水泳関係者集合(視聴覚室にて)
さて始業式と選挙を終えて通常ならば、新学期初日はもう予定終了のはずなんだけど…。
玲先生から予定をあけておくように言われていた。おそらく水泳関係のことだろう。
相原コーチのこともある。
となれば…横で機嫌良く携帯を見ている嫁は…。
「そろそろ行く?」
まだ昼飯が…。
「今日おにぎりだけだけど、先?」
あ、食べとくわ。
「プールでいいんだよな?」
明太子とたらこの優先順位に悩みながら確認すると
「ううん、視聴覚室だって」
梅を先に手渡されて、うまそうだとラップをはがしながら
「なんでそんなとこ」
「たくさんいるみたいなんだよね」
梅うめー。
「プールのエントランスに入り切らないのか」
一息に食べて、千種からお茶をもらう。
「無理みたい」
千種もおにぎりを食べ出す。
再び明太子とたらこに悩みだすと、千種は、たらこを手渡す。
「早いとこ行かないとな」
たらこうめー。
「あんたたちね…忙しいのになんで夫婦みたいにお昼食べてるの」
橋本が俺たちを探して呼びに来たようだ。
「いいじゃない。結菜もほら」
あ、千種のやつ明太子、橋本に渡しちゃったよ。
橋本もひとつ食べながら
「腕あげたね、千種」
料理は橋本が千種より一枚も二枚も上手だけど、千種も上手くなったもんだ。
「千種も結菜も呑気に食べてないで…」
ヒメさんが今度は現れた。ほんとに時間が迫っているらしい。
「ヒメも食べる?」
千種…いくつ作ってきたの?
・・・
視聴覚室にはニ、三十人はいるだろうか。
いっぱいいるな…。
おっと相原コーチ、こんにちは。
「いよいよだな幸平。て言うか甲子園…惜しかったな」
実はコーチが引っ越してきてから初めて会う。ちょうど甲子園の時期に引っ越しが重なったため、タイミングが合わなかったのだ。
「おまえやっぱすごいやつだな。ホームランにサイクルヒットだろ。優勝候補相手に」
なんて言うかまあ…一年前と一緒ですよ。
「優勝と、か?」
たまたまが、一番先に来ちゃったんです。
「謙虚なのかリアリストなのか、分かんないなおまえは」
マリー信者であり、コーチの一番弟子ですよ。
「…ありがとうな」
玲先生が入ってきて、ざわめきが静寂にかわる。
やはり、巨星だ。
「入学手続きの案内に記載させていただきましたが…水泳部を希望されたみなさん、まずはご入学おめでとうございます」
そして…いよいよ本題が始まる。




