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高良フェノミナン2nd  作者: カラー
第5章:予選始まる

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娘の横顔

 かたや女性組。

 一通り料理の仕込みが終わって火が通るのを待っている。

 鍋を見つめながら千種はぼんやりとしている。


(…小さい頃からこの子は群を抜いて異彩だった)

 そんな感慨が湧く。


 運動能力も学力も親の予想より少しだけ上回る。苦手なことがなくそつなくこなす。その割には何事にも淡白で、生きることに喜びを感じていないようだった。


 だから初めて幸平くんを思っているのだと気付いたときは驚いた。

 いつの間にと問うことはない。

 間違いなく清さんの娘、葉が関わっているのだろう。


 千紗自身、幸平が高校入学まで会ったことはなかった。

 だから、入学式のあと慌てて帰って普段は興味もない水泳大会の番組を娘が見出したとき、その思いが本物であると確信した。

 恋なのかどうかは問わなかった。


 そしてその夜知らぬ間に娘は家を抜け出し彼を迎えていた。

 そして遅く帰ったかと思うと「嫁」と母に対して宣言したのである。


 ずっと待っていたのか。

 それだけは分かった。

 初めて見せた激情とも言えぬ深い気持ちを尊重しよう。

 千紗の方針は即座に決まった。


 ・・・

 芽から不思議な相談を受けたのは最近だ。

「早名幸平くんってどんな人?」

 まさか結納まであげているとは知るまい。

 いかにサナメから抜け出すための茶番だとしても。


 詳しく聞けば、それは…。何かを予感していたとしか思えないあの綺麗だった幸平くんの母清が、我が子のために残していたものだった。

 それはもしかしたら葉が引き継ぎ、千種は単に今もその影響下にあるのかもしれないものと同種であった。


(ごめんなさい、芽ちゃん)

 幸平くんが死の淵にあったとき、我が子は何を思ったか髪を切り、まるで鬼のようだったと…葉から聞いた。


 この子がねえ…。

 まだ16になって間もない。

 去年のある時期からその人格が深くなった…と言うか生まれ変わったかのように感じる。


 今回も悪戯がてら芽ちゃんを紹介したら、幸平くんは慌てていたけれど、千種は…。


 ・・・

「ねえ千種」

 ん?と我に帰る娘。

「幸平くんが…もしこの先別の子を選んだら…」

 娘に対して残酷かもしれない仮定。


 即座に、

「あの人が選ぶなら仕方ないよ」

 あっさりと言う。

「それでいいの?」

「…そういうことじゃないから」


 山門さんのことはうっすらと聞いた。

 あのプライドの高い子が泣いて千種に謝ったと聞いている。

 何かがあったのだろう。


(そう…自立したの)


 それなら行朝さんにも教えなければならない。

 わたしたちの娘は庇護を離れたことを。


 なんとなくだが。

 娘の横顔は清さんに似ていた。



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