3選手欠場
「思い残すことはない」
男山形辞世の句か?
晴れ晴れとした顔で翌日山形は現れた。
横にはちゃっかりマロさん。
で、今さらどうしたのよ?
「付き合ってもいいって」
山形…おまえもか。
「おまえもかって…あたしがいるでしょ」
誰?
「あー、そういうこと言うんだ」
山形よりマロさんが幸せそうな笑みを浮かべる。
千種もまた永すぎた二人を静かに見つめていた。
どいつもこいつも幸せになりやがって。
「あたしじゃ不満なの?」
・・・
準決勝は明日、勝てば明後日決勝。
なんだか忙しく過ぎていくうちにここまで来てしまった気がする。
今年はなんとも微妙な日が続く。暑かったり涼しかったり。
キイロバナも発育が遅いらしい。
そしてそれはロゼ太郎やブート、黄田にも及び…。
「2試合欠場?」
沢村からの言葉に思わず目を丸くする俺。
「なんかいきなりキイロバナの出荷が始まるらしい。こんな急なこと今までになかったとさ」
あー家業の手伝いか。
甲子園より家業とは…俺たちらしいと言えばそうなのだろう。
やつらにはこの予選でずいぶん助けられたからな。ダメなんて口が裂けても言えないはずだ。
「それでも正味な話クリーンナップと一番が不在になるのは痛いな」
戦力ダウンどころじゃないよな。
「幸平、2試合いけるか?」
リハビリ主治医の監督からは一応OKはもらってるけどさ…。おまえも分かってる通り実戦からまるまる数ヶ月経過してるから、正直やってみないと分からん。
「打つ方は五明、光太郎、市川といるし、走るのは後藤とおまえでいいだろ」
投げるのはどうするんだ?
「市川と一条、光太郎で2試合…足りないか?」
若干不安ではあるな。
「あ…川上ってのがいたか」
沢村…ひとまず同級生だろ。さすがに忘れるなよ。
遠くで同級生と話している川上を呼ぶ。
「川上〜!」
ん?とノコノコやってくる川上。
「何?」
「明日完投してくれ」
「えっ!?」
いきなりの指令。
「また急だね」
「なんかピッチャーが足りない気がする」
「どうせ僕なんかベンチの肥やしだから…」
ほとんど出番なかったからな。
「分かった、特別に決勝も少し投げろ」
「そんな…明日勝てるかも分からないのに」
そうボヤいて川上は友達の方に戻っていこうとする。
…ふと嫌な予感がして川上に俺は声をかける。
「ちなみに…今何の話題?」
「早名くんが三月までに室賀さんに何回しばかれるか昼飯賭けているんだ」
…なにやってんだよ。
「早名くんも参加する?今一番人気はあと50回だよ」
ほぼ三日に一回じゃねーか。
「川上、一番人気ないのは?」
「あと150回かな…」
ほぼ毎日か。よしそれで。
「さすがにそんなには…いくら室賀さんでも無理でしょ?」
後で千種にばれてとんでもなく怒られた。川上に一回プラスしとけと頼んだら、見てないからノーカンなんだってさ。
夏休みとか正月でカウントできない時もあるのにあと…149回か。




