガシである。
で、今日は第二位の上司について書こうと思う。
つい最近の話。
うちの店は店内に出るとすぐ紳士服売り場がある。
通りすがりに紳士服売り場を横目でチラリと見ると、
なんだありゃ!!!?
販売員がみんなそろって手を後ろで組んでいる。
それはもう、接客をしてる奴からお客様を試着室の前で待ってる奴、品揃えをチェックしてる奴もである。
とにかく意地になって組んでいる感じだ。
うちの店はいつから軍隊になったんだ?
ってここは韓国かよ!
どうした!
なにがあった!
紳士服売り場!
気分は時代劇で敵に斬られあと少しで死にそうになってる脇役を揺する松●健である。
と、なるとこの回の最後はぜひ
『成敗!!』
で締めたい。
で後でチーフに聞いてみると。
「はぁ、支店長指示なんです。『なんで手を前で組んでいるんだ!普通後ろだろ!後ろ!!』ですって」
なんだそりゃ…
や、普通におかしいし!手は普通に前だろ!誰がつっこめよ!
「いいよ。前で組んで」
といえば
「や、でも支店長指示ですし」
なんて日本のサラリーマンの模範解答が返ってくる。
ったく奴の仕業かぁ!!たまひよ(たまごクラブひよこクラブの略)支店長!
直談判しにのっしのっしと支店長室に続く道を歩いていると
ブーーッブーーッブーーッブーーッ
携帯のバイブである。
どこに居ようと呼び出しをかける悪くいえば首輪。良く言えば…手錠?
「はい、芦●です」
『本部接客部の●崎さんが入られました』
受付嬢が可愛く告げてくれる。
だぁーー――――――!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
くそっ!
とりあえず本部の奴を相手にしなきゃ。
この件は後まわしだ。
来た接客部●崎さんは意外や意外。28歳から30歳位の小柄な可愛いめ女の子だった。互いに挨拶をして店内を案内する。
既に従業員には接客部の人間がくることを知らせてあるからみんないつもよりシャンとしてる。
売り場を練り歩き、次は紳士服売り場
ってぇぇぇ!!!!!!!!!!?
こらーーーーっっ!!!!!!
接客部が来るって言っただろ!!
手!手は前!にしてくれーー!!
頼む――――!!
●崎さんを見ると何事もなかったようにレイアウトの説明を求めてきた。
ほっ。
気付いてないらしい。
セーーフ。
最後にインテリアを見て店内は引き上げた。
いつもよりお客様が少なく普段はそのことを気にするが今日はそんな場合じゃない。
紳士服の件を気付かれなくてほっと一息。
冷や汗で背中はびっしょり。
●崎さんが帰ったら着替えようと密かに思った時
「芦●さん」
と●崎さんからお声が。
はいはーい。
なにかなぁ〜既に今日は無事やり過ごせた(気分)から何でも聞いちゃうよ〜
とばかりに愛想よく
「はい〜」
と返事を。
「お店の雰囲気とても良かったです。」
そうだろ〜♪
「皆さん接客時の言葉遣い、商品知識も良くって」
ふっ。
もっと褒めていいとも!むしろ賞賛してくれ!
「ありがとうございます。ですがまだ改善点が沢山あります。お客様に満足して頂けるようもっと努力していかないといけません…。」
夢にも思わない日本人の謙遜文句を並べれば
「ただ一つだけ気になったんですが…
何でも言え♪
既に気分は風俗から帰ってきた直後の清々しい気分である。
「紳士服売り場は手を後ろに組んでいましたよね?あれはどういった方針なんですか?」
ジャジャジャジャーン!!!! Byベートーベン運命
ジャ・ジャ・ジャ・ジャーン………………………………………………………。
「あ―、れは……支店長の方針でして…はい、」
目を白黒させつつ言い訳(?)すると
「ですが接客は芦●さんが教育されてるんですよね?でしたらキチンと売り場をいつも見ていないと。支店長に任せっきりにしないで責任は果たして下さらないと」
小、小娘ぇぇ〜
さっきまでの気分はどこへやら…ここまで言われると塩をかけられたナメクジだ。
梅雨時の天気のような心をひっぱたきつつ適当に
「あ〜ども。すみまそん」
とかいいつつ。。
●崎さんを玄関まで追っ払い…もとい見送りのっしのっしと真っ直ぐ支店長室に向かう。
ゴンゴンゴン(間違ってもコンコンなんて可愛い音なんて出さねえ)
「失礼します」
『うん。入れ。』
入れ!じゃねーよ!!
トンネルをくぐるとそこは鶏小屋でした
なんてことはありません
おもむろに用件を言わないと。
「紳士服の件なんですが。」
「うん。何?」
『人の話を聞くときは顔くらいあげろ!このハゲ!!大体1ヶ月に一回は美容院♪だぁ?てめー切る髪なんて生えてないじゃねーか!!いいとしこいて悪趣味な真オレンジなんて着やがって!!おめーのせいでオレが怒られたんだよ!このヤロー!!!!!!!!』
と言ってやりたいのを抑えつけ冷静に言葉を組み立てる。
「紳士服のお客様を待ってる時の手なんですがどうやら後ろに組んでいるんですよ。で、支店長が後ろで組むようにとおっしゃったようですが…」「なにそれ?」
うわ!
すっとぼけやがったよ!
「後ろで手を組むように売り場が言われたそうなんですが。」
「誰だ、そんなことを言ったのは。」
おめーだよ!
「そんなこと言ったけなぁ〜??」
「とりあえず手は前で統一していいですよねぇ。」
「うん。それが普通でしょう」
Σ( ̄□ ̄;!!
普通の道を自ら犯した本人が言ってりゃ世話ないぜ…。
「じゃあ今後はそうやっていくので」
一礼して支店長室を後にする。
携帯を取り出し紳士服のチーフに電話をかける。
「あ、もしもし芦●ですけど。支店長と話したらね『そんなこと言ったけなぁ』って。だから今まで通り手は後ろで組んでください。」
『あー。あの日支店長不機嫌でしたから思い付きできっと言ったんでしょうね。あっはっはっ。』
違いない!
あっはっはっ♪ってはぁ。
気付いてたなら真に受けるなよ〜
これにて一件落着………………?
ちなみに読者の皆様は何を手の位置くらいでくだらない…と思われるかもしれませんが……
実は立ってる時の姿勢から笑い方にいたるまで教育されてデパート店員は売り場にいるのです。
そんな一生懸命な姿を見たらちょびっといたわってください(笑)
『成敗!!』
言いたかったけどどっちかっていうと成敗された…ぐはっ!!
って感じでしたよ。
今回は……………。