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高良フェノミナン2nd  作者: カラー
第5章:予選始まる

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お茶、いる?

 家族で…俺を含めて4人で晩飯を囲んでいる。

 ダイニングテーブルの対面には夫妻、俺の右隣は千種が座っている。

 おかずの一品に少し黒っぽい煮物。辛めの味付けで初めて千種と会った日の夜に千紗さんが用意してくれたものと同じ。


 あの夜不覚にも味で涙が出たっけと思い出す。それ以来苦手と言うわけではないけど、やはりこの煮物には特別なものがある。


 最近千種は味付けが千紗さんとは少し変わり出したので、三月までの少々懐かし気味な味はほっとする。

 母に近い味だ。


 そんなことを考えながら食べていると、千紗さんから質問された。

「夜中に普通に眠れているの?」

 事故以来のことか…あるいは両親の葬儀以来のことか。


 …どちらでもいいだろうね。


 事故以来ぷっつりと、夜中の嫌な感じ…千種が感じたと言う嫌な感じは霧散していた。

 俺自身ほぼ4年以上知覚していなかった「異常」が事故の後はまるでしなくなっていた。


「児島先生がね、丈夫な心臓だって褒めてたよ」

 度胸があるって意味なら嬉しいけど、自分の心臓を臓器的に褒められてもなんだか他人の話題のようだ。


「きっと両親がくれたものなんでしょうね」

 誰に対してか分からない言葉をそっとこの場に置いてみる。

 反応を探るための言葉ではない。

 今思っていることを素直に話しただけだ。


 ふと前に目をやると、行朝さんは驚いたように千紗さんは嬉しそうに俺を見ていた。

 二人に見つめられるのがなんだか恥ずかしくて

「千種くらい強くはないですけど」

 ごめん、千種。


「どういう意味よ」

 くすりと笑って

「お茶、いる?」

 この場をさらりと流した。


 ・・・

 夜中。

 俺の布団に今夜も千種は潜り込んでいる。

 両親がいる時くらい別々に寝たらと思うのだが、もう日常なので強く言うほどでもない。


「お父さんとなに話してたの?」

「母さんのこと」

「ん…」

 それきり千種は黙り込んだ。


「今年もお墓参り、あたしも行く」

 去年とはまた違う用事のつもりなのだろうか。

「もう一度ご挨拶しないと」

 去年はミコさんが中にいることに慣れてなかったから?

「うん。だから。あなたの家族として」


「中でね」

 ミコさん?

「ミコさんが何か感じてるみたいなの」

 さっきからの流れだと俺の両親に関係あること?

「よく分かんない」

 ほんと雲をつかむような話だな。

「悪いことではないらしいんだけど」


 千種に分からないんだから、ましてや俺に見当がつくはずもない。


 ・・・

 翌朝千種の両親は芽さんをホテルで迎えてそのまま帰宅していった。

 明日は2回戦。先発は光太郎だ。


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