生徒会信任
「って監督…初日でユニフォームもないですし」
「そうだったな…じゃあ…ドラフト券1枚発行してやるから、1週間待て」
肩たたき券みたいなの発行するんかい。
それと…ほとんどグラウンドに来ないことも織り込んでの1週間か。
まあ、説明に筋だけは通っている。
それと割と気分屋の監督だからな。機嫌の悪いときに評価されたら実際よりも低くされる危険がある。使い方は意外と難しいぞ。
新人各々監督と2年生に向けて自己紹介して、初顔合わせは終わった。監督来なかったらほんとにお詣りだけになっちまうところだった。三々五々散らばって帰っていく。
…あれ、御本尊がまだ帰って…。
・・・
やっときたきた。あれ…?
太閤さんにヒメさん、キントキさんもいるな。
珍しい組み合わせ。
「どうした?休みに」
太閤さんに向かって声をかけると
「今朝まで休みって知らなかったくせに」
あっさりと機密情報を漏らす千種。
「明日信任投票するから打ち合わせ」
はあ?
「新しい生徒会、人数ちょうどだから」
確かに論理的にはそうなるんだが、早すぎない?沢村なんか了承したのほんの一時間前だぞ?招集したの誰よ?
「千種だよ」
ヒメさんの答えに少し怖くなる。
いくら不機嫌になったからって、仕事が早すぎるしそれで集めちゃうとか。
「千種に頼まれたらね」
…実質、生徒会を仕切る者が誰か分かったような気がした。内情を知る俺だけだろうが。
その後沢村も捕獲され、新生徒会はたった半日であっと言う間にその役職が決定した。
会長…田中秀吉。副会長…山門飛梅。
庶務…早名幸平、早名千種。
会計…坂田衿秋。
広報…沢村光秀。
なぜか遠くに位置するみささんが満足気に頷いている。みささん禁止令は解けていないらしい。
千種…あんまり本気出すなよ?
「浮気しなかったらね」
・・・
日が明けて始業式。クラス分けも発表されてるが、去年の夏のクラスのまま2年生は変わらなかった。担任も玲先生ひとりとなった。
マリーさんが来てから、一本筋が入ったように先生はしっかりとしている。マリーマジックはここにも活きているようだ。俺は人知れず、ますますマリー信者となる。
始業式後すぐに信任投票され、ほぼ満票で俺たちは(千種たちはと言った方が正しいのかもしれない)信任された。
つーか昨日まで決まってなかったのか?
あるいは既に既定路線だったのか。
今日も遠いみささんを見ると、本日も満足気にしていらっしゃるのだった。




