表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/12

第五話 蒼輪の盟約


大阪湾に面した人工島、夢洲。地下深く広がるダンジョンの中で、Aランクパーティー「蒼輪の盟約」は、今まさに深層攻略の最中だった。


リーダーの朝霧直哉は、鋭い眼光で周囲を見渡す。二十五歳に満たないが、剣士としての実力は折り紙付きだ。重戦士の岩永剛毅、斥候の葉山一真、回復術師の久遠寺澄花、水属性魔法使いの篠宮雫音――個性豊かなメンバーが、直哉の指揮のもとで連携していた。


「左側の通路、注意。魔力反応が強い」


直哉の指示に、葉山が静かに頷く。斥候の敏捷性を生かし、先行偵察に向かう。だが、予想外の出来事がすぐに訪れた。


突然、岩永が背後から飛来した魔物に押し倒される。重戦士が吹き飛ばされる光景は、ほかのメンバーに大きな衝撃を与えた。


「剛毅!」


久遠寺は即座に回復魔法を放つ。しかし、魔力はすでに限界に近く、完全な回復は間に合わなかった。雫音も水魔法で援護するが、状況は思った以上に厳しい。


その瞬間、ダンジョンの影から、何者かの力が介入した。魔物は一閃で消え、空間の歪みが一瞬で修復される。


「……これ、回収案件になったら面倒だな」


現場に居合わせた来生雅也は、ため息をついた。回収員として、この規模の異常は通常なら一晩かかる案件だ。しかし、彼の目には原因の片鱗が見えていた。


パーティーの面々は状況を理解できず、ただ呆然と立ち尽くす。直哉の剣先がわずかに揺れる。


「何……今の?」


岩永が苦笑を浮かべながら立ち上がる。葉山も斥候としての勘で周囲を見渡すが、異常の痕跡は消えている。


雅也は静かに現場を整理しながら、内心で自分に言い聞かせる。

――隠し続ける力を、少しだけ使うしかない。


深層の闇は、一瞬にして平穏を取り戻した。

蒼輪の盟約のメンバーは、未だに何が起きたのか理解できていない。しかし、雅也の胸中には、予期せぬ力の介入と、それに伴う責任の重さが刻まれていた。


回収員として、そしてかつて異世界で勇者として戦った者として、雅也の一日は静かに、しかし着実に進んでいく。

パーティーたちは無言のまま、次の階層へ向かう準備を始める。

だが、深層に潜む異変は、まだ終わったわけではなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ