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高良フェノミナン2nd  作者: カラー
第6章:戸惑いの季節

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パワープレイ

 結果が分からないまま俺と千種は自分たちの教室へ戻る。

 とにもかくにも千種になりゆきを尋ねずにはいられない。野次馬上等だ。


「屈伏」

 恋の行方とは似ても似つかない単語が聞こえてきた。屈伏?

「外堀どころか全部堀を埋めちゃったの」

 なんとなく逃げ道をすべて塞いだというイメージが浮かぶ。

 詳しく聞くタイミングはまた放課後か夜になるんだろうが、攻め一辺倒の上に短時間で(俺が姉さんと話しているわずかな時間)で認めさせたってこと?

「そう」

 五明が埋められた図が浮かぶ。

 恋の駆け引きはあるかもしれないが、まるで命のやり取りをするような…。


「出会うタイミングが違えばあたしだって…」

 独り言は聞こえなかったことにしよう。


 ・・・

 ミコさん、トヨさん姉妹特有の性格ゆえか、あるいは美也子本人の特性なのか。珍しく昼寝をしないで授業を過ごした。

 結局授業を聞いていないのには変わりがないのだけど。


 俺は野球部、千種はプールへと放課後に行き、顛末を千種から聞いたのは結局夜だった。

 疲れているだろうに千種は夕飯をちゃちゃっと用意してくれて、今日もありがたいことだ。

 風呂掃除、洗い物なんかは俺がすませ、いざ物語を聞かんと欲す。

「漢文の授業真面目に聞いてたのね」

 BGMに最適なんだ。


「100%無理」

 千種の解説が始まる。

 無理って付き合うことだよな?

「五明くんが想定してるわけないじゃない?」

 そりゃそうだ。

「後はごり押し」

 え、パワープレイ?

「もう国民的アイドルスポーツキャラなのよ、美也子ちゃん」

 そうしなきゃならない理由があったからな。

「幸平なら?」

 千種が国民的アイドル…。


 物語つくらなきゃな。上手くいっても、例え失敗しようとも。

「あなたはそういう運命なのだと()()させること」

 五明は確かに…主人公キャラだな。


 てことはだ…結末がどうあれ、一度は付き合わなきゃならないじゃん。

「うん。だからパワープレイ」

 詭弁だろ。

「美也子ちゃんが本気だから、あたしは構わない」

 五明が可哀想じゃないのか?

「生半可な気持ちを伝えてるわけじゃないもの」

 そんなに?

「だからあなたは浮気者なの」

 これ以上は藪蛇になる気がして、俺は黙った。


 明確に美也子が道を間違えたら正す、それを千種に伝えて。


 五明に俺が必要以上に肩入れする気はない。

 きっかけは確かに強引だけど、あの美也子が相手を傷つけるほど愚かだとも思っていなかった。


 ・・・

 だけど…ある意味似た者同士だよな。千種と美也子。

「失礼ね」

 さらに失礼を重ねる千種。


 男にしたら少しも気の抜けない存在じゃん。

「浮気者のくせに」

 そっと黄色いミサンガを撫でる。


「そうやってご機嫌取りするから疑うの」

 口では言いつつも

「髪を切らなきゃ良かったかなあ」

 珍しく後悔めいたことも言う。


 あの覚悟で俺は戻って来れたから。

 本当に感謝している…と伝える。


「このタイミングでそんなこと言われたら…後悔できないじゃない」

 髪が伸びる分、俺たちの物語が進んでいくんだからさ。

「美容院には行くわよ?」

 あ、俺が用意していた冗談なのに。


「もっと愛してよ」

 ストレートな要求。

 正直どうすればいいのか、分からないよ。

 少年漫画のように俺たちの戦いはまだ…。


「始まったばかり、とか言わないでよね。打ち切りは嫌」




まだまだ続きます。

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