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第六話 笑顔が素敵な案内嬢


ギルド本部の執務室。朝の喧騒が一段落した頃、七瀬あずみは報告書の整理に取りかかっていた。元Aランク探索者として培った観察力と判断力は、案内嬢としての仕事に大いに役立っている。


「魔物、内部崩壊……?」


あずみは眉をひそめ、昨日の深層任務報告書に目を通す。パーティー蒼輪の盟約の報告には、不可解な現象が記録されていた。魔物が突然消失し、崩れかけた通路も瞬時に修復された形跡があったのだ。


「来生さん、何か隠してます?」


あずみは声をかける。笑顔を浮かべつつも、眼光は鋭く、直感的に異常を察知する。彼女は探偵のように物事を見抜く力を持っていた。


雅也は肩をすくめる。

「気のせいだよ」


あずみは小さく笑った。笑顔は、見ている者に安心感を与えるだけでなく、時折疑念を和らげる効果もある。


「嘘つきですね。でも、嫌いじゃないです」


その声には軽い冗談めいた響きがあったが、雅也は内心で少し感心した。あずみの笑顔は、単なる愛想ではなく、人を観察し、心理を和らげるための武器でもある。


雅也は深く息をつく。

「……いや、別に隠してるわけじゃない。ただ、面倒ごとには関わりたくないだけだ」


あずみはにっこりと頷いた。

「それも正しい判断です。でも、あなたの力を隠す理由もわかります。無理に公にする必要はないですものね」


雅也は微かに頷く。

この少女は単なる案内嬢ではない。人を見抜き、必要な時には手を差し伸べる――まさにギルドにとって欠かせない存在だ。


「あの……今日も回収任務ですか?」


あずみの質問に、雅也は小さく笑った。

「まあ、予定通りだ」


「なら、気をつけてくださいね。深層はまだ不安定ですから」


その言葉に、雅也は感謝の微笑を返す。短い会話だが、信頼がそこには確かに存在していた。


あずみの笑顔があるだけで、回収員としての一日の緊張が少しだけ和らぐ。ギルドの喧騒や、ダンジョンの危険が現実として迫る中で、彼女の存在は雅也にとって心強い支えになっていた。


ロビーを抜けると、地下への入口が見える。雅也は深呼吸をひとつし、静かに任務の準備を整える。


この日も、笑顔が素敵な案内嬢が見守る中、回収員としての一日は始まった。

だが、まだこの先には、想像以上の困難が待ち受けていることを、雅也は知る由もなかった。




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