試練10 寄生虫は食料です♪
間があいてすみません。私事で申し訳ありませんがこれに出てくるおっとりちゃんとこのたびお付き合いすることに。
他の話として書かせて頂く予定です。
静かな最近。
お正月準備でお金が無くなったちょうど今が平和な時期だ。
ヒラヒラ蝶でも飛びそうな日々を切り裂いたのは…………………………。もちろん、お客様だ。
「ふっっざけんじゃねぇ!!責任者呼んでこい!!!!!!!!!」
食品フロアを歩いていると雄叫び(マジでそれしか例えようがない)が耳をつんざく。
なんだなんだと近づいてみれば、鮮魚のところでお客様が吼えていてその前には従業員が数人でオロオロしている。
すでに人だかりが出来始めた。
げぇ―。見ちゃいけねぇ…。関わるの止めよう。逃げるが勝ちだろー♪と少し離れた場所からさらに離れようと背を向けたその時…!!
「あ!副支店長!!」
………………………………………………………。オレ副支店長…じゃなかったよな、うん。
そうだ。
数年前までは確かに違かった。
ってかオレ耳悪いからさ〜。
うん。間違いない!
そう決心した瞬間、バタバタと足音が聞こえ腕を掴まれた。。
「副支店長!!!」
…あぁ、オレの平和な正月(遅っ!)SA・YO・NA・RA!!!
明後日をさ迷った視線を腕を掴んだおばちゃんに戻し即座に驚いた表情を作る。
「わぁ、ビックリした―!!どうかしましたか?」
何にビックリしたって自分の変わり身の早さだよ
そんなことはつゆ知らず
「大変なんです!魚が虫が付いてお客様が怒りだして…」
なんだかテンパっててよく分からん。おばちゃんに引きずられて騒動の真っ只中へ。
お客様の顔は既に仁王顔でオデコからは血管が。
Σ!!怖ぇ――。
誰か助けてくれぇぇえ。 で、結局なんなんだ!?サッサとこの騒動を片付けて再び平和な正月ウエルカム!!
「あんたが責任者か!?」
不本意ながら当たりです
「はい。わたくし芦●と申しますがなにかございましたでしょうか。」
「あんたこれ見てみな。」
指を指された先を見ると一匹の魚。
これがどうした。
!?
表面になにか白いのがうねうねしてる…
〇#▲◇■!!!!!!?
なんだこりゃ!?
表面には糸ミミズの小さい版みたいのが這っている。かなり気味が悪い。
隣にいた鮮魚の担当者に聞いてみる。
「これなに!?」
彼女はケロッと答える。
「寄生虫です。」
オイ!
“寄生虫です”じゃないだろ!んなもん見りゃあわかるわ!!
慌ててお客様を見ると怒りでプルプルしてらっしゃる。オレの膝もプルプルしてるよお客様。恐怖で。
「この魚全部下げて。」
後ろに指示を出すと
「下げなくていいよ!食えるんだろ!!えぇ!?店員さんよ―!?」
お客様から声が飛ぶ。
はぁ?なんの話だよ!?お客様はオレを通りこしてさっきあっさり“寄生虫です”と答えた後ろの彼女を見ているご様子。慌てて彼女を振り返る。
あの―、さっきから振り返ったりお客様を見たり首が痛いんですけど。
決めた!生まれ変わったらアラレちゃんになる♪ってそんなこと考えてる場合じゃないよ、オレ!
「はい。焼けば問題なく召し上がって頂けます。」
Σ!!NO―――――――!!何を言いだすんだ!!!!
この気味の悪いのを食えと仰る!?うっそぉん―。オレは嫌だ!!断じて嫌だ!!!!
ひぃぃい〜怖くてお客様の顔見れないよ〜
このヤロー!後で覚えてやがれ!!ちきしょー。
我に返って慌ててお客様に頭を下げる。
「も、申し訳ありません!!お客様!直ぐにこちらの商品下げさせて頂きますので!!」
相手の靴が見える位頭を下げてそのままお詫びをする。
暫く頭を下げたままのオレを見て
「そんなんで納得するか!こいつが言い切ったんだ!!こいつの始末もつけろ!!」
「勿論でございます。」
彼女に店内から出てくように目配せする。
店外に出て行ったのを確認すると
「お客様もこちらへどうぞ」
店外にある応接室にご案内する。
店内はある程度人だかりが出来てしまっていてこのままではまずい。
「皆様、ご迷惑をお掛けし申し訳ありませんでした。只今よりお魚類を2割引させて頂きます。ご利用下さいませ」
鮮魚に指示をしてオレも店外の応接室に急いで行く。
後で始末書書かなきゃ…ショボン。。
息切れた〜年なんだから走らせないでくれ…。
はぁ。
一呼吸し応接室に入って行く。
「お待たせしまして申し訳ありませんでした。」
と、意外な反応が。
「いいよ、あんたも忙しいだら。皆の前で怒鳴って悪かったな」
……あんなに怒ってたのにどうしたんだ?
「ったくあんたが悪くない事は知ってる。いい従業員も多いしな。ありゃ人間性の問題だろう。だがな、おたくみたいなデパートがあんな従業員置いちゃあいけないよ」
どうやら常識のあるお客様らしい。
「申し訳ありませんでした。」
ふぅ、と一息ついたお客様はそれから20分程オレと話しをし、用意したお詫びの品を辞退して帰られた。
へ、ヘビーだった。
ヘビーすぎてオレの髪はベビーになるところだ。…オレの髪にはストレスが一番良くないのにぃ!!
お客様が帰られた後一人で応接室で悶々としてたらおっとりちゃんがそっと入ってきた。
「大丈夫でしたか?」
振り向かず(首をさっき振りすぎて痛いんだなぁ〜)苦笑いを浮かべて
「なんとか」
と相槌をうつ。
「お客様あまり怒って無かったでしょう。」
なんで知ってるんだとおっとりちゃんを見ると
「東北なまりが入ってたから青森ですか?ってきいたら喜んじゃって♪」
!!そうゆうことか。全然気づかなかった…。
さすがおっとりちゃん。
「二十代なのにしっかりしてるねぇ、助かったよ〜やっぱり年の項なの?」
ちゃかしていうと
「もう!この前助けてもらったから助け返したのに!」
怒って行ってしまった。
なる程ね、
いい従業員と悪い従業員、ねぇ。
余談だが鮮魚のおばちゃんはこのあとしこたま説教をしたが逆ギレされて帰られてしまった。
トホホ…。女性を怒るのは難しい……………。
そして女性は強い!
なぜならば寄生虫を焼いて食べてしまうのだから。
おぉ怖っ!!
今回でわたくしの役職がバレますがもし気が付いても上司にチクらないでください(苦笑)