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高良フェノミナン2nd  作者: カラー
第6章:戸惑いの季節

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姉からの電話

 千種の名前は最近有名になりつつある。

 以前からその美貌で注目こそされていたものの、その存在感が一般人には圧倒的なものに映るらしい。

 曰く『嫉妬神』。

 なんだそれはと思う人はたぶん正常だ。

 ゼウスの妻ヘラのように…。


「なんかまた失礼なこと考えてる?」

 道すがらそう言い当ててくる。

 それを言ったら神話の登場人物に失礼だろ。

 …千種も神みたいなものか?


 プール近くの死角スペースに俺たちは着いた。

 さて何が…。


「五明くん、ここまで来てもらってごめんなさい。室賀千種です」

 おや、自己紹介か。

 曖昧に頷く五明。

「早名先輩にはお世話になってます。五明寛ですが、何の御用ですか?」


 さて千種はどんな話を…。

 と思ったところで着信。珍しいな。

 誰…って姉さん?

 葉とディスプレイは表示していた。


 この時間にどうしたんだ?

 一週間待ちは当たり前と豪語する姉だ。自分からコンタクトを求めるなんてかなりの急用だろうか。

 美也子にアイコンタクトで携帯をかざし、姉と口真似で告げると、美也子は一瞬嫌そうな顔をしたが(昔から姉と美也子は仲が悪い)、やはりこの時間の着信に何かあると悟って頷いてくれた。


 少し離れた場所で出る。

「子供がいる」

 ん…いきなりの言葉。

 なんだ、それ。

「あなたの子」

 は?意味不明なこと言うなよ。いま取り込み中なんだよ。

「びっくりしないの?」

 するわけないだろ。だから今忙しいんだって…。

「妊娠したんだ、わたし」


 ……。

 なんだか腰の力が抜けるようにへたり込む。

 あー、そうなんだ…。

 情けないことに最初に思ったのは、姉が母になれるんだろうかと言う不安と言うか違和感を覚えたことだった。

 後から思えば肉親ながら失礼極まりない。


 通話中にも関わらず少し黙り込んだ俺に、背後から声。

「どうしたの?」

 え、千種?早いな。早すぎないか?

「姉さんが妊娠したって」

 それを聞いた千種は顔をほころばせ

「今繋がってるんだよね?代わって代わって」

 とはしゃぐように近づいてくる。

 俺が携帯を手渡すと、堰を切ったように千種は姉と話し出した。


 姉の妊娠は後できちんと受け止めることにして、五明たちはどうなったかとさっきまでいた辺りを見ると…。

 刺すような視線で美也子が五明を見つめて何かを喋っている。

 どうしてそんな怖い視線で恋する相手と話すんだよ。内容はここからじゃ分からないけど、普通に悪印象じゃないか?


 二人はしばし見つめ合い、やがて五明が頭を下げた。まるで美也子に謝る五明の図に見えるんだけど、どういう流れ?


 今さらその場に加わることもできず、千種は姉と嬉しそうに話してるし、なんだか俺は疎外感を感じる。


 ややあって…美也子はこちらをチラリと見てからピースサインをした。

 五明は…何かを観念したようにしている。


「はい」

 千種に呼ばれ携帯を返される。

 昼休みの時間が残り少なくなり、おめでとうと祝福の言葉を姉に届けるのが精一杯になった。



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