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高良フェノミナン2nd  作者: カラー
第7章:

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82/82

初回の攻撃はまだ続く

力強く舞い上がる飛球。

それは…。

試合はまだ始まったばかりだと言うのに、まるで万感の思いを魂に込めたかのごとく滞空時間が長いものだった。


主人公の長い一生を追いかける大河小説を読んだ後のような余韻を残し、ボールはスタンドを越え場外へと消えていった。


俺は何を今見たのだろう…。

どでかい場外ホームランなと早々ないだろうが、それにしても。


「なんで泣いてんだよ、田所」

光太郎がベースを回っている間に俺たちのベンチ内でおかしな光景が繰り広げられていた。

涙を流すキャッチャー。

そしてそれに突っ込むキャプテン。


瞬間的に俺は田所が芸術家肌の、あるいは感動を動機にするタイプの人間だと理解して(偉そうならすまないが)、重要な試合のあとあいつが旅に出る理由が理解できるような気がした。明確に説明はできないにしても。


「元さんも結菜と一緒に観戦に来てるの」

千種が淡々と教えてくれた。

そっか。

全日本クラスの光太郎の姉、美樹は遠征に出ているはずだ。そして同じレベルのはずの橋本結菜は…。

自らの進路を限定して、望む大会にしか出場しないことを公表していた。


どうやら今日は光太郎の日になるべく定められているようだ。


・・・

6番は後藤。左打ちの後藤は少しでも光太郎を休ませるかのごとく粘った。五明並みのスピードの相手エースに対してファウルで対抗する。

「分かってんな、あいつ」

大前監督は初回だと言うのにリラックスした姿勢からそんなことを呟いていた。


結果、四球。

次は菅だ。今日の打線の中では明らかに非力に映っているだろう。

ただし。

まだ無死で5点差がついている。相手が感じている重圧感は試合前よりよほど重くなっているはずだ。菅の打席に関しても神経質なほど警戒してボールが先行している。


光太郎はベンチを出て児島訓とキャッチボールを始めた。

どうやら息は整いつつあるらしい。

それを確認したのか5球目に後藤はスチールを選択した。ベンチからはノーサイン。

菅は分かっているかのごとく空振り。

手助けしなくともセーフのタイミングだっただろうか。

それでもフルカウントまで菅は我慢をした。


そして空振りの三振をしたのだが、後藤は再度積極的に動き3塁を陥れていた。

今度は明らかに手助けとなるスイングだった。


「いいぞ、菅」

五明が菅とグータッチを交わす。五明は心からそう思っているようで、なんの悪びれもない。菅も自分の行ったことを理解しているような五明に誇らしげにグーを差し出すのだった。


なるほど、美也子はそういうのがいいのか…。

「何を理解してるか知らないけど集中しなさい」

横で嫁が口を挟む。


我が校の誇る宝くじ2枚…山形、田所の最初の1枚山形が打席に入った時にベンチに黄田が現れた。どうやら早めに間に合ったようだ。


なんか、少し怒り顔なんだけど…どうした?


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