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高良フェノミナン2nd  作者: カラー
第5章:予選始まる

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新旧の巫女の祈り

「幸平くん出場したんだね」


 2回戦に圧勝した翌日、大杉美樹が珍しく話しかけてきた。光太郎が先発したし心配もしたろう。

 一塁代走ですぐに終わったから出場したなんて言えるほどでない。

 だから

「バカスカ打ちすぎなんだよ、あいつら」

「すごいよね。ホームラン3本?」

「一年生と思えないよ」


「ピッチングどうだったのよ」

 ()()と宣言した橋本結菜が堪らず横から口を出してきた。

「ん?まずまずかな」

 と、山形や田所と話している川上を見る。


 視線のいたずらに結菜は気付いたようだ。

「川上くんもだけど…」

 光太郎のことを言い出しにくいように口籠る。

「光太郎は?」

 美樹が助け舟。さり気なくアシストできるのは性格か。実質指導者に転向した玲先生よりも実力は上回りつつあると千種から聞いている。本人が出会った時からそれほど変わらない印象なのはその細やかな性格故だろう。


「まだセーブしてるよ。監督の方針で一年生の時は登板回数を極力減らすんだそうだ」

「まだ背が伸びてるらしいよ」

 と微妙な彼女情報を結菜が話す。

「まあ、速い」

 分析なんかは田所や児島が折井とするだろうし、俺は見たまんまの感想を口にする。


「幸平くんなら打てる?」

 美樹が結構難しい質問をする。シチュエーションやらいろんな場面があるからな。

 一瞬答えに詰まると、横で聞いていた千種が

「打てるもん」

 なに、その子供のような答え?


「千種が答えてどうすんの?」

 結菜が真っ当な疑問を持つと

「まあ…リハビリ終わってからなら…」

 一気にトーンダウンしてしまう。


 少し可愛く思い

「当てるだけならなんとかなるけどスタンドまでは無理だ」

 正直に言ってみる。

「やっぱすごいんだね」

 ああ、光太郎はものが違うよ。

「違う。幸平くんが」

 光太郎基準かよ、結菜さんよ。


「光太郎から当てる技術は幸平くんが全員の中でずば抜けているって」

 監督評を美樹が教えてくれた。

 初めて聞くぞ。

「だから怪我が心配だって」


 ひとまずリハビリは順調だと全員に改めて伝えた。


 ・・・

 放課後は野球部、水泳部、生徒会に顔を出さずに病院に。

 数日おきになってきたリハビリと経過観察を報告するため…だ。

 俺の担当医は監督。

「昨日以来ですね?」

「昨日?ここで勤務だったぞ?」


 あれ?

 お互い疑問符だらけの会話。

「見かけませんでしたよね」

「だから勤務だったと…」

「まさか有給惜しさに」

「当たり前だ」


「決勝まで頼むぞ」

 なにがよろしくなのか怖くて聞けなかった。

「おまえの財産は人望だ」

 へー、丸投げですか。

「準決勝くらいまでは折井に任せときゃ間違いないだろ。間違えてもまだセンバツも来年もある。少しは負けとけ」

 早速折井に任せた身としては返す言葉がない。


「驚くよな」

 怪我後のあとを見ながら監督は零す。

「治ってます?」

「バカヤロ。そんな簡単に治るかよ」

 やっぱり時間かかるもんだな。

「…普通ならな。どういうわけだか…おまえ練習に戻れ」

 えーと…。

「バッティングは少し待て。投げるのは大丈夫だろ。それと守備は追いつくところまでだ。捕球はもう少し先まで待てよ。そんなに時間がかからないはずだ」

 じゃあ。

「ああ、医師のお墨付きだ。復帰していい」


 完全ではないけど明日からいいと言う。

「なんだか気持ち悪いくらい早い。最近流行りのゲームの魔法でも使ってんのか?」


 新旧の祈り専門の巫女が妻です…とも言えず俺は病院を後にする。

 千種の感謝の言葉をいつ言えばいいのか悩みながら。



第5章最終話です。

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